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2026年3月6日

お金にまつわる悲喜こもごも~セブ島留学日記⑤

 

ランチタイムの食堂で、校長のhidekiさんに、こんな話を聞いた。

ある年、50代の男性A氏が、英会話3か月コースに入学してきた。

長年勤めた会社を早期退職し、意気揚々と第2の人生に踏み出したところだ。

毎日、それは楽しそうに留学生活を送っていたAさん。

ひと月が過ぎたころ、顔面蒼白で事務室に駆け込んできた。

「急用ができたので、今すぐ帰国します」

ただならぬ気配に理由を尋ねると…

セブ島に来る前、Aさんは退職金数千万円を海外ファンドに注ぎ込んだ。

その朝、久しぶりにパソコンでファンド口座をのぞいてみると…

いきなり、残高がゼロになっていたという。

「投資詐欺ですね。海外投資って怖いですね」と、hideki校長。

いや、海外投資そのものが怖いのではない。Aさんが欲をかいて、あり得ない儲け話に乗ってしまったのだと思う。

留学生仲間を見る限り、10代20代は海外投資に積極的で、金融リテラシーもしっかりしている。

ニーサやオルカンに関する知識も、常識として持っている様子だ。

美大1年生のyumaさんは、中学生でニーサ口座を開いて、海外投資を始めた。最近はコインチェック(暗号資産)も買って、利益を出している。

そしてyumaさんのパパは、大手IT企業を経て40代でFIREを達成。貴金属投資のユーチューバーとして、情報発信している。

この親あって、この子あり…

私と同い年のクラスメートyukoさんは、東京の作業療法士。数年前、職場の友人の影響で海外投資を始めた。

yukoさんのすごいところは、インデックス投信による分散投資を経ず、いきなりアメリカ株を個別に買ったこと。コロナ禍で世界中の株が急落したタイミングで、優良企業の株を底値で買うことができた。

その後の回復局面で、yukoさんの持ち株は、5年間で3倍になったという。

「世の中、地道にコツコツと働くだけじゃ足りないんですね。今ごろわかりました」

真面目で控えめなyukoさんの大胆な行動に、ビックリ。

学校事務局の話では、もうすぐ全盲の50代男性がやってくる。

毎年、姿を見せるリピーターだ。

フィリピン人の介助者を雇い、毎日2時間ほど英会話のレッスンを受けながら、半年ほど滞在していく。留学費用は、ほぼ障害年金で賄えるらしい。

交通事故による中途失明者、ということだ。

お金の価値を最大限に生かして、前向きに、心豊かに生きてるなぁと思う。



2026年1月3日

ハンドメイド投資家


明けましておめでとうございます。

ブログ12年めは、まずお金の話題から…

私が海外投資に目覚めたのは、アジア金融危機で山一證券が倒産した1997年。

橋本龍太郎政権の「金融ビッグバン」で、ようやく個人でも外国株が買えるようになったタイミングだ。

とはいえ、「ニーサ」や「オルカン」などは、まだ影も形もない時代。米国アマゾン経由でパーソナルファイナンスの原書を買って読み込み、米国籍のインデックス投信を組み合わせて、国際分散投資のシステムを自作した。

当時、そんなハンドメイド投資家の指南役となったのが、オンライン掲示板「海外投資を楽しむ会」を主宰した作家の橘玲氏だ。最近も、『HACK』『テクノ・リバタリアン』『言ってはいけない』などの話題作を書いている。

前回に続いて、日経ビジネス電子版に載った橘玲氏のインタビューを一部紹介します。

・マイクロソフトが「Windows 95」を発売して脚光を浴びた時、証券会社の窓口でおじさんに「マイクロソフトの株はどうやって買えばいいんですか」と聞いたら、「なんですかそれ」。「米国の株です」と答えると、「日本株じゃないのに買えるわけないじゃないですか。もうちょっと株のことを勉強してから来てください」と説教された

・それまでの日本の証券会社には、富裕層の顧客が外交員から提供される内輪の情報で儲けるような、きわめて不公正な商慣行があった。だから自分たちは、オープンな情報を組み合わせて「普通の奴ら」の上を行くことを試みた

・ビットコインが出てきたとき、非中央集権的なマネーというのはものすごく魅力的だと思った

2010年ごろ1万ビットコインはピザ2枚と交換されたが、現在は1ビットコインが8万8000ドル(約1400万円)になっている。だが、初期の頃にビットコインに投資しても、それを長期で持ち続けるのはものすごく難しい

・普通なら価格が10倍になれば、怖くなって売ってしまう。ビットコインのようなボラティリティーの高い資産を保有し続けるためには、国家が発行する貨幣や中央集権的なシステムを拒否する、リバタリアン(自由至上主義者)の信念みたいなものが必要

・暗号資産のシステムを支えるブロックチェーンの仕組みを理解して、それが世界を変える可能性を持っていることに気づくには、きわめて高い論理的・数学的知能が必要

・そして、AIや暗号資産を含むテクノロジーによる社会変革を推進しているのは、イーロン・マスクやサム・アルトマン、ピーター・ティールなど、個人の自由を重視するリバタリアン

・テクノロジーの指数関数的な能力の向上が近代の土台を揺るがし、中規模の国家に匹敵する富と強大なテクノロジーを持つ個人がとてつもない影響力を持つようになった。

この現実を認識しておく必要がある 

Yomitan Okinawa, winter 2025


2024年12月7日

農家もニーサ!

 

農閑期に入り、やっと畑仕事から解放されたミネちゃん、シゲちゃんと、湖畔のレストランでランチ。

ともに70代女性のふたりとは、病院で働いていた時に看取ったキミちゃん(享年96)を通じて知り合った。

地元の小学校から高校まで、ず~っと一緒だったという大の仲良しだ。

そして今、ふたりとも「新NISA」に興味津々。レストランから森のわが家に場所を移し、メモを片手に根掘り葉掘り、質問攻めに遭った。

う~ん…

年齢的に投資期間が限られた彼女たちに、果たして「全世界株インデックスを使った積み立て投資」なんか勧めていいものか…

「世の中インフレで、お金を銀行に置いておいたら減っていくだけ。少しでも増やして、子どもや孫に残したいの」

あ、3世代に渡って継承するお金か!

それなら、時間はたっぷりあるぞ。

 

安倍政権が始めて、岸田政権が拡充したこの少額投資非課税制度(NISA)。政府の狙いはたぶん、眠っている国民の預貯金を日本企業に投資してもらおう、ということだったと思う。

でもフタを開けてみれば…

投資先に自由な選択の幅を与えられると、皆こぞって、米国株などの外国株を選んだ。

日々変動する為替リスクを取ってまで。

それだけ、日本に期待していない人が多いのだろう。

 

日本に投資せず、外国に投資する私たちは、果たして非国民か、売国奴か。

自分で働いて貯めたお金を、インフレに負けず少しでも増やそうと真剣に考えれば、イノベーションを生まず、従業員への低賃金と長時間労働で利益を絞り出そうとしている多くの日本企業をスルーするのは、当然のように思える。

 

それにしても、老若男女を巻き込んだ「新NISA」の世界株投資ブーム…

すごい破壊力だ。

投資信託経由の家計部門の円売りは、今年14月で早くも4兆円を超え、すでに2023年通年を上回っている。このままいけば年間10兆円を超えて、日本の経常黒字20兆円の半分を食う勢いだ。

最近、再び1ドル150円を超える円安になっている。

これも、新NISAを経由した「家計の円売り」が影響しているのだろう。

みんな毎月の積立で外国株を買っているのだから、この円安は当分続くかも。

Varanasi India, 2024


2024年1月6日

海外投資は、自由への道

いよいよ今年から「新NISA」が始まった。

1800万円まで無期限・非課税で運用できる、ありがたい資産運用ツールだ。

と同時に、10年前の旧NISA初年度に投資した分が満期を迎えた。

どれどれと自分の口座を調べてみると…10年間で55UPという成績。

年率にすると4%ぐらいか?

株式100%のリスクを負った対価としては、ちょっと物足りないなぁ。

わがミヤサカ・ファンドは、ポートフォリオ全体のバランスを考えて、10年前にNY上場のVB(アメリカ小型株ETF)、VSS(アメリカ以外の海外小型株ETF)、FM(フロンティア株ETF)をNISA枠で買った。

ちなみにフロンティア株というのは、新興国よりさらに魑魅魍魎の…じゃなかった、新興国の次に成長が期待される!小国の企業の集合体だ。

FMの保有銘柄は、カザフスタンのソフトウェア会社やウラン採掘所、エジプトの銀行、ベトナムの製鉄所や不動産、ルーマニアのエネルギー企業や石油会社など。そしてFMのこの10年間の年率リターンは、1%ほどだった。

…まだまだ離陸しないようですね。

次にVSSの保有銘柄を見ると、トップ10はウラン鉱山、コンサル、ソフトウェア、エネルギー、運輸、金銀採掘、保険などなど。すべてカナダの会社だ。

VSS10年間の年率リターンは、3.8%だった。

そしてアメリカの小型株を集めたVB10年間の年率リターンは、8.1%。

もし10年前、奇をてらわず素直にSPYなどのアメリカ大型株ETFにしておけば、年率11.9%のリターンがあった。元手が2倍以上に増えたことになる。

国際分散投資の考え方は正しいにしても、策に溺れて分散しすぎたか…

でもポートフォリオ全体では円安にも助けられて、去年もそこそこリターンがあった。まぁよしとしましょう。

今年からの新NISAではシンプルに、日本を含む世界株インデックスで積み立てようと思う。

ただこのインデックス、新興国株の比率があまりにも低すぎる。いまや世界第2の経済大国になった中国や、将来的にその中国をGDPで抜くと予想されるインドが、過小評価されすぎなのだ。

だから、新興国株インデックスも買おうと思っている。

 

2022年、日本の1人当たりGDPは先進7か国中、ついに最下位に転落した。人口減少と少子高齢化が同時進行するじり貧ニッポン。この国に住み続けるなら、海外投資はギャンブルでも何でもない、立派な生活の技術だ。

私が時給933円の田舎の病院に週3日働くだけで食っていけるのも、株式インデックスを使った国際分散投資のおかげなのです。

海外投資は、職業選択の自由への道! 

Matsumoto Castle project mapping, winter 2023



2022年7月1日

厚切り流FIRE達成術

 

 年下の友だちと資産運用の話をしていたら、あるお笑い芸人の名が出た。

 厚切りジェイソン、36歳。

その著書「ジェイソン流お金の増やし方」は、43万部のベストセラーになったという。

彼は「アメリカ株インデックス投信の積み立て」という、とてもオーソドックスな方法でFIREを達成している。投資哲学は共感できるが、日経ビジネス電子版のインタビューを読むと、かな~り変人だ。

以下に厚切り名言集を…

FIRE達成の鍵は「収入と支出の差額ですね。言い方は悪いですけど、僕はまあ高収入で支出が少ない」

「僕は私服は今でも人からもらったものを着ていて、自分で買ったことがほぼないんです」

「業務スーパー」で買った2リットルの飲料の空き瓶に、インスタントコーヒーを溶かして「今日も3リットル飲みましたよ」

「今日もオーケーストアに行きました。牛乳や冷凍食品など30kgくらいの買い物をして、登山リュックをしょったまま歩いて」

「普段も2km離れている業務スーパーまで行って、満杯のリュックをしょって帰りますよ」

「マイバッグも必ず持ってます。レジ袋にマネー払ってる場合か!」

「母が節約の努力を見せてくれたのが大きいと思います」「米国の教育は教会と学校と家庭の3本柱で、金銭教育は基本、家庭内で教えます」「日本は学校に任せ過ぎの人が多く、家庭教育もあまり熱心じゃないかも」

「手元には3カ月分の生活費を残して、後は全部投資に回していい」「なぜ3カ月かというと、それだけあれば次の収入を見つけられる自信があるからです」

「最近ですと収入の95%くらいを投資に回していて、究極というか、もうこれ以上やりようがない感じ」

「データは友達ですね。ロシアのウクライナ侵攻の時には、世界的な紛争で株価が暴落した後、戻るのにどのくらいかかるのかを調べました。3カ月ほどで戻ってくる傾向があるのが分かりました」

「父はリーマン・ショックの時に狼狽売りして、後悔してました。僕はそれを見ていたので今回のコロナショックでは売却しないで済んだ」

「夫婦でお金の価値観が合わないとうまくいかないケースがある。金銭感覚の不一致は米国の離婚原因の上位に入ってます」

「ともかく日本は年金制度があり退職金が出るところも多いから、これまではお金の知識がなくても何とかなった人が多いのは事実ですよ。ただ、この先はちゃんと考えた方が有利な時代になると思います」

Matsumoto City Museum of Art


2022年3月25日

芝公園から、モーリシャス

 

 北海道に住む大学の先生ご一家から、「投資を教えに来て欲しい。飛行機代とホテル代は出します」というオファーを頂いた。

 無免許ファイナンシャル・アドバイザー(FA)、ついに海を渡る! 

 しばし感慨に浸った。

でも待てよ。

iDeCoなどの非課税制度を使って、世界の株式に分散投資するインデックス投信を、給料天引きで毎月買い続ければ、10年後(または20年後、もしくは30年後)には、FIREやデジタルノマドになれる、かも知れません…」

 私が言えるのは、それだけ。

 いくらなんでも、これじゃ詐欺かもなー

 

 ネット証券に口座を開けば、いまや世界中の株がスマホで簡単に買える。でも私が海外投資を始めたのは、橋本龍太郎首相が金融ビッグバンを始めた頃。今みたいに便利なツールはなかった。

「ゴミ投資家のためのビッグバン入門」(海外投資を楽しむ会編著)をバイブルに、英語を勉強して、手探りで海外市場にアクセスしていった。

 その頃東京で出会ったFAが、若いオーストラリア人のクラーク。数年後にイギリス人のデービッドに担当を引き継がれたと思ったら、そのうち彼らはオフィスごと、香港に去っていった。

 シティバンクのリテール部門も同じ時期に、日本から撤退している。日本市場は儲からないと判断すれば、外資系金融は逃げ足が速い。

 彼らが所属するオフィスはその後、オーストラリア、次いでイギリスの会社と合併した。紆余曲折の末、今の私の担当FAは、モーリシャス在住の南アフリカ人、ショーンだ。

 モーリシャスってどこ?アフリカ東岸に浮かぶ島国で、セレブ御用達のビーチリゾートらしい。日本との距離は10,531キロ、ドバイ経由で17時間かかる。

 20年前は芝公園で会えた人たちが、いまや1万キロの彼方に。

 日本経済の凋落とも、何やら関係がありそう。

もうあまり質問事項もないのだが、ヒマな時にショーンとズームで話した。モーリシャスもコロナ禍で、ほぼ在宅勤務だという。なかなか豪華な家に住んでいるが、もしかしたらバーチャル背景?

 ロシアのウクライナ侵攻で揺れるマーケットを解説していたショーンが、突然カメラをオフにした。再び姿を現すと、両手で拝むポーズ。

「ゴメンナサイ! 朝から大嵐で、子どもの保育園が休みになっちゃって」

 4歳になる愛娘が、乱入してきたらしい。

 在宅リモート会議の、あるある。

Tateshina Japan, March 2022


2022年1月7日

ほったらかし投資家

 

「野菜じゃない方のカブ」が主な収入源になってから、そろそろ7年。

 久しぶりに証券口座をのぞいたら、1年前より残高が25%増えていた。

MSCI世界株指数が年間20%(ドルベースで)値上がりした上に、ドル円も12%円安にふれた。ミヤサカ・ファンドは8割強が外国株。両方から恩恵を受けられた。

 世界のマーケットを国別に見ていくと、

アメリカ+26%。やっぱり去年も強かった。

ユーロ圏+13%。

中国-20%。

日本0%()。相変わらず、です。

 特に好調だったのは、オーストリア+36%。チェコ+44%。レバノン+66%。ボツワナ+78%。ジンバブエ+365%…(全てドルベース)

 未来を予見する能力があったら、ジンバブエに集中投資したのになぁ…

 

 一昨年から続く新型コロナウイルスとの闘いで、大きな役割を果たしているワクチン接種。当初、何年もかかると思われたワクチン開発を1年足らずで成し遂げ、多くの人命を救ってきたのが、米モデルナ社だ。

実はこの会社、10年前は社員たった一人のスタートアップだった。

そして当時の零細モデルナに、社員6000人の大企業CEOの座を捨てて転職したのが、38歳だったファン・バンセル氏だ。

「多くの患者を救う人生一度のチャンス」と決心したバンセル氏を、愛妻も「リスクを恐れないで」と励ましたという(1227日付読売新聞)。

 

 この2年で、モデルナ株は10倍になった。

 ミヤサカ・ファンドは、そのモデルナ社に投資している。

ウソ。そんな先見の明、あるわけない。

でも調べてみたら、ナスダックETFなどを通じて、実はモデルナ株を6万円ほど持っている(らしい)。

 パッシブ運用の偶然の産物とはいえ、こういう会社を自分のお金で応援できるのも、株式投資の魅力だと思う。

 オミクロン株の蔓延で、各国政府は再び、自国民向けワクチンの確保に奔走している。虚偽申告で4度もワクチンを受けた人が、接種費用の自己負担を求められたという記事を読んだが、あの注射は1発3000円するらしい。

 ベンチャー企業が育たない日本は、いつまでたっても国産ワクチンを作れない。今年もモデルナ社の売り上げに、税金を使って貢献するのだろう。




2021年11月19日

コロナに効くのは、カブとワクチン

 会社を離れて、はや7年。

 当時の同僚たちは、定年が視野に入ってきた。

 先日は、定年前研修があったらしい。ファイナンシャルプランナー(FP)との個別相談に臨んだ同僚が、とってもうれしい報告をくれた。

彼女と面談したFP氏が、

「私のDC年金(ミヤサカさんに聞いたまま選んだ)の額を見て、ちょーーーーーーーーーーーびっくりしていました」

「こんな完璧な選択、配分、見たことない、今までで一番高額だ、と言っていました」と。

 やったね!

 

 リーマンショック後、年金運用の重荷に耐えかねた会社が、確定拠出年金(DC)を導入。「これからは自己責任でやってね」とばかり、その運用を、我々社員に丸投げしてきた。

 値上がりする資産ほど、税の優遇を得られる制度だ。私は迷うことなく、全額を株式投資信託に投入した。さらに、労働人口が減っていく日本より、これからはアメリカや新興国の時代でしょうと、大半を外国株に振り向けた。

周りにも自説を吹聴してみたのだが…ミヤサカFPを信じてついてきてくれたのは、彼女ひとりだった(涙)

 

そして今、世界の株価(MSCI世界株指数)は、リーマンショック(2008年)の安値から6倍に値上がりした。

そしてこのコロナ禍でも、リスクが高いと言われる株式市場は、実はビクともしていない。

GAFAMはもちろん、ワクチンを開発したモデルナ、リモートワークの必需品ズームなど、コロナを奇貨とした外国企業の株価が、市場を押し上げている。

 

たかがお金、されどお金。

お金は、ないよりあった方が、人生の選択肢が広がる。

たったひとりでも、誰かの人生を、いい方向に変えられたかな?

ちょっとでも変えられたとしたら、すごくうれしい。 



2021年1月15日

「やさしさ」への投資

 

 新型コロナウイルスの蔓延にも関わらず、2020年の株式市場は好調だった。

 去年1年間の資産クラス別リターンをドルベースで見ると、

先進国株+17% 新興国株+16% 日本株+5% 先進国債券+6% 新興国債券+5% 日本債券-1% 先進国REIT10% 日本REIT17% ハイイールド債券+7% 原油-21% 金+24

 新興国を含む外国株式に集中投資するミヤサカ・ファンドも、市場平均並みのリターンを確保したもよう。

 と、ここまで書いて、株式投資に対するモチベーションが激減している自分に気づいた。

「もうどうでもいいや~」

そんな気分。

 2人で80年は生きるつもりで、ほぼ全財産を株式市場のリスクにさらしてきた。それなのに、お金を使う人がひとり減ってしまった。

 治る見込みのない病気の治療費、という悲しい支出がなくなった代わりに、「夫婦でビジネスクラスに乗ってバリ島へ」みたいな目標もなくなった。

 リスクが高いとされる株式投資が、実はリスクに強いことは経験でわかっている。コロナ禍で急落した市場は、すぐに上昇基調を取り戻した。ワクチンの普及そして集団免疫が達成されれば、やがて巡航速度となるだろう。

個人投資家として自分ひとり食べていくぐらい、わけない。

…やる気が出ない。

 

作家のジョージ・ソーンダーズが、米シラキュース大学で行った8分間のスピーチ。世界中で話題になり、「人生で大切なたったひとつのこと」(海竜社)という邦訳も出ている。

ソーンダーズは小学生の頃、いじめられ、無視されていた転校生にやさしくできなかったことを、今だに後悔している、と話す。

そして「成功とは登っていくにつれ、目の前で高くなり続ける山のようなもの」で、成功だけを追い求めてもきりがない、だから

It’s a little facile, maybe, and certainly hard to implement, but I’d say, as a goal in life, you could do worse than: Try to be kinder.

(簡単そうに見えて、実践するのは本当に難しいのですが、「もっとやさしい人になること」を、人生の目標のひとつにしてみてはどうでしょう)

 Because, actually, nothing else does.

(なぜなら、実際、それ以外のことは意味がないからです)

 去年は悲しい出来事があった一方で、医療関係の方々や友人知人の、たくさんのやさしさに触れた年でもあった。

 いま、「やさしさ」のような intangibles(無形の資産)に、とても魅力を感じている。




2020年8月7日

人生は、好きか嫌いか

 敏腕ファンド・マネージャーが投資先を選ぶ時、何を考えているのか?

 藤野英人・レオス・キャピタルワークス社長は「目先の得だけを重視すると長期的な利益につながらない。それよりも『好きか嫌いか』という視点が大事」だという。そしてそれは、仕事選びにも当てはまる、と。

(以下、日経ビジネス電子版に掲載されたインタビューの要約です)

・日本人は「仕事嫌い」が圧倒的に多い。ある調査では、自分が働いている会社に対する信頼度は26か国中25

・「働くことはつまらないことであり、苦行である。給料は我慢代でしかない」という認識が広く持たれている

・同じ調査では、アメリカ人と中国人の80%は「会社が好き」と回答した。「この会社は嫌い、信用が置けない」と感じると、すぐに辞めて好きな会社に移るので、常に好きな職場で働いている

・平均寿命が伸びて、年金だけでは老後の暮らしが成り立たない。「長く働くこと=苦行」という考え方のままでは、本来は喜ばしいはずの長生きを肯定的に捉えられない

・なぜ嫌いな職場に留まってしまうかというと、「仕事なんてそんなものだ。耐えればいつかいいことあるよ」という長年の“擦り込み”があるから

・日本社会では「損か得か」で意思決定することがよしとされ、「好きか嫌いか」で物事を決めるのはよくないとされている

・子どもの時から「好き嫌い」を否定する教育を受けているから、「好き嫌い」に対する感覚が鈍磨している人が多い。

・「食べ物の好き嫌いをしてはいけません」「誰とでも仲良くしなさい」「嫌いな教科もがんばって勉強しなさい」。好き嫌いをなくして標準化することが、日本の教育の大方針になっている

・そうやって好き嫌いの感覚を磨けない教育を受け続けた結果、「自分の自由意思だけでは選べない」という体質が完成してしまう

・さらに「働くことは楽しくてすてきなことだよ」と教えてくれる大人はめったにいなくて、どちらかというと“脅し”を受ける。「いい会社に入れるように勉強しなさい。そうしないと食っていけないぞ」と

・そうやって損得勘定で就職先を選ぶと、待っているのは“絶望”

・少子化が進むのも「選べなくなっている」のが原因。結婚する男女が減っているのは、損得勘定なしに感情に基づいて選ぶ訓練が不足しているから

・だから、「好き嫌い」を大事にして欲しい。「自分が心から好きなことって何だ?」と問い続けて、その先へと向かって欲しい

・理由や根拠は、後付けでいい。実際に好きな方を選び取ってから、「なんで自分はこっちが好きなんだろう?」と考え続けるのが、とても大事

・「好き嫌い」は、その人の価値観や哲学が反映される主観。だから損得勘定より一貫性があり、ブレにくい 





2020年6月27日

カブより儲かる投資先


 この春、NPOなどの仕事を整理して、生活の拠点を長野に移した。

 その直後に発生したコロナ禍で、取り組んできた5つの仕事のうち、3つがなくなった。ほぼ唯一の収入源となった株式市場も、大きく値下がりした。

 ネット証券の口座残高は、見るのが怖い。

でもウワサでは、世界の市場は悲観ムードを脱して、「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」に適応する企業の株が上がっているという。

 その代表がネット通販の巨人アマゾンや、検索やSNSを独占するグーグル、フェイスブック。アップルとマイクロソフトも、相変わらず強い。ウェブ会議やオンライン飲み会で話題のズームは、株価が10倍になった。

 パンデミックをいち早く抑え込んだ中国の株式市場も、底堅いようだ。

 ・・・と、いうことは。

 米国株や中国株ETFが大部分を占める私のポートフォリオは、意外に健闘しているかも。

 傷は浅いぞ、しっかりするんだ! 自分。



「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」などの著書がある前野隆司・慶応大学教授によると、「想定外・非日常の事態が起きても幸福を感じられるのは、物事を俯瞰的に見ることができる人」だという。

 リスクも大きい株式投資だが、海外企業に投資していると、世の中に対する見方が、自然と俯瞰的になる。会社員として日本の一企業に依存していた時よりは、リスクの分散にもなっているはず。

21世紀の資本」でピケティは、株式市場の伸び率がGDP(=給与所得)の伸びを上回ることを証明した。でも、さらに上がいた。

きちんとした幼児教育を受けた人は、そうでない人に比べて所得が高く、犯罪に手を染める回数が減り、生活保護の受給率も低い。

 そして米国の研究では、幼児教育プログラムの費用対効果は、株式投資による収益率を上回ったという(614日付読売新聞)。

ひと口に幼児教育といっても、いわゆる英才教育は実施直後には大きな効果が表れるが、小学校入学後、数年たつと消えてしまう。対人関係を築き、課題に対してきちんと対処するという「一生モノ」の能力を身につけることが大事だ(山口慎太郎・東大教授)。

「自分には子どもがいないという人にも考えてもらいたい。自分が年老いた時、介護サービスや年金などの形で支えてくれるのは子どもの世代。幼児教育の効果ははっきりしており、そこにお金をかけるのは誰にとっても利益がある」(同)

 パンデミックは、2年もすれば終息する。コロナ後の未来を、もっともっと高い山から俯瞰しなければ。


Tateshina Japan, Summer 2020

2020年1月4日

砂上の楼閣


 最近入会した「オンライン英会話」は、先生全員がフィリピン人だ。

毎朝、初めての先生を予約して、日本とフィリピンをSkypeでつなぐ。

「会社を5年前に辞めて、いまは投資家をしています」と自己紹介すると、「ワ~オ! 羨ましい! でも私、株は怖いな」

 ほとんどの先生が、日本の友人たちと全く同じ反応をする。



 確かに、株は怖い。

トランプ大統領のツイートひとつで、世界中のマーケットが動揺する。「自分が寄って立つこの株式市場は、実は砂上の楼閣なのか?」と思ってしまう。

でも何もせずにいると、やがて株価は、その本質的価値に収れんしていく。

 株式市場が生み出す利益は、「恐怖に対する報酬」なのだろう。



米中貿易摩擦、ブレグジットとイギリスの政権交代、サウジ油田の爆破などで、市場が乱高下した2019年。でも1年間を通じた騰落率は、

先進国株式 +25% 新興国株式 +15% 日本株式 +17% 外国債券 +8% 日本債券 +0.7% 外国REIT(不動産投資信託) +20% 日本REIT +26%

終わってみれば、すべての資産クラスが値上がりした。私も無事に生き延びて、投資家6年目の正月を迎えることができた。



国別では、去年もアメリカ株が+29%と、相変わらず強い。

200年の歴史を持つニューヨーク市場は、大恐慌や2度の世界大戦、ITバブル崩壊、同時テロを挟んで、なお右肩上がり。去年も史上最高値を更新した。

選挙のたび、なりふり構わず株価を上げようとする為政者。株価を上げなければ、すぐクビになる企業経営者。そして、大切な老後資金を株に託して、真剣に見守る米国民。これだけ役者が揃えば、上がらない方がおかしいのかも。



アメリカの会社は、労働者より株主が大事。

去年、アマゾンの倉庫で働き、思い知った。

私の時給は、国が定める最低賃金プラス、たったの9円。その分、儲けを株主に還元する。アマゾン株は、上場以来20年間で1300倍になった。

しかも、EC市場でこれだけの大帝国を築きつつ、早くもクラウドサービスを次の収益源に育てている。投資家にとっては、とても魅力的な会社だと思う。



ネット証券に口座を作れば、アマゾン株は、スマホで簡単に買える。

今なら1株、1874ドル(約20万円)。

さあ、あなたもアマゾンの株主に・・・なりますか?

 少なくとも、アマゾンの倉庫で働くよりは、賢い選択かと。


2019年9月28日

「老後は2000万円必要」の真実


この夏、金融庁が「老後資金は2000万円必要」と報告書に書き、大きな話題になった。

 報告書作りを担った中核メンバーが、中野晴啓(セゾン投信社長、56歳)。

日経ビジネス電子版のインタビュー記事に、彼が本当に言いたかったことが書いてある。同世代のせいか、年金や人生設計についての考えが、自分ととても近かった。以下はその意訳です。

◎人口減と少子・高齢化で、年金は減らさざるを得ない。現在の高齢者は、現役世代の収入の6割を受け取っているが、将来的には4割しかもらえない

◎そう正直に書いたら、国民から強烈なアレルギー反応が出た。国民全体が年金に関する「事実」を聞きたくない、認めたくないと思っている

◎年金は国民生活のセーフティネットなので、政府も「維持に不安がある」とは言えず、ずっとオプラートに包んできた

◎でも支え手が多かった高度成長期のような年金制度が維持できないのは明白

◎だから、年金受給者にも一定の犠牲が必要。それに納得できないお年寄りは、自分の子どもや孫を幸せにしたいと思っていない、ということ

◎「敬老の日のまんじゅうが安物になった」と怒る人は、社会の支え手が減り、自治体の財政も悪化しているロジックを見ていない

◎そして残念なことに、報道を受けた大多数の人たちは、「もっと節約、貯金をしなくては」と考えてしまった

◎デフレが20年続いているが、いざインフレになれば現金は目減りする。「節約や預金は正義」という発想は早く改めるべき

◎そして現役世代が老後に備えるための仕組みが、個人型年金「iDeCo」や非課税投資制度「つみたてNISA

◎これらを使って資産形成することが大切。そして日本経済へのこだわりを捨て、「グローバル国際分散投資」を行うこと。世界の経済成長を享受しなければ、国民の豊かさは戻ってこない

◎長く働くことと並行して、日本経済にはない成長市場への投資で金融所得を得ることで、豊かな人生が実現できる

◎北欧は「高福祉高負担」だが、日本は、高度成長という特殊な状況で成立した「高福祉低負担」が、国民を思考停止にしている。
くれない、くれないと「国民総くれない族」になっている

◎今後はGDPよりGNI(国民総所得)を増やすことが大切。1人当たりGNIは現在、1位がスイス(8万560ドル)、2位がノルウェー(75990ドル)、3位がルクセンブルグ(7260ドル)。日本は23位(38550ドル)

◎「でも自分で合理的に動いた人は、超高齢化社会においても欧米並みの人生が実現できると僕は信じて行動しています」



2019年4月20日

ビーチに行かないハワイ


 ハワイの銀行は、ウクレレの音色のように大らかだ。

 アメリカ本土の銀行と違い、日本人旅行者も優しく受け入れてくれる。

 去年、ドル口座を開くためにハワイに向かった。

 ワイキキビーチにほど近い銀行を訪ねると、のんびりしたハワイ時間が流れている。手続きに1時間以上かかって、無事に口座を持つことができた。

 美しい絵柄のデビット機能付キャッシュカードは、日本のコンビニでも使える。おにぎり一つ買ってカードを差し出すたびに、ハワイの青い空と海を思い出す。

 そしてなんと、専属の担当者が付いた。私の担当はペギー嬢だ。

「ハイ、ペギー。最近私のカードが使えないんだけど・・・」

 先日メールを送ると、長期休暇中かな?とあきらめた頃に返事が来た。

「最後にカードを使ったスターバックスジャパンが、カードをブロックしたようです。ごめんなさい、再び使えるようにしました。ペギー」

 カフェラテ1杯の代金を引き落とせなかっただけで、人のカードを勝手にブロックするスタバっていったい・・・神に誓って、残高不足ではない。

 でも銀行に専属の担当者がいて、問題を解決してくれる。まるで大富豪になった気分。たった147ドルしか預金してないのに。

 ところが。

ハワイから戻ってネット検索していたら、ペギーさんの銀行よりさらに使い勝手がいい銀行を見つけてしまった。

 たとえば日本のコンビニATMで預金を引き出す際、「ペギー銀行」では15ドル+3%の手数料がかかるが、その銀行では一定の預金残高さえ維持すれば、手数料が免除されるのだ。この差は大きい。

 ペギーさんごめんなさい。浮気します。

 ビーチにもショッピングにもグルメにも興味のない人間が、再びハワイに飛んだ。

 早朝にホノルル空港に着き、その足でお目当ての銀行へ。

 ところが応対に出た行員は、私がゴミ預金者に見えたのか(事実だが)、最初から上から目線。口座開設の手続きを終えると、名も名乗らずに「あとは自分でバンキングセンターに電話してください」。取り付く島もない。

 でも一歩外に出れば、ここはハワイ。ヤシ並木を心地よい風が吹き渡る。



 将来もし、日本国債がデフォルトするような事になれば、ドルを持つ人は宝くじに当たったようなもの。ハワイ観光のついでに、銀行口座のひとつ持って損はない。

 わざわざ銀行のために2度行く人も、めったにいないと思うが・・・


2019年1月19日

今年もホッタラカシ②


 ミヤサカ・ファンドは試行錯誤の末に、「インデックスを使った国際分散投資」という王道にたどり着きました。

 時あたかも、橋本内閣による「金融ビッグバン」の黎明期。個人にも海外投資への道が開かれ始めていました。でもまだ、外国のインデックスに投資することはできませんでした。

 だから金融英語に苦労しながら、海外のネット証券に口座を開設しました。途中でにっちもさっちも行かなった時は、勇気を振り絞って国際電話です。

 相手の英語がわからず聞き返すと、やる気のない声で同じフレーズを繰り返します。一瞬、機械音声かと思いました。外国の金融機関は給料が安いせいか、社員のモラルは総じて低めでした。

 そして苦労の末に手に入れたのが、VT(Vanguard Total World Stock)というニューヨーク上場のETF。一株50ドルで世界47か国8000社の株をいっぺんに買えて、しかも手数料は年0.1%。夢のような経験でした。

 あの日から、かれこれ10数年。ネット証券が国内でもサービス競争を始め、VTも日本で簡単に買えるようになりました。

 さらに、政府主導の「貯蓄から投資へ」という掛け声のもとで、NISAiDeCoといった非課税制度も整いました。

 一部の金持ちが、プライベートバンクとタックスヘイブンを経由して行っていた「税金がいらない国際分散投資」。それがいまや、誰にでも可能になったのです。すごい世の中です。

 さて、資本主義と市場経済の総本山といえばアメリカ。当然、投資教育も盛んなはずです。そのアメリカで、投資のターボエンジンである「複利効果」を、逆噴射させる人々がいます。

自分の収入以上にお金を使い、すぐクレジットカードで借金する。カードローン金利を18%とすると、その借金は4年で2倍になります。8年で4倍。

毎年、大学卒業者より多くの自己破産者が生まれています。

 支出を収入内に収めるのは、日本では常識です。「長期・積立・分散」の株式投資を教科書通り実行できるのも、規律と忍耐に長けた日本人でしょう。

 最近、ボランティア先で知り合ったヒカリさんが、株式投資を始めました。自ら勉強してNISA口座を作り、VTを毎月2+ボーナス月5万円で積み立て開始。自動操縦の仕組みを整えてから、

「では、ほったらかします」。

高らかに宣言していました。

 ヒカリさんは、この春に結婚を控えた20代。時間を最大限に使えます。世界経済の成長×複利効果で、ふたを開ける頃にはすごいことになっていそう。

 自分ももっと早く、この賢明さを備えていれば・・・

「若者は、若さを無駄遣いする」___ジョージ・バーナード・ショウ



2019年1月12日

今年もホッタラカシ


 新春恒例! ミヤサカ・ファンドの運用報告です。

 まず、2018年の市場環境のおさらいから。すべて円ベースです。

 先進国株式-10.7% 新興国株式-18.1% 日本株式-17.8% 先進国債券-2.9% 新興国債券-11.5% ハイイールド債券-4.3% 日本債券+0.1% 先進国REIT11.2% 日本REIT6.7% 原油-26.8% 金-3%

 壊滅的です。11の資産クラス中、実に9クラスが値下がりしました。

 株式市場を国別に見ても、上がったのはブラジル株ぐらいでした。

 このタイミングで自分の証券口座を覗くのは、あまり気分のいいものではありません。でも年に1度は、現実を直視しなければ。

 さて。当期のミヤサカ・ファンドは・・・13%の値下がりでした。

 昨年の夏に「日経平均27年ぶりの高値」「ダウ平均が史上最高値を更新」というニュースを聞き、TOPIX及びナスダック指数のETFをつまみ食い(現金化)して使ってしまったので、正味の運用成績はマイナス10%になります。

 元旦時点のポートフォリオは、株式57%(先進国31%・新興国19%・日本7%)、債券23%(海外15%・日本8%)、REIT17%(海外13%・日本4%)、その他3%でした。

 いくら分散投資を心がけても、ほとんどの資産クラスが「枕を並べて討ち死に」した去年のような環境では、手の打ちようがありません。

でもブラジル株の値上がりを事前に予測することが難しい以上、個人投資家は適切に分散したポートフォリオを保持しながら、市場が低迷から脱するのを待つしかないのでしょう。

むしろ、これだけ株式市場が荒れて、よく1割の下落で済んだなというのが正直なところ。分散投資の威力ともいえます。

従って、今年も何もせず、ホッタラカシにします。

ちなみに、以前は保守的だった日本の年金基金(GPIF)も、今や株式保有比率は50%。北欧ノルウェーの年金基金は、66%が株式です。

当ファンドの57%という株式比率はその中間ですが、インドや中国、ASEANなど新興国株式の比率が高く、数字以上に攻撃的です。

その理由。未来を予測することは不可能ですが、世界の50年先の人口動態は、現在の出生率からほぼ確実に推定できます。

当ファンドは、今後も若者が増え続ける新興国と、先進国でも例外的に人口増加が続くアメリカの成長性に期待したポートフォリオになっています。

少子高齢化で確実に労働人口が減る日本の株は、最小限に抑えます。

投資理論の碩学チャールズ・エリスは、81歳の今も個人資産の100%が株式です。同じく86歳のバートン・マルキール(プリンストン大教授)は中国株を買って、「将来、孫たちにどでかい話ができる!」と豪語しています。

能天気なまでの、2人の積極性。ぜひ見習いたいと思います。



2018年12月29日

クロワッサンを英語で言うと?


 「これからの投資の思考法」 柴山和久著 ダイヤモンド社

  表紙裏の、著者略歴を見てびっくり。東大~財務省~ハーバード大(ボストン)~イギリス財務省(ロンドン)~INSEAD(パリ)~マッキンゼー(ニューヨーク)・・・

 私も一度でいいから、LinkedInにこんなプロフィールを書いてみたい。つながり申請が殺到するか、それとも怖がって誰も近づかないか。どっちだろう。

 本書が唱えるのは、とても正統的な「長期・積み立て・分散」の資産運用。それより、絵に描いたようなエリートでありながら、著者は辛かったこと、苦しかったこれまでの経験を、随所で正直に語っている。

「人を話に引き込むにはまず失敗談から」というのも、マッキンゼー流ロジックか。とにかく本筋の話より、個人的な部分に読みごたえがあった。

ボストン留学中、カフェでクロワッサンを注文した著者は、「ハアーッ?」と露骨に嫌な顔をされる。指でクロワッサンを指しながら何度も言い直すと、いちいち発音を直される。そんな日々が2年続いたという。

私も実は、子ども時代を過ごしたパリのパン屋で、まったく同じ経験をしている。いたいけな東洋の少年相手に大人げないことを、といまだに思う。

でもクロワッサンの発音を、よりにもよってアメリカ人に直された著者には、深く同情してしまった。

新人時代に財務省の職員食堂で、470円のA定食にするか560円の和定にするかで迷う。出向先のロンドンでは、ポンド高で800円もするスタバのカフェラテにたじろぎ、夫婦で香りだけ嗅いで店を出る。

そんな著者の質素な生活が、マッキンゼーのニューヨーク事務所に栄転したとたん、一変する。

クレジットカードはプラチナ。飛行機はファーストクラス。ホテルは専属バトラー付のスイートルーム。10ドル札が100円玉ぐらいに感じる高収入。

でもそんなVIP待遇と引き換えに、気がつけば週4日は出張という生活。旅先のホテルで、ひとりぽつりとソファに座りながら、著者は考える。

「本当の豊かさとは何か」「自分にとって本当に大切なものは・・・?」

 豪華さのスケールは足元にも及ばないが、私も週に4日は海外出張という日々が3年続いた。航空会社やホテルのお得意様になってアップグレードも受けたが、それらは所詮、会社の経費で得たものだ。

一方で、高い給料は強いプレッシャーと引き換えだし、家族と過ごす時間も滅茶苦茶になる。そのうえ帰国すれば、やりたくない管理職が待っている。私も出張先で、著者と似たようなことを自問自答するようになっていた。

 すごく共感できた。

マッキンゼーを退職した著者は2016年、人工知能で個人の資産運用を支援する会社を興す。大きなリスクを取って、一からスタートする道を選んだ。

 こういう人こそ、応援しなければ。

Tateshina Japan, Winter 2018



2018年12月15日

投資家は陸上選手


 トランプ米大統領が「I am a Tariff Man」とツイートしたら、ダウ平均が800ドル下落した・・・?

 ツイートとマーケットの動きに、本当に因果関係があるのか。幸い情報端末が不調で、市場の乱高下をリアルタイムで見ずに済んでいる。

 むしろ、これまで世界株安時に必ず起きていた円高が、まったく起きないのが気になる。円は安全通貨だ、という外国人投資家の幻想が剝がれてきたのか。とめどなく膨張する財政赤字を放置する日本の「Xデー」は近いかもしれない。

「インベストメント ハードラー」 為末大 講談社 2006年発刊

 400mハードルで世界選手権銅メダルに輝いた著者が、自らの投資経験を語った異色の本。

 為末は子供のころから「駆けっこ」に強く、中学時代に出した短距離の記録は、あのカール・ルイスの中学時代より速かったという。著者は冷静に自己分析し、「あれは単に体が早熟だったため」と、ハードル走に転向する。

 陸上選手は持って生まれた資質の面が大きいが、ハードル走は技術が必要とされ、ち密でかつ限界まで耐え抜くような厳しいトレーニングが必要となるという。

 だからハードル走には根性が大きな意味を持つが、覚悟や根性といった心の強さが日本人の最大の特徴だ、と著者は説く。「日本人は耐えられるのだ」

 日本人は耐えられる。この特質は投資にも応用できると私は思う。数多の暴落に耐え、複利効果を生かしてゆっくりお金持ちになっていく「株式長期分散投資」こそ、日本人向きの投資戦略だ。

 ところが、実際に為末の身に起きたのは、「30万円が3年で2000万円になる」という経験だった。

 暖かいトレーニング環境を求めて訪れたタイで、彼は投資会社の日本人社長に出会う。時はちょうど、アジアを金融危機が襲って間もなく。社長に託した金は、資金不足で工事が止まった建設中のマンションに投資された。

建物を完成させ、数倍の値で転売して得た資金を、今度はスマトラ沖大地震からの回復局面にあったタイ株市場に投資。かくして、30万円が2000万円に。

為末自身も断っているが、これはめったにない投資チャンスを運よく掴めたということだ。読者が真似してアジアの不良債権市場に手を出したら、大やけどするだろう。

「そもそも私は陸上選手である。陸上選手にとって最大のリスクは陸上以外のことに思考が向かってしまうこと」と自戒して書いている。だが為末はこの本を出した後、目立った成績を残すことなく引退している。

投資の大成功が、かえって彼の選手生命を縮めることになってはいないか。

宝くじが当たった人や、プロスポーツ選手の引退後に自己破産が多いことは、よく知られている。準備ができていない人の頭上に、お金が雨あられと降り注ぐと、その結末はあまり幸せではなさそうだ。

「雨あられ」ほどでもなかった為末は、引退後も各方面で活躍している。



2018年11月2日

蒸留された情報


 新聞記者だった先輩が、退職と同時にテレビを捨てた。

 会社にいる時はもちろん、休日も家のテレビをつけっ放しにしてニュースを追い、緊急速報のチャイムに身構える。そんなことを何年も続けていると、確実に心が摩耗する。

 仕事上の必要がなくなってしまえば、ニュースがなくても困らないことに、私も気づいた。

 そして、投資家にとっての経済ニュースも、ただ気ぜわしいだけだ。経済専門チャンネル(CNBC、ブルームバーグなど)をつけっ放しにしている人は、ちょっとカッコいいが、有益とは限らない。


「まぐれ」(Fooled by Randomness)の著者ナシーム・N・タレブは、オプション取引のトレーダーにして大学教授。彼もマスコミに対して辛辣だ。


「マスコミは私たちが出くわす最大の害悪」「世界はどんどん複雑になり、一方私たちはどんどん単純化されたものにばかり接するようになる」

「マスコミと歴史の違い=ノイズと情報の違い」

「マスコミでありながら有能な人間であるためには、物事を歴史家のような視点で見て、自分が提供する情報の価値を割り引いて考えなければならない」

「新しい考え方よりも蒸留された考えにこそ価値がある」

「疑わしい時はシステマチックに新しいアイデアを否定するのが一番いいやり方だ。明らかに、そして驚くべきことに、常にそうなのだ」

「情報の問題点は、気が散るところや一般的には役に立たないところではない。有毒なところだ」

「不確実性の下で意思決定を行う時には、マスコミには可能な限り接しない方針を持つのが正しいはず」

「マスコミにとって、黙るぐらいならそれこそ何でもいいからしゃべった方がましなのである」

「蒸留されていない情報の蒸留された情報に対する比率が上がり、市場は前者で溢れかえっている。昔の人の戒めなんか、緊急ニュースで届いたりしない」



 最近起きたマーケットの変動を、マスコミは米中貿易戦争」結びつけたが、本当だろうか。

 市場でつけられたものの値段が、その本質的な価値より高くなりすぎれば、いつか必ず元に戻る。その逆もまた真なり。今回も、それだけの話だと思う。



「やっぱり詩でも読んでいる方がいい。何か本当に重要な事件が起きたなら、どのみち私の耳までたどり着くだろう」

2018年9月22日

リーマンと一サラリーマン



「100年に1度の金融危機」リーマン・ショックから10年。

 20089月のあの日、まともな人ならマイホームや子どもの教育に充てるであろう有り金全てを、私は世界中の株に注ぎこんでいた。

株式市場の大暴落で、1000万円単位のお金が一瞬で吹き飛んだはずだ。

 でも憶えていない。努めて証券口座の残高を見ないようにしていたおかげで、何も知らずに済んだ。


危機の黒い影はしかし、数年かけてじわりじわり、わが身辺に及んできた。

リーマン半年前まで、私はバンコク特派員だった。当時はイランやアフガンから南太平洋の島々まで、自分の縄張りの中は自由に動くことができた。ところがリーマン後、後任O君は、東京の許可がないと出張に出られなくなった。

現場にいなければ写真が撮れない報道カメラマンに、現場に行くなという。

その後、なんと海外駐在のポストそのものが消滅し、O君は任期途中で戻された。

その頃、私は転勤で九州へ。新しい職場に顔を出すと、いきなり「キミの引っ越し代は高すぎる」と怒られた。

夫婦2人なのに3LDKでないと荷物が収まらない。人よりモノが多いのは認める。でも何度も社命で転勤して、こんなこと言われるのは初めて。

転勤先で45歳の誕生日を迎えた。すると「セカンドライフ研修」なるもののために、わざわざ飛行機で東京本社に集められた。

配られた冊子には、退職金の算出方法がこと細かに書かれている。講師に言われるまま、計算式に則って「老後のマネープラン」を作成する。割増退職金さえあれば、いま辞めてもそれなりに暮らせるという結果が出た。

本当に信じていいものか。SONYの「追い出し部屋」ほど露骨ではないにせよ、「3年で辞められても困るが、20年以上しがみつかれるのはもっと困る」という会社の本音が、透けて見えた。

 現場に出られなくなった時が潮時、とは思っていた。経費節減に血道を上げる上司の存在が、強く背中を押した。なんだかんだでリーマン・ショックは、私個人のライフシフトに大きな影響を与えた。

フリーになってから、福祉や教育関連のNPOに巡り合った。福祉と教育は、どんな金融危機にも影響を受けない大切な分野だ。「理念だけではメシは食えない」のも確かだが、とてもやりがいがある。

 買った株を危機後ほったらかしておいたのも正解だった。ダウ平均はその後3年で危機前の株価を回復し、現在は2008年当時の4倍。日経平均もこの10年で3倍になって、生計を支えてくれる。

 先日とあるNPOの、ウナギ屋での慰労会に招かれた。会費は無料。重箱のふたを開けると、ウナギが折り重なるほど盛られていて、ご飯が見えない。

 NPOは人を大切にしてくれるなあ。しみじみと味わった。


Tateshina Japan, Autumn 2018



私はカモシカ

  ・もし、自分を動物に例えるとしたら? A 子「リス」  B 子「カモシカ」  C 子「飛べない鳥」  D 子「ウサギ」  E 子「フクロウ」 ・あなたが人生の最後に食べたいのは? A 子「オムライス」  B 子「あん肝」  C 子「寿司」  D 子「オムライス」 ...