この1週間で2度、女性の涙を見てしまった。
最初は、臨床心理面接特論の授業中。
K子先生の気まぐれで、1週間の出来事を、学生が順番にコメントすることになった。
私はテキトーに思い出したことを話し(何を言ったかも忘れた)、M子さんの番になった。
突然、彼女の眼から、ぽろぽろ涙がこぼれ落ちた。
声を詰まらせながら、可愛がっていた犬が死んでしまった、と。
K子先生は、顔色ひとつ変えない。
「そうですか。ハイ、じゃあ次の人!」
もう一度は、ケースカンファレンス(事例検討会)の席上で。
大学院2年の先輩C子さんが、自分が受け持っているクライエント(父を亡くして不安定になった5歳男児)との面接の様子を発表した。
それを聞いたベテランの先生方から、
「彼の万能感を満たすと言っておきながら、あなたは彼の攻撃性を怖がっていますね」
「セラピーの方向性が、見えてきません」
容赦ない指摘が飛ぶ。
やがて、C子さんの瞳からも涙が…
C子さんいわく、
「先生の指摘で泣いたんじゃない。あの子の心情を思い出して泣いたんだよ!」
人の情動に関する学説のひとつに、ジェームズ・ランゲ説がある。
「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい」という理論だ。
外的な刺激を受けると、まず身体反応(涙)が先に現れ、それを大脳が感知することで情動(悲しさ)が生じるのだ、という。
いっぽう、キャノン・バード説というのもある。
外的な刺激を受けると、神経信号が大脳と身体末梢に分かれて到達し、情動(悲しさ)と身体反応(涙)が同時に発生する、という考え。
さらには、シャクター・シンガー説がある。
情動の発生には、生理的喚起と認知的解釈の2要因が必要で…
以下略。
理論はともかく、私は女性の涙に弱い。
すぐ、すごく、動揺してしまう。
(たぶん、男の涙にも弱い)
先生方に「オロオロしてないで、涙の意味を解釈しろ!」と、どやされそう。
プロの心理士になったら、毎回クライエントの涙にうろたえるわけにもいかないし…
はぁ。
やっぱり心理職、向いてないかも。
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