夜のセブ国際空港に降り立ち、配車アプリで白タクを呼んで市内へ。
その途中、突然ドライバーが
「アイウォントペイ!」「アイウォントペイ!」
叫びながら、急ブレーキで暗がりにクルマを停めた。
すわ、ドライバーが強盗に変身か! 一瞬、身構えた。
でも彼は車を降りると、一目散に草むらに駆けていく。
どうやら、膀胱が満タンだったようだ。アイウォントピー、だった訳ね。
ここセブ島は、本物の銃が撃てることで有名らしい。今回の留学先「C英語アカデミー」の女子が、盛んに「テッポウ撃ってみたい!」という。
最初の週末、その好奇心に便乗することにした。
個人レッスンで教わっているS先生が、ガンクラブの会員だ。射撃練習場に予約を入れてくれた上に、マイカーで送迎までしてくれた。
インストラクターに撃ち方を教わって、手始めに、片手で撃てる拳銃からスタート。憎っくきパワハラ元上司の名前をターゲットに書いて、コルトの9ミリで撃ちまくった。
だが残念! 急所を外した。運のいい奴だ。
次に、銃身の長いショットガン(45キャリバー)を試す。ヘッドセットとゴーグルを身に付けても、ものすごい発射音と衝撃が、身体全体に伝わってくる。実弾50発を購入したが、半分も撃てずにギブアップした。
射撃場の客は、軍隊上がりみたいなマッチョばかり。我々は完全に場違いで浮きまくったが、同行のニッポン女子たちは、思いのほか楽しんでいた。
私「S先生、ずいぶん野蛮な趣味を持ってますね~ テッポウ撃つのってそんなに楽しい?」
S「それはもう! 水鉄砲を撃ってたガキの頃から好きでしたから。ガンシューティングは、ぼくのstress reliever でもあるんです」
私「もし日本が戦争に巻き込まれても、敵をテッポウで撃つなんて、ぼくには無理。その時は難民になってセブ島に亡命するから、かくまって下さい」
S「ふふふ…そんなことは、サナエが許さない」
私「…頭のおかしな奴が来て乱射事件を起こしたら、なんて心配しないの?」
S「それはぼくも怖い。一度、べろべろに酔ったウチの生徒が来たことがあって、とっても怖かった。それ以来、やばそうな生徒が銃を撃ちたいと言ってきた時は、予約でいっぱいだと断ってますよ」
その数日後。レッスン中の雑談で、S先生自身も大の酒好きだということが判明した。アルコールが切れると、手が震えてくるという。
実弾射撃場…やっぱり、相当やばい場所みたい。






