去年のセブ島英語合宿は、先生が500人いるマンモス校だった。
グループレッスンには、韓国美人のミョンジンや、マカオのイケメン・マークがいた。校内のカフェテリアでは、ベトナムやロシア、モンゴル、台湾、タイ、フランスの人たちと知り合えた。
打って変わって今年は、先生も生徒も20数人、という小規模校。しかも、クラスメートは全員が日本人。セブ島の片隅に、空気を読んだり忖度しあったりの、小さな日本人社会ができた。
朝昼晩の食事時は、全員が寮の食堂に集まる。語学留学の常で、マジョリティは女性だ。果たして今日は、どの席で誰と食べようか…毎回、気を遣った。
髪を金色に染めたminaさん(推定60代)が、持参のウイスキーをテーブルにドンと置き、ドバドバとコップに注いでいる。2日で1本が空くハイペース。目が据わっていて、怖い。
「うちな、マニラのスラム街で子どもに飴ちゃん配るのが好きやねん」
根はやさしい人…かも。
そのminaさんと寮で相部屋なのが、東京から来たminoriさん(21)。ある晩、minoriさんが寝ようとすると、隣のベッドの真ん中に、まあるい丘がふたつ、暗がりに並んでいるのが見えたような、見えなかったような…
翌朝、minaさんが
「うちな、寝る時はいつも素っ裸になるねん。自宅のベッドはシーツが上等やから、裸で寝ると、そら気持ちええで~」
minaさんが席を外した時の、私とminori さんの会話。
「生まれも育ちも世代も違う大阪の酒豪と暮らせて、minoriさんってすごいな。ホント尊敬します」「もっと他のことで尊敬して下さい」
miho(29)さんは長身、黒髪のクールビューティ。きっぱり会社を辞めてきた。
「ITエンジニアは、転職しないと給料が上がりませんから」
そして、
「英会話を勉強する目的は、クラブで金持ちの白人男をゲットしたいから」
と公言する。
mihoさんの率直な言葉を受けて、清楚な方々のガールズトークがさく裂した。
「この辺の男はビンボーだから、タクシー拾ってITパークに行くといいよ」
※ITパーク…マイクロソフトやIBMなどの多国籍企業が集まるセブ島の異界
「ワーホリ行くなら、イケメンが多いカナダがお勧め! 私もめっちゃ惚れた人ができて、2人で旅行に行ったりで楽しかった」
「私が高校時代つき合ってた男は、担任の女教師と二股かけてた。卒業式で、そいつと先生がペアリングしてるの見ちゃった」
「TV業界の男は、すぐ二股かけるから要注意だよ」
世の中そんな男ばかりじゃないよ、と言いたかったが、所詮は多勢に無勢。
セブ島の蒸し暑い夜が、今日もぽつりぽつりと更けていく。






