2026年6月12日

私はカモシカ

 

・もし、自分を動物に例えるとしたら?

A子「リス」 B子「カモシカ」 C子「飛べない鳥」 D子「ウサギ」 E子「フクロウ」

・あなたが人生の最後に食べたいのは?

A子「オムライス」 B子「あん肝」 C子「寿司」 D子「オムライス」 E子「ウナギ」

・地球滅亡の日、3人だけロケットで脱出できるとしたら、誰を乗せる?

A子「私以外の乗りたい人」 B子「私は辞退する」 C子「私、母、弟」 D子「科学者、医師、心理士」 E子「私と、年下で女性の友人」

・自分の母親を、漢字一文字で表すとしたら?

A子「明」 B子「自」 C子「保」 D子「緩」 E子「情」

・自分を1から9までの数字で表してください

A子「7」 B子「7」 C子「4」 D子「2」 E子「9」


クラスメート5人が、5つの質問の答えを無記名で回答した。

最後に、どの回答を誰が書いたかを、皆で当てっこ。

イエーイ! 全員を正確に当てられたのは、私だけ。

4月の入学式で知り合ってから、2か月半で5人のパーソナリティをかなり正しく把握した。我ながら、鋭い観察眼。

自分、心理職に向いてるかも!

ちなみにこれ、ある日の大学院「臨床心理基礎実習」です。

発表と課題地獄の中、たまにこうやって息抜きさせてくれるのが嬉しい。

 

これまでに複数の先生から、

「心理系の大学院では、朝から晩まで100%心理学ばかりやるから、いやになるほど自分や他人の心について考える。すると、クラスメートの間に不思議な力動が働いて、妙な対立関係になったりする。会社の同僚同士みたいな関係とは、ぜんぜん違うよ」

と、いうようなことを言われた。

今のところ、クラスメート同士の仲はとてもいい。

実際にクライエントを持つようになると、我々のメンタルが悪化する、という話も聞くが…

 ちなみに、わがクラスメート(2223歳女子)は

「もしクライエントを選べるなら、権威主義的な中高年男性だけはイヤ!」

と、異口同音にいう。

自分の属性は、相当嫌われやすいみたいだ。

くれぐれも、言動には気をつけます…

Chennai, South India 2026




2026年6月4日

感情をコントロールする

 

件の「巨人アベカントク解任事件」、わが大学院でもかなり話題になった。

授業中に警視庁捜査一課の刑事にLINEして、「家庭内暴力の現行犯逮捕って可能なの?」と聞く教授がいたかと思えば…

「児童相談所が警察に通報するってアリですか?」と学生に聞かれて、「エッ何の話? へぇー、そんな大ニュースがあったんだ!」と返す世間知らずは、元児童相談所長のM先生。

「よく知らないけど…その一家、揃っておバカさんよねー」

M先生のコメントに、座布団10枚。


 健康社会学者の河合薫さんが、アベ監督事件に関連して、感情をマネジメントすることの大切さを説いている。

日経ビジネス電子版の記事から、一部を紹介します。

SNSが普及し、あらゆる「密室」が可視化される現代において、一瞬の感情の暴走が、何十年もの歳月をかけて築き上げてきた「信頼とキャリア」のすべてを台無しにしてしまう破壊力を持つ

・現代社会は、体を動かす「肉体労働=ブルーカラー」、知識を使う「頭脳労働=ホワイトカラー」に加えて、「感情労働=自分の感情をコントロールし、組織が求める適切な表情や態度を維持して相手をケアする労働」が増えた

・感情労働とは、サービス業や医療・看護、カウンセリングなどの仕事

・そして、人間だけが「社会的な生き物」として、他者と共生するために感情をコントロールする知恵=EQEmotional Intelligence)を持っている

・人生の成功を予測するのは IQ (知能指数)ではなくEQであり、EQは誰もが高められる能力

・社会が同じ価値観を持っていた時代は、感情の暴発や不機嫌も「厳しい指導」として回収された。しかし「パワハラ」という新しい言葉が生まれ、「厳しい指導」という間違った正義に耐えていた人たちが可視化され、ただの暴力に過ぎなくなった。上司は部下をコントロールする武器を失った

・たとえそれが子であれ、親であれ、友だちであれ、誰であれ、罵るような言動は決して正当化されるものではない。感情を爆発させて一番後悔するのは自分自身

・感情コントロールは、決して難しいものではない。ネガティブな感情を抑えたり消したりするのではなく、ちょっとだけ「間」をつくるだけで、他者を傷つけない言動に置き換えるシステムが人間にはある

・怒りや強い衝動が湧いたら、その場を離れる、深呼吸する、紙などをギュッと握りしめる、心の中で数字を数える、などするだけでいい。その「間」ができると、情動を抑える理性が働くのだ

Alleppey, South India 2026





2026年5月29日

涙の意味は?

 

この1週間で2度、女性の涙を見てしまった。

最初は、臨床心理面接特論の授業中。

K子先生の気まぐれで、1週間の出来事を、学生が順番にコメントすることになった。

私はテキトーに思い出したことを話し(何を言ったかも忘れた)、M子さんの番になった。

突然、彼女の眼から、ぽろぽろ涙がこぼれ落ちた。

声を詰まらせながら、可愛がっていた犬が死んでしまった、と。

K子先生は、顔色ひとつ変えない。

「そうですか。ハイ、じゃあ次の人!」


もう一度は、ケースカンファレンス(事例検討会)の席上で。

大学院2年の先輩C子さんが、自分が受け持っているクライエント(父を亡くして不安定になった5歳男児)との面接の様子を発表した。

それを聞いたベテランの先生方から、

「彼の万能感を満たすと言っておきながら、あなたは彼の攻撃性を怖がっていますね」

「セラピーの方向性が、見えてきません」

容赦ない指摘が飛ぶ。

やがて、C子さんの瞳からも涙が…

C子さんいわく、

「先生の指摘で泣いたんじゃない。あの子の心情を思い出して泣いたんだよ!」

 

人の情動に関する学説のひとつに、ジェームズ・ランゲ説がある。

「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい」という理論だ。

外的な刺激を受けると、まず身体反応(涙)が先に現れ、それを大脳が感知することで情動(悲しさ)が生じるのだ、という。

いっぽう、キャノン・バード説というのもある。

外的な刺激を受けると、神経信号が大脳と身体末梢に分かれて到達し、情動(悲しさ)と身体反応(涙)が同時に発生する、という考え。

さらには、シャクター・シンガー説がある。

情動の発生には、生理的喚起と認知的解釈の2要因が必要で…

以下略。

理論はともかく、私は女性の涙に弱い。

すぐ、すごく、動揺してしまう。

(たぶん、男の涙にも弱い)

先生方に「オロオロしてないで、涙の意味を解釈しろ!」と、どやされそう。

プロの心理士になったら、毎回クライエントの涙にうろたえるわけにもいかないし…

はぁ。

やっぱり心理職、向いてないかも。

Pondicherry, South India 2026



2026年5月22日

快適すぎるインド旅行

 

大学院入学を控えたこの春、卒業旅行と称して南インドを旅した。

旧フランス領のポンディシェリ、旧ポルトガル領コーチン、同ゴアなど「インドの中の西洋」を巡り、1日3食、朝からカレーを食べ続ける旅。

この辺りのカレーは「ケララカレー」といって、ココナツベースで甘みがある。日本のインド料理店にはない深い味わいで、毎日食べても飽きなかった。

 初めてインドを旅したのは、大学1年だった19歳の春。「地球の歩き方」を片手に、安宿の相部屋に泊まり、屋台のカレーを食べながら、酷暑の北インドを横断した。

人と牛と人力車が溢れる街の大通り、老若男女の遺体が次々に燃やされるガンジス川の火葬場、カルカッタ(現コルカタ)の路上で行き倒れになっていた人…

生と死が露骨なインドを、体で感じる旅だった。

貧乏旅行の代償は大きかった。旅行2日めから1か月後の帰国まで、ず~っと下痢続き。成田空港の検疫で赤痢菌が検出されて、隔離病棟送りと相成った。

 今はもう、あの頃みたいに超満員の長距離列車の網棚で寝たり、2人掛けのシートに3人が重なり合うように座る夜行バスで移動するような気力、体力はない。社会人の財力にモノを言わせて、大名旅行をした。

少し長い距離の移動には、すかさず飛び道具を使った。今はインディゴというLCCが、インド全土に路線を広げている。何度も乗ったが、いつも定刻に飛び立ち、定刻に着いた。機内は清潔で、乗客のインド人も静かでマナーがいい。

このインディゴ、近年はわがJALANAを定時発着率で上回るほどの正確さ。

陸路の移動でも公共交通を使わず、配車アプリでタクシーを呼んだ。最長で4時間、貸し切りで移動したが、エアコンが効いた車内は快適だった。

水郷の街アレッピーでは、ベッドルーム付の観光船をチャーター。キャプテンとネパール人キッチンボーイを専属で従えて、船旅を楽しんだ。1泊2日で100ドルちょっとだから、南インドはまだまだ物価が安い。

そして近年のインドは、日本以上のキャッシュレス社会。地元の人は屋台の支払いさえ、QRコードにスマホをかざしている。クレジットカードも普通に使えた(一部、端末が不調だったり停電したりで決済できず、近所のATMまで現金を下ろしに行ったりもしたが…)。

今回は屋台で飲み食いせず、テーブルクロス付きのレストランで食べたので、胃も快調そのものだ。

そんな旅で、飛行機やタクシー、船の上から眺めたインドは…

どうも、期待したほどのインパクトがない。

インドが変わったというより、自分が変わってしまったのだろう。

インドの旅には、適齢期というものがある。

Alleppey, South India 2026



2026年5月15日

心理学者のイギリス

 

第一志望校に3連敗して入ったこの大学院に、奇跡が起きた。

私が入学した4月に、PCA(クライエント中心療法)のビッグネームが、他大学から移ってきたのだ。

実はワタクシ、目指すはPCAのカウンセラー。

予備知識もなく入学した第二志望の大学で、こんな幸運に巡り合うとは…

そして他の教授陣も、京大出身のユング派分析心理学者ロールシャッハ・テストの第一人者長年子ども臨床の最前線で活躍してきた人などなど、個性的な顔ぶれ

これまで高校も大学も就職先も第一志望に落ちてきたが、今回も第一志望に落ちて本当によかった!


イギリスの大学院で心理学の学位を得た先生も、2人いる。

そのひとりK先生は、ジョン・ボウルビィなどの心理学者を輩出したタヴィストック・クリニック週4回の精神分析を、3年間にわたって受けた。

カウチに寝た状態で行われる、本格的な自由連想法だ。

もし自分が受けたら、無意識の中身を丸裸にされそうで、怖い。

ある意味、とても厳しい訓練だ。

K先生に感想を聞くと、淡々とした口ぶりで、

自分の何かが大きく変わったということは、特になかったなぁ

「でも、こんなに私の話を熱心に聞いてくれる人がいる、と感動しましたよ」

「帰国したら、奥さんに優しくなったかな」

学生にも優しくなった」

ということだった。


もうひとりの英国帰り、M先生は留学イギリス人相手に100回の心理面接を行い、優秀な成績で修了した。

すべて英語でったのだから、とても大変なことだ。

M先生には、非言語的な共感的理解の力が備わっているのかも…


100セッションの中に、こんな相談事例があったという。

「日本人の女性とセックスがしたい」

なんて突拍子もない…

M先生、身の危険を感じたのではないだろうか。

PCAでも精神分析的心理療法でも、セラピストはクライエントのすべての言葉に対する「平等に漂う注意」が必要とされる。

だがM先生は、先の言葉に囚われて、その後のセラピーをうまくこなすことができなかった。

休暇で一時帰国することになり、彼を先輩心理士に託して、日本へ

先輩心理士が聞き出した彼の本当の主訴は、大切な友人を亡くしたことの喪失感だったという。


心理職は、言葉の裏の裏まで読まなくてはいけない、といわれるが…

安月給の割に、大変な職業だ。


Traditional Kathakali Dance, south India 2026




2026年5月8日

酸っぱいおっぱい

  

臨床心理基礎実習のマリ先生がまたまた、とても自己開示的な話をしていた。


マリ先生は、長い間、梅干しが苦手だった。


弁当の梅干しをどけても、ご飯の赤く染まった部分さえまったく食べられない。


ある時、実家にあった古い母子手帳を見て、自分の離乳がとても早かったことに気づいたマリ先生。傍にいた母に、その理由を尋ねた。


母の告白は、衝撃的だった。


「マリがおっぱいを嫌がるように、赤チンをおっぱいに塗って真っ赤にしたの」


「そして、梅干しの汁を乳首になすりつけたのよ


「家業の豆腐屋を助けて、早く配達に出たかったから…」


その場で、母と大ゲンカしたマリ先生。


不思議にもそのケンカ後、普通に梅干しを食べられるようになったという。



若い世代で恋愛が進まず、結婚も出生も減っている現状に対して、長谷川 眞理子・日本芸術文化振興会理事長「小さなリスクを試せぬ社会構造を見直すべし」として提言している。


賛否ありそうな話だが、「そうかもな」と思えたので、日経ビジネス電子版の記事から一部を紹介します。


・家族計画が一般化し、子どもは「授かるもの」から「今の生活と比べて選ぶもの」になった


・今、経験している仕事や趣味の楽しさは確実だが、子どもを持つ生活は未知だ。未知より既知が選ばれるのは自然で、先送りが重なれば出産の高齢化は避けられない


女性の社会進出も状況を変えた。30代がキャリアの山場となり、結婚や出産と競合しやすい。親族からの結婚圧力がなくなり、女性も経済的に自立できる以上、結婚はよっぽどの理由があるときに限られる選択肢になった


・また、都市では人が多いほど他者の背景が見えず、すれ違うだけの環境で恋愛が自然発生する方が例外


 SNSによって承認の基準が外側に置かれ、傷つくことへの恐れが肥大化する。失恋は“失敗”として過剰に重く扱われ、深い関係そのものを避けるようになる。便利な生活も拍車をかけ、あらゆる時間が一人で完結できてしまう


・恋愛はその中で最もコストの高い行為になった


・人間が持つ「誰かとつながりたい」という根源的な感情は消えていないが、その一歩を踏み出す力は鍛えなければ育たない。恋愛に限らず、未知に向かって試し、傷つき、回復する経験が必要


・現代社会では、その試行錯誤の機会が極端に乏しくなった。親も学校も企業も「失敗させない」ことを重視し、安全を過度に求める。だが失敗を避け続ければ、挑戦の筋肉は育たない


・失敗を避ける社会の中で恋愛や家族形成だけが「実践の場」を持てずにいる。どれだけ情報を与えても、人は実際に動いてみなければ学べない


・だからこそ求められているのは、安全に小さなリスクを試せる環境



Pondicherry, South India 2026


私はカモシカ

  ・もし、自分を動物に例えるとしたら? A 子「リス」  B 子「カモシカ」  C 子「飛べない鳥」  D 子「ウサギ」  E 子「フクロウ」 ・あなたが人生の最後に食べたいのは? A 子「オムライス」  B 子「あん肝」  C 子「寿司」  D 子「オムライス」 ...