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2026年8月14日

受話器の向こう側


 やっと終わった~!

鬼門の「心理統計法特論」期末レポート課題。

大学院の期末試験は、教室でテストを受ける代わりに、2週間かけて長文レポートを書くのです。

そしてその締め切りが、お盆の真っ最中。

途中で他の集中講義も挟まるから、夏休みなんて絵に描いた餅だ。

統計法の期末課題で私が選んだのが、「175カ国117,293人の参加者による、恋愛とパートナー選好に関する異文化間データ」。

その膨大なデータの中から「性別」と「浮気の経験の有無」の組み合わせで尤度比検定を行い、x²分布による近似計算法でP値の評価を行った。

統計解析用のプログラミング言語「R」を駆使し、クロードさん、チャッピーさん、ジェミニさん、副操縦士さんら生成AIの助けも借りて(←教授にはナイショ)、なんとか締め切り前日にレポートを仕上げた。

こう書くと、いかにも統計を理解しているように聞こえるが…

実は、最後までよーわからんかった。

このレポートが書けたのは、休日のスターバックスで、一杯のフラペチーノと引き換えに手伝ってくれたクラスメート(中学時代から交際している彼氏を尻に敷いて君臨する女王、Hさん)のお陰だ。

それにしても、まさかこの年で統計解析言語と格闘することになるとは、ね。

 

心理系大学院の数ある実習の中で、最近始まったのが「電話相談実習」。日常の悩みや不安、こころの健康に関する相談を電話で受け付ける、その受け手を務めるのだ。

受話器の向こう側は統合失調症の患者さん、「死にたい」と訴えてくる人、ひたすら「もやもやする」を繰り返す人、1時間に30数回ワン切りコールする強迫神経症と思われる人など、さまざま。

相談員を務める修士2年の先輩たちの受け答えは、手慣れたものだ。

こんなこと、果たして自分にできるのか?

今のところは陪席で済んでいるが、夏休みが明けると、いよいよ我々1年生の出番だ。

…不安が募る。

午後7時に実習を終え、引き続きスーパービジョン(指導教員による振り返り面接)を受けた。今夜のスーパーバイザーは、メタルフレームの眼鏡が似合う、知的美人のO先生。各事例を丁寧に聴いて、的確なアドバイスをくれる。

1時間ほどで、スーパービジョンも終了。

研究室の壁に停まった蚊を一撃で仕留めながら、O先生がつぶやく。

「実は…私も寂しい真夜中、つい電話相談に頼っちゃうのよね。『こんな時間にスミマセン~』なんて言いながら」

せ、先生…

ダ、ダイジョーブ?

※写真と本文は関係ありません

Summer camp, Nagano Japan 2026




2026年8月8日

サマーキャンプ


我が家から峠道をクルマで少し登ったところに、NPOが運営する自然学校がある。

毎夏、2泊3日で行われる小学生のサマーキャンプを手伝う。

今年はやけに子どもが少ないなと思ったら、クマ出没の風評被害で、参加者のキャンセルが急増したのだという。

この辺、クマは出ないんだけどな。

東京の親にしてみれば、長野県内はどこも同じか。

私は今年も木登り担当。

木登りといっても、岩登り用ロープとハーネス、ヘルメットを着用して、高さ10m以上のカラマツを登る、本格的な「ツリークライミング」だ。

3mも登らないうちに「怖いよ~!」と大泣きしていた子が、2度目のトライで見事に完登! 成長した子どもの笑顔を見るのは、いつも楽しい。

初対面なのにベタベタまとわりついてくる子に、「この子は無秩序型愛着スタイルの脱抑制型対人交流症なのかな?」と思ってみたり、果ては虫かごの中で蠢くクワガタにまで「こいつ、注意欠如多動症に違いない!」と思ってみたり。

ふだん朝から晩まで心理学漬けになっているせいで、脳内が、かなりヤバいことになっている。

他のクワガタの下敷きになってもがくADHDクワガタを観察していたら、横から

「この子、いじめられてかわいそう…」という声が。

自然学校スタッフのエイコさんが、クワガタをつまんで、別の虫かごに移し替えた。

小学生ばかりか、クワガタにまで優しい気配り…

これぞ自然学校スタッフとして、いや人として、あるべき姿だ。

いや~、気をつけないと!

Summer camp in Yatsugatake, 2026



2026年7月24日

かわいいペットがやってくる、かも

 

わが大学には「院生室」という、大学院生のための休憩室がある。

修士課程の1,2年生合わせて12人で占有できる、なかなか贅沢な空間だ。

でも院生室のドアを開けると、トカゲが床を走り去る。

入り口で靴を脱ぐと、スリッパの中にムカデや蜂が潜んでいるから、要注意。

校舎の三方を畑と裏山に囲まれた、自然豊かな(豊かすぎる)環境だ。

そんなある日の、ランチタイム。

クラスメートの地元女子たちは、お母さんが作ってくれた弁当を広げている。

私は寂しく、コンビニで買ったサンドイッチをかじる。

大学院生にもなってママのキャラ弁かよ!と、心の中で毒づきながら…

すると、隣のテーブルに陣取った修士2年の先輩が、

「私、ミヤサカさんの飼いネコになる! 皿洗いするネコ!」

「ぼくはミヤサカさんの飼いイヌになる! 掃除と洗濯するイヌ!」

と、口々に言い始めた。

私が株で生活していることは、どこかでポロっと言ったかも。

そこに尾ひれ背びれがついて、「ミヤサカさんはお金持ち」ということになってしまったみたい。

みんな、よっぽど就職活動で苦労してるんだなぁ。


そしてついに、運命の日がやってきた。

心理統計法特論、恐怖の100分間プレゼンテーション!

ポアソン回帰、最大対数尤度、階層ベイズモデル、パラメトリックブートストラップ法、ロジットリンク関数、一般化線形混合モデル、マルコフ連鎖モンテカルロ法、無情報事前分布、BUGSコード、Neyman-Pearsonの検定の枠組み…

私には「宇宙語」にしか聞こえない統計用語とパワーポイントを駆使して、みんなの前で発表しなければならないのだ。

私の前週に発表した才媛モエカさんが、「ミヤサカさんのために、優しくかみ砕いて解説してあげたよ」という。

ううう、ありがとう。でも、それでも、1ミリもわからんかった…

絶体絶命。でも、この単位だけは落とせない。

自分の担当分野を文系的理解で徹底的に読み込み、乱数シミュレーションはパソコンの統計ソフトにぶち込んで、本番に臨んだ。

さも理解しているように見せかける、我ながら惚れ惚れする、演技力。

そして、わがクラスメートの、万雷の拍手による援護射撃。

頭の上に大きなはてなマークを乗せたまま、T教授が「ま、いいか」という表情で、合格点をくれた。

安堵のあまり、パソコンの上に突っ伏した。

Goa, South India 2026



2026年7月17日

インテーク面接

 

大学併設の「心理臨床センター」で行われたインテーク面接(初回面接)に、初めて陪席した。

初対面の相談者から、限られた時間でできるだけ多くのことを聞き取り、継続面接につなげる大事な面接だ。

ゼミのM先生に

「ぼく、これからインテークの陪席やるんです」

と言うと、

「あなた、面接中に絶対うなずいたらダメよ!」

とくぎを刺された。

私はふだんの会話で、やたらうなずく癖がある。平均、1分間に約10回。

陪席者のうなずきは、相談者にとってもカウンセラーにとっても目障りで、面接の流れを妨害してしまうらしい。

ここは、壁の花に徹しなければ…

20代女性の相談者を相手に約100分間に及んだ面接中、うなずくのを我慢していたら、首がガチガチに。

相談者の言葉を一言一句漏らさず書き取って、後で逐語録を作るという大役を仰せつかっているのに、「うなずき厳禁」に気がとられて、つい手が止まってしまう。

あぁ、早く一人前のカウンセラーになって、思う存分うなずきたい!

(写真は「南インド・カレーの旅」第3弾です)





       


2026年6月19日

マスクの物語思考

 

「私が見てきた限り、心理専門職を目指す大学院生の半分は、セラピストというよりクライエントよ」

週1回のゼミで放たれた、指導教官M先生の爆弾発言。

言われてみれば、クラスメートには心に古傷を負っていそうな、過去を聞くのがはばかれるような人もいる。

そういう人だからこそ、心理職を目指す、ということなのだろうか。

自分はいったい、どっちなんだろ…

 

スペースXを上場させ、史上初の「兆万長者」になったイーロン・マスク氏。

自ら、ADHD(注意欠如・多動症)であることを告白している。

日経ビジネス電子版「いじめも発達障害も隠さない イーロン・マスクの『物語思考』」から、一部を紹介します。

・多くの天才的なイノベーターは、イノベーションを起こすうえで物語(ナラティブ)が重要であることを強く認識している。それは「物語思考(Narrative Thinking)」とも言い換えられる

・物語思考とは、物事を単なる情報の集まりとしてではなく、「ナラティブ」という物語的な構造で理解しようとする思考法。米心理学者のジェローム・ブルーナーによって提唱された概念で、論理・科学的な思考とは対照的な、人間特有の認識スタイル

・「人間は論理だけではなく、むしろ物語によって世界を理解している」と、ブルーナーは主張した。人間は客観的な現実をそのまま受け取るのではなく、物語という「フィルター」を通して、経験に意味を与える

・例えば、失恋という事実は一つでも、「裏切られた」と語るか「成長の糧になった」と語るかで、本人の意味づけは全く異なるものになる

・個人資産1兆ドル超の実業家、イーロン・マスク。2023年にウォルター・アイザックソンが書いた伝記『イーロン・マスク』が注目を浴びた。その10年ほど前にも、アシュリー・バンスが別の伝記を書いている

・マスクの少年時代の壮絶ないじめ体験、貧しい中での最初の起業、宇宙ロケットの打ち上げを何度失敗してもあきらめない姿勢、環境破壊や戦争などによって地球が滅びる前に、人類を複数の惑星に住める種族にすることに挑戦する、といったストーリーは、ドラマチックで引き込まれる

・「人間はほかの人間に共感する生き物だ」といったのは、18世紀の経済学者・道徳哲学者のアダム・スミス

・人間には他人の喜びや苦しみを自分のことのように感じる能力があり、それは単なる同情ではなく、他者の立場を想像する力であるとスミスは考えていた。他人の共感を得る一番の近道は、自分自身の物語を知ってもらうこと

・破天荒で問題発言が多くても、マスクがどのような人生を歩んできたのか、どのような苦労をしているのか、何を目指しているのかを知ると、共感する人間が増えるのは当然

・マスクのようなイノベーターに限らず、自分が伝えたいメッセージを多くの人に記憶してもらいたいなら、物語=ナラティブを語るスキルを磨くことは極めて重要

「変なホテル 東京・銀座」2026



2026年6月12日

私はカモシカ

 

・もし、自分を動物に例えるとしたら?

A子「リス」 B子「カモシカ」 C子「飛べない鳥」 D子「ウサギ」 E子「フクロウ」

・あなたが人生の最後に食べたいのは?

A子「オムライス」 B子「あん肝」 C子「寿司」 D子「オムライス」 E子「ウナギ」

・地球滅亡の日、3人だけロケットで脱出できるとしたら、誰を乗せる?

A子「私以外の乗りたい人」 B子「私は辞退する」 C子「私、母、弟」 D子「科学者、医師、心理士」 E子「私と、年下で女性の友人」

・自分の母親を、漢字一文字で表すとしたら?

A子「明」 B子「自」 C子「保」 D子「緩」 E子「情」

・自分を1から9までの数字で表してください

A子「7」 B子「7」 C子「4」 D子「2」 E子「9」


クラスメート5人が、5つの質問の答えを無記名で書いた。

最後に、どの回答を誰が書いたかを、皆で当てっこ。

イエーイ! 全員を正確に当てられたのは、私だけ。

4月の入学式で知り合ってから、2か月半で5人のパーソナリティをかなり正しく把握した。我ながら、鋭い観察眼。

自分、心理職に向いてるかも!

ちなみにこれ、ある日の大学院「臨床心理基礎実習」です。

発表と課題地獄の中、たまにこうして息抜きさせてくれるのは嬉しい。

 

これまでに複数の先生から、

「心理系の大学院では、朝から晩まで100%心理学ばかりやるから、いやになるほど自分や他人の心について考える。すると、クラスメートの間に不思議な力動が働いて、妙な対立関係になったりする。会社の同僚同士みたいな関係とは、ぜんぜん違うよ」

と、いうようなことを言われた。

今のところ、クラスメート同士の仲はとてもいいが…

実際にクライエントを持つようになると、我々のメンタルが悪化する、という話も聞く。

 ちなみに、わがクラスメート(2223歳女子)は

「もしクライエントを選べるなら、権威主義的な中高年男性だけはイヤ!」

と、異口同音にいう。

ああ、自分の属性はそんなに嫌われてるのか…

ため息。

Chennai, South India 2026




2026年5月29日

涙の意味は?

 

この1週間で2度、女性の涙を見てしまった。

最初は、臨床心理面接特論の授業中。

K子先生の気まぐれで、1週間の出来事を、学生が順番にコメントすることになった。

私はテキトーに思い出したことを話し(何を言ったかも忘れた)、M子さんの番になった。

突然、彼女の眼から、ぽろぽろ涙がこぼれ落ちた。

声を詰まらせながら、可愛がっていた犬が死んでしまった、と。

K子先生は、顔色ひとつ変えない。

「そうですか。ハイ、じゃあ次の人!」


もう一度は、ケースカンファレンス(事例検討会)の席上で。

大学院2年の先輩C子さんが、自分が受け持っているクライエント(父を亡くして不安定になった5歳男児)との面接の様子を発表した。

それを聞いたベテランの先生方から、

「彼の万能感を満たすと言っておきながら、あなたは彼の攻撃性を怖がっていますね」

「セラピーの方向性が、見えてきません」

容赦ない指摘が飛ぶ。

やがて、C子さんの瞳からも涙が…

C子さんいわく、

「先生の指摘で泣いたんじゃない。あの子の心情を思い出して泣いたんだよ!」

 

人の情動に関する学説のひとつに、ジェームズ・ランゲ説がある。

「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい」という理論だ。

外的な刺激を受けると、まず身体反応(涙)が先に現れ、それを大脳が感知することで情動(悲しさ)が生じるのだ、という。

いっぽう、キャノン・バード説というのもある。

外的な刺激を受けると、神経信号が大脳と身体末梢に分かれて到達し、情動(悲しさ)と身体反応(涙)が同時に発生する、という考え。

さらには、シャクター・シンガー説がある。

情動の発生には、生理的喚起と認知的解釈の2要因が必要で…

以下略。

理論はともかく、私は女性の涙に弱い。

すぐ、すごく、動揺してしまう。

(たぶん、男の涙にも弱い)

先生方に「オロオロしてないで、涙の意味を解釈しろ!」と、どやされそう。

プロの心理士になったら、毎回クライエントの涙にうろたえるわけにもいかないし…

はぁ。

やっぱり心理職、向いてないかも。

Pondicherry, South India 2026



2026年5月15日

心理学者のイギリス

 

第一志望校に3連敗して入ったこの大学院に、奇跡が起きた。

私が入学した4月に、PCA(クライエント中心療法)のビッグネームが、他大学から移ってきたのだ。

実はワタクシ、目指すはPCAのカウンセラー。

予備知識もなく入学した第二志望の大学で、こんな幸運に巡り合うとは…

そして他の教授陣も、京大出身のユング派分析心理学者ロールシャッハ・テストの第一人者長年子ども臨床の最前線で活躍してきた人などなど、個性的な顔ぶれ

これまで高校も大学も就職先も第一志望に落ちてきたが、今回も第一志望に落ちて本当によかった!


イギリスの大学院で心理学の学位を得た先生も、2人いる。

そのひとりK先生は、ジョン・ボウルビィなどの心理学者を輩出したタヴィストック・クリニック週4回の精神分析を、3年間にわたって受けた。

カウチに寝た状態で行われる、本格的な自由連想法だ。

もし自分が受けたら、無意識の中身を丸裸にされそうで、怖い。

ある意味、とても厳しい訓練だ。

K先生に感想を聞くと、淡々とした口ぶりで、

自分の何かが大きく変わったということは、特になかったなぁ

「でも、こんなに私の話を熱心に聞いてくれる人がいる、と感動しましたよ」

「帰国したら、奥さんに優しくなったかな」

学生にも優しくなった」

ということだった。


もうひとりの英国帰り、M先生は留学イギリス人相手に100回の心理面接を行い、優秀な成績で修了した。

すべて英語でったのだから、とても大変なことだ。

M先生には、非言語的な共感的理解の力が備わっているのかも…


100セッションの中に、こんな相談事例があったという。

「日本人の女性とセックスがしたい」

なんて突拍子もない…

M先生、身の危険を感じたのではないだろうか。

PCAでも精神分析的心理療法でも、セラピストはクライエントのすべての言葉に対する「平等に漂う注意」が必要とされる。

だがM先生は、先の言葉に囚われて、その後のセラピーをうまくこなすことができなかった。

休暇で一時帰国することになり、彼を先輩心理士に託して、日本へ

先輩心理士が聞き出した彼の本当の主訴は、大切な友人を亡くしたことの喪失感だったという。


心理職は、言葉の裏の裏まで読まなくてはいけない、といわれるが…

安月給の割に、大変な職業だ。


Traditional Kathakali Dance, south India 2026




2026年5月8日

酸っぱいおっぱい

  

臨床心理基礎実習のマリ先生がまたまた、とても自己開示的な話をしていた。


マリ先生は、長い間、梅干しが苦手だった。


弁当の梅干しをどけても、ご飯の赤く染まった部分さえまったく食べられない。


ある時、実家にあった古い母子手帳を見て、自分の離乳がとても早かったことに気づいたマリ先生。傍にいた母に、その理由を尋ねた。


母の告白は、衝撃的だった。


「マリがおっぱいを嫌がるように、赤チンをおっぱいに塗って真っ赤にしたの」


「そして、梅干しの汁を乳首になすりつけたのよ


「家業の豆腐屋を助けて、早く配達に出たかったから…」


その場で、母と大ゲンカしたマリ先生。


不思議にもそのケンカ後、普通に梅干しを食べられるようになったという。



若い世代で恋愛が進まず、結婚も出生も減っている現状に対して、長谷川 眞理子・日本芸術文化振興会理事長「小さなリスクを試せぬ社会構造を見直すべし」として提言している。


賛否ありそうな話だが、「そうかもな」と思えたので、日経ビジネス電子版の記事から一部を紹介します。


・家族計画が一般化し、子どもは「授かるもの」から「今の生活と比べて選ぶもの」になった


・今、経験している仕事や趣味の楽しさは確実だが、子どもを持つ生活は未知だ。未知より既知が選ばれるのは自然で、先送りが重なれば出産の高齢化は避けられない


女性の社会進出も状況を変えた。30代がキャリアの山場となり、結婚や出産と競合しやすい。親族からの結婚圧力がなくなり、女性も経済的に自立できる以上、結婚はよっぽどの理由があるときに限られる選択肢になった


・また、都市では人が多いほど他者の背景が見えず、すれ違うだけの環境で恋愛が自然発生する方が例外


 SNSによって承認の基準が外側に置かれ、傷つくことへの恐れが肥大化する。失恋は“失敗”として過剰に重く扱われ、深い関係そのものを避けるようになる。便利な生活も拍車をかけ、あらゆる時間が一人で完結できてしまう


・恋愛はその中で最もコストの高い行為になった


・人間が持つ「誰かとつながりたい」という根源的な感情は消えていないが、その一歩を踏み出す力は鍛えなければ育たない。恋愛に限らず、未知に向かって試し、傷つき、回復する経験が必要


・現代社会では、その試行錯誤の機会が極端に乏しくなった。親も学校も企業も「失敗させない」ことを重視し、安全を過度に求める。だが失敗を避け続ければ、挑戦の筋肉は育たない


・失敗を避ける社会の中で恋愛や家族形成だけが「実践の場」を持てずにいる。どれだけ情報を与えても、人は実際に動いてみなければ学べない


・だからこそ求められているのは、安全に小さなリスクを試せる環境



Pondicherry, South India 2026


受話器の向こう側

  やっと終わった~! 鬼門の「心理統計法特論」期末レポート課題。 大学院の期末試験は、教室でテストを受ける代わりに、2週間かけて長文レポートを書くのです。 そしてその締め切りが、お盆の真っ最中。 途中で他の集中講義も挟まるから、夏休みなんて絵に描いた餅だ。 ...