2026年4月17日

大学生兼ホテトル嬢

 

「ガクソウ(学生相談所)のカウンセリングって平和そうでしょ? 案外そうでもないのよ」

大学院の「臨床心理面接特論」の授業で、マキコ先生が言う。

「親から虐待を受けてきた子もいれば、夜の仕事で学費を稼いでいる子もいる。壮絶な経験を重ねてきた子たちの心を、しっかり守ってあげなきゃいけないのよ」

ところが、マキコ先生の講義はいつの間にか、あらぬ方向へ…

「中にはホテトル嬢やってる子もいたわねぇ。ホテトルってわかる? お客とホテルの部屋で待ち合わせて性的なサービスするんだけど、本番はなし。でも客の中には、無理やり本番やっちゃう奴がいるんだって」

「そういう時はどうするか知ってる? 事務所に詰めてるスタッフに『終わりました』って電話するんだって。普通は電話なんかしないから、それが本番やられたって合図」

「彼女と入れ替わりにスタッフが部屋に入って、男を素っ裸にして写真撮って、外に貼りだすんだって!」

私の同級生はみな、真面目でおとなしそうな20代前半の女子たちだ。

…案外、目を輝かせて聞いてたりして。

 「大学生が夜、ホテトル嬢をしている」

「ホテトル嬢が、昼は大学で学んでいる」

言い方次第で、ずいぶんニュアンスが変わる。


英ケンブリッジ大講師の代田七瀬さんは大学院時代、ジェンダー研究のフィールドワークで、銀座やロンドンのキャバクラで働いた。読売新聞電子版の連載「瀬戸際の七瀬ちゃん」が面白いので、最近のコラムを紹介します。

・七瀬さんが教えるケンブリッジ大の中国出身の学生は、ジェンダーに関する研究テーマにプリキュアを選んだ

・彼は、留学で10か月間を過ごした日本で「化粧文化」にショックを受けた。日本では、小学生などの小さい子まで化粧をしたり、おもちゃコスメの宣伝があったりする。アメリカや中国にもあるが、日本の方が一般的

・それに日本では、女性が化粧をしないといけない社会的な偏見(Social stigma)がある

・彼が一番驚いたことは、プリキュアが「少女向け」ジャンルの中にありながら、「女らしさ」を新しい意味での「パワー」として肯定している点

・子どもがビューティープロダクトを使うことを肯定的に見る母親も多く、おもちゃコスメが娘とのコミュニケーションにつながると認識している

・彼はこの現象を、「肯定的転換(affirmative turn)」と呼ばれるフェミニズムの一種と見る。抑圧的と思われる行為をただ批判するのではなく、予期せぬ喜びや快楽、はたまた違和感や矛盾にも目を配り、多面的に見たり、ニュアンスを理解したりしようとする立場


Fort Kochi, South India 2026


2026年4月10日

アライグマのいる大学

 

「大学院生の皆さんは、マイカーで通学して下さい。この辺りは、暗くなるとアライグマが出没します。ハクビシンも出ます。キツネもタヌキもいます。クマは出ませんが、不審者は出ます.。徒歩や自転車で通うのは危険です

「院生室は、土足禁止。スリッパに履き替えるとき、中にムカデがいることがあるので気をつけてください。スリッパの中にハチがいて、刺されて病院送りになった人もいます」

入学式後のオリエンテーションで、唐突にこんなことを言われた。

4月から通う大学院は、市街地の外れにある。周囲を畑に囲まれ、校舎の背後に山が迫る。確かに、とても自然豊かな環境ではある。

さらに、こんなことも言われた。

「院生は夜中まで学校にいることが多いから、最終バスに間に合いません。マイカーは絶対に必要」

「院生は、精神的に追い詰められがち。辛くなったら学生相談室へ」

げ… 大学院って、そんなに大変なところなの?

好きで選んだ道とはいえ、早くも登校拒否になりそう。

 

学年ビリから偏差値を40上げて慶応大学に合格し、映画にもなった「ビリギャル」小林さやかさん(37)。大学院に進んで教育学を学んだ後、さらに米国に留学した。

読売新聞電子版に掲載された彼女のインタビューに勇気づけられたので、ここに少し紹介します。

・大学院で修士論文を書きながら、「なぜビリギャルはあんなにがんばれたのか、もっと深く知りたい」との思いが募った。「1回、海外に出たほうがいい」という予備校の先生の言葉を思い出し、30過ぎて米国に留学した

・留学先では認知科学を研究した。認知というのは「心の眼鏡」。人それぞれ心の眼鏡が違うので、物事のとらえ方も異なる

・私の認知の形成は、母の存在が大きい。母は、私が何をやっても「すごい」と感動してくれ、落ち込んでいると「それは失敗じゃないよ」と言って、自信をつけてくれた

・自信には2種類ある。一つは「自己肯定感」。幼少期にある程度決まってしまうもので、大人になってから向上させるのは時間がかかる

・もう一つは「自己効力感」で、成功体験を積み重ねることで伸ばる。日本の子どもは、失敗を「恥ずかしいもの」という意識が強いが、失敗しなければ、成功もできない

・そういう自分の経験から、大人の子どもへの声がけが大事で、まずは大人が自信を持つ大切さに気付き、帰国後にオンライン英会話サービスを始めた

・自信を持つためには、英語はいいツール。正しい方法で続ければ上達し、成功体験を積みやすい

Puducherry(Pondicherry), south India 2026


2026年4月3日

神の見えざる手~心理系大学院合格体験記㊦

  

それまで第一志望校しか眼中になかったので、Y大学は説明会にも行かず、情報収集もいい加減。試験当日の朝、初めて校門をくぐりました。

午前の筆記試験は、S大不合格のショックを引きずって注意力散漫。午後の口述試験では、「時間はかかっても学部編入して公認心理士を目指すべき」など、かなり否定的なことを言われ続けました。

そして30分間の面接の後半、「では、これからロールプレイを行います」。

不登校の女子中学生に扮した女性教員を相手に、いきなりスクールカウンセラー役をやることに…

まったく予想もしていなかったので、完全にしどろもどろになってしまいました。

そして、結果は…

なぜか、合格。

成績開示を求めたら、400点満点中204点。ちなみに今回の合否基準得点(ボーダーライン)は174点。配点は、筆記試験200点・口述試験200点ということでした。

受験直前の8月に受けた予備校の実力診断テストで、私は総合7位でした。新宿・名古屋・新大阪校を合わせた受験者130数人中、上位5%に入っていたことになります。

予備校でいい成績を収め、本番で答案用紙を論述で真っ黒に埋めて、面接でもいい雰囲気だった…としても、落ちる時は落ちる。

逆に、筆記試験では集中力を欠き、面接も壊滅的だった…と思っても、受かる時は受かる。

受験後に成績開示を求めても、面接の配分が大きい以上、自分がどうして受かったか(落ちたか)は結局、わかりません。

先日、私立大の教員をしている知人に聞いたところ、「あくまで個人的意見だが」と断った上で、「費用対効果に厳しい大学の場合、老い先長くない受験生に対しては年齢差別があるかも知れない」とのことでした。

「筆記試験は全問が論述問題」「研究計画書の出来が合否を大きく左右」「配点全体に占める面接の割合が大きい」等の理由で、大学院受験は、今まで経験した高校・大学受験とはまったく別物で、極めて不確定要素が大きいと感じました。

特に、中高年にとっては。

そうであれば、不確定要素を可能な限り減らすために、

・時間とお金に余裕があれば予備校に通って、受験のエキスパートから志望校のカラーに合った受験対策を授かる

・どの学校からご縁を頂けるかわからないので、できるだけ複数校を受験する

この2点が、特に重要になると思います。

なんとかスタートラインに立てた今、大学院の2年間で経験できる、豊富な実習を含んだ学びにワクワクしています。

専門知識を習得した上で、これまでの人生経験を生かし、人の心にそっと寄り添う黒子のような心理職になるのが、目下の目標です。

(一昨日が入学式でした。クラスメートは全員、とても聡明そうな女子。果たして、経年劣化した私の脳みそで、彼女たちについていくことができるのか…???)

TG643 NRT-BKK    Feb 23 2026


大学生兼ホテトル嬢

  「ガクソウ(学生相談所)のカウンセリングって平和そうでしょ? 案外そうでもないのよ」 大学院の「臨床心理面接特論」の授業で、マキコ先生が言う。 「親から虐待を受けてきた子もいれば、夜の仕事で学費を稼いでいる子もいる。壮絶な経験を重ねてきた子たちの心を、しっかり守ってあ...