トランプ米大統領が「I
am a Tariff Man」とツイートしたら、ダウ平均が800ドル下落した・・・?
ツイートとマーケットの動きに、本当に因果関係があるのか。幸い情報端末が不調で、市場の乱高下をリアルタイムで見ずに済んでいる。
むしろ、これまで世界株安時に必ず起きていた円高が、まったく起きないのが気になる。円は安全通貨だ、という外国人投資家の幻想が剝がれてきたのか。とめどなく膨張する財政赤字を放置する日本の「Xデー」は近いかもしれない。
「インベストメント ハードラー」 為末大 講談社 2006年発刊
400mハードルで世界選手権銅メダルに輝いた著者が、自らの投資経験を語った異色の本。
為末は子供のころから「駆けっこ」に強く、中学時代に出した短距離の記録は、あのカール・ルイスの中学時代より速かったという。著者は冷静に自己分析し、「あれは単に体が早熟だったため」と、ハードル走に転向する。
陸上選手は持って生まれた資質の面が大きいが、ハードル走は技術が必要とされ、ち密でかつ限界まで耐え抜くような厳しいトレーニングが必要となるという。
だからハードル走には根性が大きな意味を持つが、覚悟や根性といった心の強さが日本人の最大の特徴だ、と著者は説く。「日本人は耐えられるのだ」
日本人は耐えられる。この特質は投資にも応用できると私は思う。数多の暴落に耐え、複利効果を生かしてゆっくりお金持ちになっていく「株式長期分散投資」こそ、日本人向きの投資戦略だ。
ところが、実際に為末の身に起きたのは、「30万円が3年で2000万円になる」という経験だった。
暖かいトレーニング環境を求めて訪れたタイで、彼は投資会社の日本人社長に出会う。時はちょうど、アジアを金融危機が襲って間もなく。社長に託した金は、資金不足で工事が止まった建設中のマンションに投資された。
建物を完成させ、数倍の値で転売して得た資金を、今度はスマトラ沖大地震からの回復局面にあったタイ株市場に投資。かくして、30万円が2000万円に。
為末自身も断っているが、これはめったにない投資チャンスを運よく掴めたということだ。読者が真似してアジアの不良債権市場に手を出したら、大やけどするだろう。
「そもそも私は陸上選手である。陸上選手にとって最大のリスクは陸上以外のことに思考が向かってしまうこと」と自戒して書いている。だが為末はこの本を出した後、目立った成績を残すことなく引退している。
投資の大成功が、かえって彼の選手生命を縮めることになってはいないか。
宝くじが当たった人や、プロスポーツ選手の引退後に自己破産が多いことは、よく知られている。準備ができていない人の頭上に、お金が雨あられと降り注ぐと、その結末はあまり幸せではなさそうだ。
「雨あられ」ほどでもなかった為末は、引退後も各方面で活躍している。
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