敏腕ファンド・マネージャーが投資先を選ぶ時、何を考えているのか?
藤野英人・レオス・キャピタルワークス社長は「目先の得だけを重視すると長期的な利益につながらない。それよりも『好きか嫌いか』という視点が大事」だという。そしてそれは、仕事選びにも当てはまる、と。
(以下、日経ビジネス電子版に掲載されたインタビューの要約です)
・日本人は「仕事嫌い」が圧倒的に多い。ある調査では、自分が働いている会社に対する信頼度は26か国中25位
・「働くことはつまらないことであり、苦行である。給料は我慢代でしかない」という認識が広く持たれている
・同じ調査では、アメリカ人と中国人の80%は「会社が好き」と回答した。「この会社は嫌い、信用が置けない」と感じると、すぐに辞めて好きな会社に移るので、常に好きな職場で働いている
・平均寿命が伸びて、年金だけでは老後の暮らしが成り立たない。「長く働くこと=苦行」という考え方のままでは、本来は喜ばしいはずの長生きを肯定的に捉えられない
・なぜ嫌いな職場に留まってしまうかというと、「仕事なんてそんなものだ。耐えればいつかいいことあるよ」という長年の“擦り込み”があるから
・日本社会では「損か得か」で意思決定することがよしとされ、「好きか嫌いか」で物事を決めるのはよくないとされている
・子どもの時から「好き嫌い」を否定する教育を受けているから、「好き嫌い」に対する感覚が鈍磨している人が多い。
・「食べ物の好き嫌いをしてはいけません」「誰とでも仲良くしなさい」「嫌いな教科もがんばって勉強しなさい」。好き嫌いをなくして標準化することが、日本の教育の大方針になっている
・そうやって好き嫌いの感覚を磨けない教育を受け続けた結果、「自分の自由意思だけでは選べない」という体質が完成してしまう
・さらに「働くことは楽しくてすてきなことだよ」と教えてくれる大人はめったにいなくて、どちらかというと“脅し”を受ける。「いい会社に入れるように勉強しなさい。そうしないと食っていけないぞ」と
・そうやって損得勘定で就職先を選ぶと、待っているのは“絶望”
・少子化が進むのも「選べなくなっている」のが原因。結婚する男女が減っているのは、損得勘定なしに感情に基づいて選ぶ訓練が不足しているから
・だから、「好き嫌い」を大事にして欲しい。「自分が心から好きなことって何だ?」と問い続けて、その先へと向かって欲しい
・理由や根拠は、後付けでいい。実際に好きな方を選び取ってから、「なんで自分はこっちが好きなんだろう?」と考え続けるのが、とても大事
・「好き嫌い」は、その人の価値観や哲学が反映される主観。だから損得勘定より一貫性があり、ブレにくい
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