2021年1月15日

「やさしさ」への投資

 

 新型コロナウイルスの蔓延にも関わらず、2020年の株式市場は好調だった。

 去年1年間の資産クラス別リターンをドルベースで見ると、

先進国株+17% 新興国株+16% 日本株+5% 先進国債券+6% 新興国債券+5% 日本債券-1% 先進国REIT10% 日本REIT17% ハイイールド債券+7% 原油-21% 金+24

 新興国を含む外国株式に集中投資するミヤサカ・ファンドも、市場平均並みのリターンを確保したもよう。

 と、ここまで書いて、株式投資に対するモチベーションが激減している自分に気づいた。

「もうどうでもいいや~」

そんな気分。

 2人で80年は生きるつもりで、ほぼ全財産を株式市場のリスクにさらしてきた。それなのに、お金を使う人がひとり減ってしまった。

 治る見込みのない病気の治療費、という悲しい支出がなくなった代わりに、「夫婦でビジネスクラスに乗ってバリ島へ」みたいな目標もなくなった。

 リスクが高いとされる株式投資が、実はリスクに強いことは経験でわかっている。コロナ禍で急落した市場は、すぐに上昇基調を取り戻した。ワクチンの普及そして集団免疫が達成されれば、やがて巡航速度となるだろう。

個人投資家として自分ひとり食べていくぐらい、わけない。

…やる気が出ない。

 

作家のジョージ・ソーンダーズが、米シラキュース大学で行った8分間のスピーチ。世界中で話題になり、「人生で大切なたったひとつのこと」(海竜社)という邦訳も出ている。

ソーンダーズは小学生の頃、いじめられ、無視されていた転校生にやさしくできなかったことを、今だに後悔している、と話す。

そして「成功とは登っていくにつれ、目の前で高くなり続ける山のようなもの」で、成功だけを追い求めてもきりがない、だから

It’s a little facile, maybe, and certainly hard to implement, but I’d say, as a goal in life, you could do worse than: Try to be kinder.

(簡単そうに見えて、実践するのは本当に難しいのですが、「もっとやさしい人になること」を、人生の目標のひとつにしてみてはどうでしょう)

 Because, actually, nothing else does.

(なぜなら、実際、それ以外のことは意味がないからです)

 去年は悲しい出来事があった一方で、医療関係の方々や友人知人の、たくさんのやさしさに触れた年でもあった。

 いま、「やさしさ」のような intangibles(無形の資産)に、とても魅力を感じている。




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