2026年6月19日

マスクの物語思考

 

「私が見てきた限り、心理専門職を目指す大学院生の半分は、セラピストというよりクライエントよ」

週1回のゼミで放たれた、指導教官M先生の爆弾発言。

言われてみれば、クラスメートには心に古傷を負っていそうな、過去を聞くのがはばかれるような人もいる。

そういう人だからこそ、心理職を目指す、ということなのだろうか。

自分はいったい、どっちなんだろ…

 

スペースXを上場させ、史上初の「兆万長者」になったイーロン・マスク氏。

自ら、ADHD(注意欠如・多動症)であることを告白している。

日経ビジネス電子版「いじめも発達障害も隠さない イーロン・マスクの『物語思考』」から、一部を紹介します。

・多くの天才的なイノベーターは、イノベーションを起こすうえで物語(ナラティブ)が重要であることを強く認識している。それは「物語思考(Narrative Thinking)」とも言い換えられる

・物語思考とは、物事を単なる情報の集まりとしてではなく、「ナラティブ」という物語的な構造で理解しようとする思考法。米心理学者のジェローム・ブルーナーによって提唱された概念で、論理・科学的な思考とは対照的な、人間特有の認識スタイル

・「人間は論理だけではなく、むしろ物語によって世界を理解している」と、ブルーナーは主張した。人間は客観的な現実をそのまま受け取るのではなく、物語という「フィルター」を通して、経験に意味を与える

・例えば、失恋という事実は一つでも、「裏切られた」と語るか「成長の糧になった」と語るかで、本人の意味づけは全く異なるものになる

・個人資産1兆ドル超の実業家、イーロン・マスク。2023年にウォルター・アイザックソンが書いた伝記『イーロン・マスク』が注目を浴びた。その10年ほど前にも、アシュリー・バンスが別の伝記を書いている

・マスクの少年時代の壮絶ないじめ体験、貧しい中での最初の起業、宇宙ロケットの打ち上げを何度失敗してもあきらめない姿勢、環境破壊や戦争などによって地球が滅びる前に、人類を複数の惑星に住める種族にすることに挑戦する、といったストーリーは、ドラマチックで引き込まれる

・「人間はほかの人間に共感する生き物だ」といったのは、18世紀の経済学者・道徳哲学者のアダム・スミス

・人間には他人の喜びや苦しみを自分のことのように感じる能力があり、それは単なる同情ではなく、他者の立場を想像する力であるとスミスは考えていた。他人の共感を得る一番の近道は、自分自身の物語を知ってもらうこと

・破天荒で問題発言が多くても、マスクがどのような人生を歩んできたのか、どのような苦労をしているのか、何を目指しているのかを知ると、共感する人間が増えるのは当然

・マスクのようなイノベーターに限らず、自分が伝えたいメッセージを多くの人に記憶してもらいたいなら、物語=ナラティブを語るスキルを磨くことは極めて重要

「変なホテル 東京・銀座」2026



2026年6月12日

私はカモシカ

 

・もし、自分を動物に例えるとしたら?

A子「リス」 B子「カモシカ」 C子「飛べない鳥」 D子「ウサギ」 E子「フクロウ」

・あなたが人生の最後に食べたいのは?

A子「オムライス」 B子「あん肝」 C子「寿司」 D子「オムライス」 E子「ウナギ」

・地球滅亡の日、3人だけロケットで脱出できるとしたら、誰を乗せる?

A子「私以外の乗りたい人」 B子「私は辞退する」 C子「私、母、弟」 D子「科学者、医師、心理士」 E子「私と、年下で女性の友人」

・自分の母親を、漢字一文字で表すとしたら?

A子「明」 B子「自」 C子「保」 D子「緩」 E子「情」

・自分を1から9までの数字で表してください

A子「7」 B子「7」 C子「4」 D子「2」 E子「9」


クラスメート5人が、5つの質問の答えを無記名で書いた。

最後に、どの回答を誰が書いたかを、皆で当てっこ。

イエーイ! 全員を正確に当てられたのは、私だけ。

4月の入学式で知り合ってから、2か月半で5人のパーソナリティをかなり正しく把握した。我ながら、鋭い観察眼。

自分、心理職に向いてるかも!

ちなみにこれ、ある日の大学院「臨床心理基礎実習」です。

発表と課題地獄の中、たまにこうして息抜きさせてくれるのは嬉しい。

 

これまでに複数の先生から、

「心理系の大学院では、朝から晩まで100%心理学ばかりやるから、いやになるほど自分や他人の心について考える。すると、クラスメートの間に不思議な力動が働いて、妙な対立関係になったりする。会社の同僚同士みたいな関係とは、ぜんぜん違うよ」

と、いうようなことを言われた。

今のところ、クラスメート同士の仲はとてもいいが…

実際にクライエントを持つようになると、我々のメンタルが悪化する、という話も聞く。

 ちなみに、わがクラスメート(2223歳女子)は

「もしクライエントを選べるなら、権威主義的な中高年男性だけはイヤ!」

と、異口同音にいう。

ああ、自分の属性はそんなに嫌われてるのか…

ため息。

Chennai, South India 2026




2026年6月4日

感情をコントロールする

 

件の「巨人アベカントク解任事件」、わが大学院でもかなり話題になった。

授業中に警視庁捜査一課の刑事にLINEして、「家庭内暴力の現行犯逮捕って可能なの?」と聞く教授がいたかと思えば…

「児童相談所が警察に通報するってアリですか?」と学生に聞かれて、「エッ何の話? へぇー、そんな大ニュースがあったんだ!」と返す世間知らずは、元児童相談所長のM先生。

「よく知らないけど…その一家、揃っておバカさんよねー」

M先生のコメントに、座布団10枚。


 健康社会学者の河合薫さんが、アベ監督事件に関連して、感情をマネジメントすることの大切さを説いている。

日経ビジネス電子版の記事から、一部を紹介します。

SNSが普及し、あらゆる「密室」が可視化される現代において、一瞬の感情の暴走が、何十年もの歳月をかけて築き上げてきた「信頼とキャリア」のすべてを台無しにしてしまう破壊力を持つ

・現代社会は、体を動かす「肉体労働=ブルーカラー」、知識を使う「頭脳労働=ホワイトカラー」に加えて、「感情労働=自分の感情をコントロールし、組織が求める適切な表情や態度を維持して相手をケアする労働」が増えた

・感情労働とは、サービス業や医療・看護、カウンセリングなどの仕事

・そして、人間だけが「社会的な生き物」として、他者と共生するために感情をコントロールする知恵=EQEmotional Intelligence)を持っている

・人生の成功を予測するのは IQ (知能指数)ではなくEQであり、EQは誰もが高められる能力

・社会が同じ価値観を持っていた時代は、感情の暴発や不機嫌も「厳しい指導」として回収された。しかし「パワハラ」という新しい言葉が生まれ、「厳しい指導」という間違った正義に耐えていた人たちが可視化され、ただの暴力に過ぎなくなった。上司は部下をコントロールする武器を失った

・たとえそれが子であれ、親であれ、友だちであれ、誰であれ、罵るような言動は決して正当化されるものではない。感情を爆発させて一番後悔するのは自分自身

・感情コントロールは、決して難しいものではない。ネガティブな感情を抑えたり消したりするのではなく、ちょっとだけ「間」をつくるだけで、他者を傷つけない言動に置き換えるシステムが人間にはある

・怒りや強い衝動が湧いたら、その場を離れる、深呼吸する、紙などをギュッと握りしめる、心の中で数字を数える、などするだけでいい。その「間」ができると、情動を抑える理性が働くのだ

Alleppey, South India 2026





マスクの物語思考

  「私が見てきた限り、心理専門職を目指す大学院生の半分は、セラピストというよりクライエントよ」 週1回のゼミで放たれた、指導教官 M 先生の爆弾発言。 言われてみれば、クラスメートには心に古傷を負っていそうな、過去を聞くのがはばかれるような人もいる。 そういう人だか...