以前なら出会うはずのない、生い立ちも仕事も異なる男女が、インターネットを通じて結ばれる。
アメリカでは、マッチングサイトを通じて交際、結婚に至るカップルが、増えているという。
そしてその波が、非婚化が進む日本にも上陸した…?
「57歳で婚活したらすごかった」 石上賢介著 新潮新書
離婚歴のあるフリーライターが、婚活アプリに登録してからの一部始終を語っている。率直かつ、タイトルから受ける印象よりマジメな本だ。
ちょっと中身をのぞいてみると…
・婚活アプリの顔写真は大事。30代を過ぎれば、人柄の良さも悪さも必ず顔に表れる。男女とも、優しく微笑む人で性悪な人は少ない。きつい目で優しい人も少ない。笑っていても、性格のきつい人の目は厳しい
・年下を好むのは男の傾向だと思っていたが、女性も容姿に恵まれ、婚活市場での価値が高いという自覚があると、年下の男性を求める
・婚活アプリで、複数の男性会員にアプローチされている女性の多くは強気だ。「どんなふうに私を楽しませてくれますか?」「何をごちそうしてくれますか?」と言ってくる
・バブル時代を知っている女性は、概して食事からクルマまで男に求めるレベルが高い
・「私どもの結婚相談所では、結婚してもがんばって働きたい人は少数派です」「できれば仕事をしないで子育てに専念したい人が多数派でしょう」(ある結婚相談所スタッフの証言)
著者は婚活アプリを通じて、いろいろ辛い目にあう。
・「40代女性に『クソ老人』と罵倒された。詐欺にあいそうにもなった。高額な服や靴を買わされたこともある。そんな経験も、時間がたてばエンターテインメントだ」
そして最後に、こんな感慨に至る。
・「『誰かとともに生きたい』ではなく、『誰かのために生きたい』と思えるぐらいの心のゆとり、経済的なゆとりを持ってこそ、婚活は成就するのではないだろうか」
昨夜、クリスチャンの知人にくっついて、小さな女子修道院を訪れた。白髪のシスターに混じって受けたクリスマス礼拝で、司祭が言った。
「愛とは、与えつくすものです」
婚活サイトで得られる境地と、信仰から得られる境地。
ほんのちょっぴり、似ているような…