2021年10月15日

サンク・コスト

 

 新たな一歩を踏み出すためには、何かを「やめる」ことが大切。

 時間は有限だから、何かをやめないとすき間ができない。

 そして有効なのは、やめるタイミングをできるだけ早くすることだ。

 経営学者の楠木健(一橋ビジネススクール教授)は、前書きを読んで面白くなかった本は、必ずそこで読むのをやめるという。

 はやっ!

 

 日本マイクロソフトを退職して「『やめる』という選択」を書いた澤円氏と楠木氏が、日経ビジネス電子版で対談した。楠木氏のことばをいくつか、ここにピックアップしておきます。

 

・やめることは、決してネガティブなことではない。「何かをやるということは、何かができない」ということ。だから、「何をやめるか」ということは、戦略的な意思決定だ

・順番としては、「何かをやめないと、何かができない」。起点にはいつも「何をやめるか」という選択がある

・やめるという選択が「良いことと悪いことからの選択」であれば、良いことを選べばいいのだから、誰でもできる。でも本当の選択というのは、「良いことと良いことからの選択」。そこには、センスが必要になってくる

・「それをしない」と選択することは、実は相当強い意思決定。放っておくと、「あれもやれ、これもやれ」というフィードバックがかかってくる。「やめる」ということには、最高の能動性、主体性が求められている

・計画を立てることも、やめたらいい。物事において、計画を立てすぎてしまうと、偶然性に対する間口が狭まってしまう。計画を立てるほど「いつか」は増えていくけど、「まさか」が減ってしまう

 

 さすが、ビジネススクールの先生はいいこと言うよね。

 でも…

 田舎でシンプルに暮らしていると、都会生活ほどTo Do リストが溜まらない。何かをやめないと時間のすき間ができない、なんてことには、ならない。

逆に、どうやって時間をつぶそうか、と思案する日がある。

 だから、前書きを読んで面白くない本も、半分読んでみだけど依然として面白くない本も、根性で最後まで読み通す。お金がもったいないし。

 楠木先生によると、私みたいに「せっかく買ったんだから」といって時間を浪費する人間を、「人生に埋没費用(=サンクコスト Sunk costを抱えている人」、と呼ぶそうだ。



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