2021年11月13日

湖畔の宿の人間模様

 

 自宅からクルマで30分、湖に面して小さなゲストハウスが佇んでいる。

 コロナ禍前は毎年夏、ここで働いていた。

 久しぶりに訪ねて、管理人と話していると、ひとりの女性がふらりと入ってきた。

 妙に身軽で、ほとんど荷物を持っていない。

 管理人の友人が小声で教えてくれたところによると、この女性、すぐ近くに住んでいる。2泊していったん家に帰り、また2泊しては帰宅、を延々と繰り返しているという。

 怪しい。この人はいったい何者?

 ここで、ヒントその①

 しばらく前から始まった、県民限定の宿泊割引。

うまく使えば、ホテル代が食事付きで半額ほどになる上に、周囲の店で使えるクーポンまでついてくる。

 さらに今月から、このゲストハウスのある町も、宿泊施設に割引で泊まれるキャンペーンを始めた。

 県と市の割引制度をダブルで使えば、タダ同然でホテルに泊まれて食事も出て、もらったクーポンで買い物までできてしまうのだ。

 

 ただし割引が効くのは、連続2泊まで。

 この辺りに、謎の女性の思惑が隠されている…?

 

 ゲストハウスにこの夏、ひとり旅のロン毛青年がひょっこり現れ、泊まっていった。

そのうち、友人の元で、住み込みで働き始めた。

その時の所持金、わずか9000円。

年齢を聞くと、まだ19歳だという。

家族といろいろあって、東北地方の実家から10代前半で上京した。中学や高校には行かず、簿記やプログラミング、証券アナリスト業務を自学自習している。元カノはドイツ人で、今の彼女は現在イギリスに留学中。

 話を聞けば聞くほど、規格外の19歳。

そして、自立心の塊みたいな人だった。

 

 2段ベッドの相部屋と、広い共同キッチンがあるこのゲストハウスは、ファミリーやバイクの若者に人気がある。コロナ禍前は外国人旅行者も混じって、連日賑わっていた。

 割引料金で2泊3日、ここでのんびりマンウォッチングも楽しそう。




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