学生の夏山合宿に合流するため、やって来たのは北アルプス・剱岳。
テント場に着くと、コロナ禍で増えたソロキャンプの小さなテントの真ん中に、冬山4人用テント4つを発見。
そして、側頭部をツーブロックよりさらに短い「スキンフェード」に刈り上げた若い衆が、たむろしている。
まさかと思ったその強面集団が、軟弱で知られるわが母校、R大学山岳部パーティーだった。
大学山岳部といえば、キケン・キツイ・キタナイ・ダサイの4拍子。人が集まらず、どこの大学も、常に存続の危機に立たされてきた。
ところがこの春、我が部は部員がまさかの2ケタに。コロナ禍で授業がリモートに移行したため、「リアルな体験」を求める新入生が、進んで山岳部の門を叩くのだという。
神風だ。
いま彼らが大学に通うのは、週3回の部活の時だけ。せっかく入学したのに、汚い山岳部の部室しか知らないのは、ちょっと気の毒。
でも毎日在宅の他の学生に比べれば、まだ幸せなのかも。
我々OBが合流したその日、夕食のメニューは「ぜんざい」だった。
ぜんざいって…普通はおやつでは?
「ええーっ? ぜんざいー?」
子どもみたいに言ってみたら、レトルトの牛丼を出してくれた。
この夏山合宿、彼らは2週間分の食料を背負って入山した。まず剱岳周辺で雪上訓練と岩登りをこなし、槍穂高連峰を経て上高地まで縦走する計画だ。
何げなく食料表を眺めていたら、昼食は「ふりかけご飯」とある。
2週間ず~っと、昼の弁当は「ふりかけご飯」。
ほんの冗談かも? という期待むなしく、翌日ホントに「ふりかけご飯」が出てきた。
「ええーっ? ふりかけごはんー?」
と、子どもみたいに言ってみた。
今度は…何も出て来なかった。
彼らは毎朝、まだ暗いうちからテントを出て、10時間以上歩く。山登りに打ち込む19~21歳は、食事なんかどうでもいいみたい。
ン十年前の卒業生(私)は、しっぽを巻いて3日で退散した。
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