2021年8月6日

14連続ふりかけご飯

 学生の夏山合宿に合流するため、やって来たのは北アルプス・剱岳。

 テント場に着くと、コロナ禍で増えたソロキャンプの小さなテントの真ん中に、冬山4人用テント4つを発見。

 そして、側頭部をツーブロックよりさらに短い「スキンフェード」に刈り上げた若い衆が、たむろしている。

 まさかと思ったその強面集団が、軟弱で知られるわが母校、R大学山岳部パーティーだった。

 

 大学山岳部といえば、キケン・キツイ・キタナイ・ダサイの4拍子。人が集まらず、どこの大学も、常に存続の危機に立たされてきた。

 ところがこの春、我が部は部員がまさかの2ケタに。コロナ禍で授業がリモートに移行したため、「リアルな体験」を求める新入生が、進んで山岳部の門を叩くのだという。

 神風だ。

 

 いま彼らが大学に通うのは、週3回の部活の時だけ。せっかく入学したのに、汚い山岳部の部室しか知らないのは、ちょっと気の毒。

でも毎日在宅の他の学生に比べれば、まだ幸せなのかも。

 

 我々OBが合流したその日、夕食のメニューは「ぜんざい」だった。

ぜんざいって…普通はおやつでは?

「ええーっ? ぜんざいー?」

 子どもみたいに言ってみたら、レトルトの牛丼を出してくれた。

 

 この夏山合宿、彼らは2週間分の食料を背負って入山した。まず剱岳周辺で雪上訓練と岩登りをこなし、槍穂高連峰を経て上高地まで縦走する計画だ。

 何げなく食料表を眺めていたら、昼食は「ふりかけご飯」とある。

 2週間ず~っと、昼の弁当は「ふりかけご飯」。

 ほんの冗談かも? という期待むなしく、翌日ホントに「ふりかけご飯」が出てきた。

「ええーっ? ふりかけごはんー?」

 と、子どもみたいに言ってみた。

 今度は…何も出て来なかった。

 

 彼らは毎朝、まだ暗いうちからテントを出て、10時間以上歩く。山登りに打ち込む1921歳は、食事なんかどうでもいいみたい。

 ン十年前の卒業生(私)は、しっぽを巻いて3日で退散した。 



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