2025年7月31日

自己愛性パーソナリティ

 

心理的障害のひとつに、「自己愛性パーソナリティ障害」がある。

自己愛性パーソナリティの特徴は、アメリカ精神医学会の診断基準では

・自己の重要性に関する誇大な感覚。業績や才能を誇張する

・限りない成功、権力、才能、美しさの空想に囚われている

・自分が特別で独特で、他の地位の高い人にしか理解されないと思っている

・過剰な賞賛を求める

・特権意識があり、自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する

・自分自身の目的を達成するために他人を利用する

・共感の欠如。他人の気持ちを認識しようとしない、または気づこうとしない

・しばしば他人に嫉妬する。あるいは他人が自分に嫉妬していると思い込む

・尊大で傲慢な行動または態度

・男性に多い

…この性格特徴、某超大国の現職大統領に、ほとんどの項目が当てはまってしまうのでは? 


予備校のミヤガワ先生の話では、幼少時にほとんど叱られず、褒められすぎて育つと自己愛性パーソナリティになりやすい,、という。

現代日本で、子どもは「褒めて育てる」が基本だ。

日ごろ親から褒められて育った子は、自己愛が肥大化する。たくさん賞賛されないと、承認欲求が満たされなくなる。SNSの自分のポストにたくさんの「いいね」がつかないと、不安になってしまう。

何ごとも、ほどほどがよろしいようで。

でも、自己愛性パーソナリティの人が持つ傲慢さ、尊大さ、妥協を許さない心は、創造的な営みにおいては非常に大切らしい。

「誇大ともいえる自信があるからこそ、誰にもなしえない成功ももたらされるのである」(岡田尊司著「パーソナリティ障害」PHP新書より)。

同書によると、アーティストや芸術家にこうした特性は不可欠。画家のサルバドール・ダリ、ファッションデザイナーのココ・シャネル、彫刻家のオーギュスト・ロダンも、自己愛性パーソナリティの持ち主だったようだ。

そしてそして。

引きこもりも、自己愛性パーソナリティ障害の随伴症状だという。

「自分が抱いている偉大な成功と、卑小な現実が釣り合わなくなった時、ナルシシストは、自分の小さな世界に閉じこもることによって、失望したり、傷つくことから身を守るのである」(同書より)。

 

超大国の大統領や芸術家と引きこもりが、同じ精神病理で語られるとは…

心理学って面白い。

Cebu city Philippines, 2025


0 件のコメント:

コメントを投稿

自己愛性パーソナリティ

  心理的障害のひとつに、「自己愛性パーソナリティ障害」がある。 自己愛性パーソナリティの特徴は、アメリカ精神医学会の診断基準では ・自己の重要性に関する誇大な感覚。業績や才能を誇張する ・限りない成功、権力、才能、美しさの空想に囚われている ・自分が特別で独特で...