心理的障害のひとつに、「自己愛性パーソナリティ障害」がある。
自己愛性パーソナリティの特徴は、アメリカ精神医学会の診断基準では
・自己の重要性に関する誇大な感覚。業績や才能を誇張する
・限りない成功、権力、才能、美しさの空想に囚われている
・自分が特別で独特で、他の地位の高い人にしか理解されないと思っている
・過剰な賞賛を求める
・特権意識があり、自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する
・自分自身の目的を達成するために他人を利用する
・共感の欠如。他人の気持ちを認識しようとしない、または気づこうとしない
・しばしば他人に嫉妬する。あるいは他人が自分に嫉妬していると思い込む
・尊大で傲慢な行動または態度
・男性に多い
…この性格特徴、某超大国の現職大統領に、ほとんどの項目が当てはまってしまうのでは?
予備校のミヤガワ先生の話では、幼少時にほとんど叱られず、褒められすぎて育つと自己愛性パーソナリティになりやすい,、という。
現代日本で、子どもは「褒めて育てる」が基本だ。
日ごろ親から褒められて育った子は、自己愛が肥大化する。たくさん賞賛されないと、承認欲求が満たされなくなる。SNSの自分のポストにたくさんの「いいね」がつかないと、不安になってしまう。
何ごとも、ほどほどがよろしいようで。
でも、自己愛性パーソナリティの人が持つ傲慢さ、尊大さ、妥協を許さない心は、創造的な営みにおいては非常に大切らしい。
「誇大ともいえる自信があるからこそ、誰にもなしえない成功ももたらされるのである」(岡田尊司著「パーソナリティ障害」PHP新書より)。
同書によると、アーティストや芸術家にこうした特性は不可欠。画家のサルバドール・ダリ、ファッションデザイナーのココ・シャネル、彫刻家のオーギュスト・ロダンも、自己愛性パーソナリティの持ち主だったようだ。
そしてそして。
引きこもりも、自己愛性パーソナリティ障害の随伴症状だという。
「自分が抱いている偉大な成功と、卑小な現実が釣り合わなくなった時、ナルシシストは、自分の小さな世界に閉じこもることによって、失望したり、傷つくことから身を守るのである」(同書より)。
超大国の大統領や芸術家と引きこもりが、同じ精神病理で語られるとは…
心理学って面白い。
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Cebu city Philippines, 2025 |
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