2024年6月28日

自然学校で

 

このところ、勤務先の自然学校に連日、首都圏の小中学校がやってくる。

先日、ある北関東の私立中の先生から「ウチの生徒、新NISAの話になると目の色が変わります。実際に株式投資を始めた子もいますよ」という話を聞いた。

中学生から株式投資! 未成年でも証券口座を開けるんだっけ。

日本人が一生涯に得る平均賃金は2.2~2.7億円(大卒正社員の場合)。限られた収入を運用するかしないかで、人生後半の幸福度に大差がつく。お金の教育は、早ければ早いほどいい。

各校の課外学習(森のオリエンテーリング)を手伝っていて気になるのは、「たまに」と「しょっちゅう」の間ぐらいの割で、子どもを怒鳴る先生がいることだ。

ADHD傾向の子などの一部は、まるで大人の忍耐力を試すような言動を繰り返す。先生という職業、かなりの精神修養を必要とするのは確かだ。

それでも。周囲を凍り付かせるような大声はやめて欲しい。

知性と理性で、子どもに接して欲しい。

 

リクルート出身で、東京都内の中学校で「義務教育初の民間校長」を務めた藤原和博氏。日経ビジネス電子版のインタビュー記事を、一部紹介します。

・現在、小中高の生徒は1200万人強。そのうち、不登校の子が30万人。でもこれは「まだ」少ない。学校に全く興味はないが仕方ないから付き合っている子、この状況にギリギリ耐えている子が、さらに300万人いる

・不登校が増えたというと、大慌てで「不登校を減らそう」というが、それは間違い。今の教員の力量で不登校を減らすことは無理だ

・首都圏のある地域では、教員の出身大学の偏差値は50を切っている。東京都など、昔は16倍くらいの倍率だった教員採用面接が2倍を切った

・この現実を知っていると、教員の質を上げるとか、教員に研修をすればもっと教えられるようになるとか、もっと豊かな教育ができるようになるといった話が幻想だと分かる

・それよりも、先生の半分をオンラインの中に求めた方が現実的。言葉の壁はあと5年の間になくなるから、日本で海外のオンラインアカデミーに学ぶ子がいてもいい。アルゼンチンの算数の教員がすごく面白くてエネルギッシュであれば、そういう人から学んでもいい

・これだけ円安が進むと、金持ちの子しか海外留学できない。そう考えると、ある程度エリート教育を認めざるを得ない。徹底的に優秀な人を数少なくてもいいから増やして、100倍の生産性で日本に恩返ししてもらう

・「irreplacable(代替できない存在)」が、これからのキーワード。言い換えると「希少性」

・自分自身をレアカード化したい

Musee de l'Orangerie, Paris 2024


2024年6月22日

学問の道への入り方

 

最近、心理学や脳科学を専門とする大学教授3人に、立て続けにお会いする機会があった。

壁一面に専門書が並ぶ、某国立大学の研究室。認知心理学を専門とするS先生は、丸顔に口ひげ、人当たりのいい好人物だ。

お互い初対面の緊張がほぐれた頃に、

「ところで先生、どうして心理学を志したんですか?」と聞いてみた。

S先生は相好を崩して、

「いやー、ぼく大学では数学を専攻して、最初は学校の先生になるつもりだったんです。でも、教育実習で知ったあまりのブラック職場ぶりに嫌気が差して、即座に研究者志望に鞍替え。その時、たまたま心理学の大学院が入りやすかったんですよね」

せ、先生! そんなんで大学教授になっちゃっていいんですか!

でも正直な方だ。きっと、オールマイティに頭のいい人なんだろう。

 

2020年に96歳で亡くなった外山滋比古・元お茶の水女子大学名誉教授。その著書「思考の整理学」は、40年以上読み継がれるロングセラーだ。

日経ビジネス電子版のインタビューで、氏は「AI時代に重要なのは、知識を覚えることより自分で考え失敗すること」と言っている。

以下、記事の一部を紹介します。

・学校での教育は、これまで主に知識を身につけることだとされてきた。その一方で、学校では考えることについてあまり教えてこなかった。結果として、小学校から大学まで学び続けても、多くの人は「考えたことがほとんどない」

・知識はどんどん忘れて構わない。いくら忘れようとしても、その人の深部の興味や関心とつながっていることは忘れない。忘れてもよいと思いながら忘れられなかった知見によって、一人ひとりの個性は形成され、そこから新しい思考やひらめきが生まれる

・思考の整理とは、「いかにうまく忘れるか」

AI(人工知能)の発達によって、考えることの重要性は高まっている。知識という点ではどれだけ優秀な人でもAIに太刀打ちできないから

・一昔前まで、大学を卒業する特に文系学部の学生にとって、金融機関は魅力的な就職先であり、優秀な人材の受け入れ先となってきた。これは金融機関が知識を最も生かせる場だったから

・ところが今や金融機関では、仕事の大きな部分がAIに取って代わられようとしている。金融機関が大幅な人員削減を打ち出しているのもこのため

・これからはAIと知識で競うのではないあり方、つまり考えることが大切

・考える力を養うことは、ひらめきを得ることにもつながる。知識は覚えればすぐに使えるが、ひらめきには結びつかない。自分で考え失敗することで、人はひらめき、成功にたどり着くことができる

Varanasi, India 2024


 

2024年6月14日

「子持ち様」

 

NPO法人「フローレンス」会長の、駒崎弘樹さん。

ある日彼は、お母さんが「子どもの看病で会社を休んで、解雇された人がいるんだって」と話しているのを聞いた。

大学卒業後すぐに、病児保育のNPOを設立。

以来、メディアで発言を続けている。

 

5月26日付読売新聞で、久しぶりに駒崎さんのインタビュー記事を見つけた。

相変わらず自らの経験に根差した、的を射た発言が多い。

思わず膝を打ちまくってしまったので、一部を紹介します。

 

・最近、SNSで「子持ち様」という言葉が広がっている

「子持ち様の子が、また熱を出したとか言って休んだ。そのカバーで仕事が増えた」などという使われ方をする。子どもを育てる親が、職場から配慮を受けることを揶揄している

2030代の未婚の男女から、そうした声が上がることに衝撃を受けた。不満をぶつける相手は、仕事のカバー態勢を整えていない会社側であるはず。「被害者が被害者を叩く」悲劇的な構図だ

1980年代は全世帯の半数近くに子どもがいたが、今は2割弱と少数派。こうした言葉で子育て世帯の肩身が狭くなり、さらに子どもを産もうという気持ちが薄れてしまうのではないか。そして少子化が加速するのでは?

・日本では「男性が外で仕事をして、女性が家を守る」という役割分担が無意識にすり込まれている。育児が妻に固定化され、夫の会社がそれにただ乗りしている

・日本は長時間労働を前提としている。法定労働時間(1日8時間)を超える割増賃金が欧州の半分ほどと安く、企業からすると残業させやすいため、働く時間が長い

現状のままでは共働きはできても、共育てはできない。労働時間の短縮が、出生率を大幅に上昇させるという研究結果もある

・少子化を巡る問題が難しいのは、当事者の課題が数年ごとに変わってしまうこと。保育所がない、学童保育に入れないと悩んでも、一定期間を耐えれば過ぎ去る。当事者でなくなっても声を上げ続ける人は、ほとんどいない

・子どもは成長し、今の現役世代が高齢者になった時、社会保障制度を支える担い手になる。誰もが「自分の未来への投資」と考え、社会で子育て世帯を支えていく意識を醸成していく必要がある

「私が好きな言葉はインド独立の父、マハトマ・ガンジーの『あなたが見たいと思う変革に、あなた自身がなりなさい』。自分でやってみて必要があれば広げていく、という姿勢を大切にしています」

Jardin des Plantes Paris, January 2024


2024年6月7日

深夜のコルカタと、毛深い大男

 

インドのコルカタに向かう国際線は、どこを経由しても、なぜか必ず深夜の到着になる。

不慣れな外国人に、わざと試練を与えているよう。

この春バンコクから乗った便もまた、真夜中にコルカタ空港に着陸した。

到着ロビーにはATMが見当たらず、手招きする両替商のカモになって、最悪のレートでインドルピーを入手する。

そしてスマホの海外ローミングは、着陸から1時間経っても通じない。だからライドシェアが使えない。プリペイドタクシーの窓口も閉店してしまった。

仕方なく荷物を抱えて到着ロビーから外に出ると、たちまち眼付きの悪いタクシーの運ちゃんに囲まれた。こちらに他の選択肢はないから、料金交渉は圧倒的に不利だ。相場の2倍で、ボロボロの白タクに乗る羽目になる。

あとは運ちゃんが、途中で強盗や人殺しに変身しないことを祈るのみ…

コルカタ市内は、すでに漆黒の闇の中。これが人口1500万の大都市かと思うほど暗い。クルマのヘッドライトが照らす範囲に人影はなく、交通量も少ない。

幸いスマホのグーグルマップが、順調に市の中心部に向かっていることを教えてくれる。

やがてクルマは幹線道路を外れて、狭い路地に入った。廃墟のような建物が、道の両側に並ぶ。路上にはゴミが散乱し、ところどころ、毛布にくるまった人が転がっている。

インド14億を束ねるモディ首相は、西部グジャラート出身。ここコルカタは東の端だから、冷遇され、発展から取り残されているのか。初めてこの町に来た40年前と、まるっきり同じ風景だ。

なんとか無事ホテルに着いた。チェックインでは氏名や住所、電話番号などの宿泊者情報が、分厚い台帳に手書きで管理されている。超高級ではないが、名の通ったホテルをネット予約したんだけど…

眠そうな夜勤スタッフに案内されて、薄暗い廊下を部屋に向かった。

ガチャッ

スタッフが鍵を外してドアを開けると、なぜか室内が明るい。

ベッドに上半身を起こしてテレビを見ている大男と、目が合った。

裸でシーツにくるまり、もじゃもじゃ胸毛が生えている。

「・・・・・」 

しばし沈黙ののち、スタッフが低い声で「ソーリー」と呟き、ドアを閉めた。

悪びれる様子はまるでない。フロントに戻り、改めて空き部屋を探している。

別の部屋を当てがわれ、シャワーを浴びてベッドに入る頃には、東の空が白み始めていた。

インドは、やっぱりインドだった。

Kolkata, India 2024


Kolkata, India 2024

2024年6月1日

「フェミニズムの国」に暮らしてみれば

「ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた」 鈴木綾著 幻冬舎

この冬、イギリス人家庭にホームステイしながら3週間ロンドンに滞在した。帰国後、旅行者目線でないロンドン暮らしの実際が知りたくて読んだのが、この本。

著者は東京で働いていた時、セクハラやモラハラに遭い、30歳を目前にしてMBAを取得し、ロンドンに脱出する。

そして、そこで見たものは…

 

・ロンドンで暮らし始めてから、日本の生きづらさから逃げて来た同年齢の日本人女性に何人も出会った。「出国子女」だ

・「帰国子女」と違って、「出国子女」の99%は高学歴の女性。日本人であることや日本文化を誇りに思っているが、日本企業には勤めたくない人たち。自分と同じくらい優秀な独身の日本人男性は海外にいないから、彼氏は外国人

・これはすごい「人材流出」だ

・グローバル企業で、国籍に関係なく世界のトップ人材と一緒に仕事をしたい人は、ニューヨーク、ロンドン、ドバイなどに集まる。東京はもうその選択肢に入らない

・ロンドンで知り合った日本人投資家たちは、子どもを海外で教育を受けさせている。「日本の教育は21世紀に求められるスキルを教えない」から

・6年間東京に住んで、何度もストーカー被害に遭った。地下鉄の中で痴漢に遭った時、周りの人は私を助けようとしなかった。接待ではセクハラ発言を浴びた。日本を出た時、私の心は傷だらけだった

・女性としての生きづらさから脱出するために日本を離れたことは間違っていなかった。でもイギリスはイギリスで、いろいろなことがある

・「働いている女性が強い」「フェミニズム発祥の地」という理由でイギリスに引っ越して来たが、この国に期待するあまり、求めすぎていた

・外見上や制度上の差別はないし、ルールもきちんとしているが、人々の無意識、普通の社会生活の根底に、性差別意識が残っている。少し表面を削れば「フェミニズムを信じない」的な発言が出てくる

・仕事上、若い女性にとって一番大きな問題は、気持ち悪い上司や中高年の男性たちではなく、自分がモノ扱いされることと、便利屋扱いされること

・交通機関やインフラが最悪、物価が高い、友だちが作りづらい。ロンドンは生きづらい街

…そして著者は、120年前にロンドンに留学した夏目漱石の回想を引用する。

「倫敦に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。余は英国紳士の間にあつて狼群に伍する一匹のむく犬の如く、あはれなる生活を営みたり」 

St Pancras International, London 2024


2024年5月25日

車掌さんの鼻ピアス

 

イギリス人家庭でのホームステイを終えて、ロンドンから大陸に渡る、その朝のこと。

バックパックを背負って地下鉄ピカデリー線の駅に着くと、入り口が鉄のシャッターで閉ざされている。

「???」 脳内が、クエスチョンマークだらけになった。

もし東京の地下鉄が突然、通勤時間帯に運休したら、大混乱間違いなしだ。

でも、駅周辺は閑散として、平和そのもの。よくあることみたい。

近くでのんびり立ち話をしていた女性に聞くと、ロンドン中心部に向かう代行バスが出ているという。

でも、そのバスがいつ来るかわからないし、途中の渋滞も心配だ。

予約した国際列車ユーロスターの出発時間が迫る。

幸いロンドン滞在も長くなり、ある程度の土地勘があった。とりあえず路線バスで別の地下鉄駅に向かうと、その駅から市内に向かうエリザベス線は、平常通り動いていた。

やれやれ、助かった…

見送りに来てくれた某新聞ロンドン支局長のKさん曰く、

「実はエリザベス線も、車両故障でよく止まるんですよ。よかったですね~」

 

一度は乗ってみたかった、国際列車ユーロスター。

ロンドンからドーバー海峡をトンネルで越えて、パリやブリュッセルなど大陸の各都市を結んでいる。

ロンドン市内の駅でパスポートチェックを受け、早くもフランスの入国印が押される。その先のキオスクで売られるサンドイッチは、すでにポンドでなくユーロ価格だ。

先頭車両は流れるような流線型で、新幹線よりカッコいい。でも…ドロドロに汚れている。たぶん製造以来、一度も洗車してない。客車の窓も、外の景色が見えないほどの汚れようだ。

乗客をA地点からB地点まで運ぶのに、いちいち車体を洗う必要などないと考えるのか? でもここまで汚ないと、空気抵抗が増えますよ絶対。

このユーロスターも、昨年末にトンネル内が漏水して運休してしまい、クリスマス休暇を過ごす乗客で大混乱していた。

国際結婚してイギリスとフランスに30年暮らす友人が、

「日本に一時帰国するたび、電車が時間通り来ることに感激する」

と、しみじみ言ってたっけ。

無事に大陸に渡り、次にベルギー国鉄のローカル線に乗った。車体が派手な色のスプレー塗料で落書きされ、まるで「走るストリートアート」だ。

検察に回ってきた若い女性車掌の鼻(小鼻の脇でなく、鼻っ柱のど真ん中)に、大きめのピアスが光っていた。

う…牛…?

思わず、失礼極まりない連想をしてしまう。

堅苦しい制服制帽姿とのミスマッチが、笑えた。

Gare du Midi, Bruxelles 2024


2024年5月17日

愛人を作るのは合理的判断

 

ここ数年、女性問題で失脚する男性経営者が後を絶たないらしい。

ウエルシアの社長が愛人問題で辞任。タムロンの社長も、ホステスを経費で海外出張に同伴させて辞任。ENEOSの会長と社長も、相次いでセクハラ行為で失脚したという。

この件について、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス准教授で進化心理学者のサトシ・カナザワ氏が、ものすごいことを言っている。

これってホント? 以下、日経ビジネス電子版のインタビューを要約します。

一般的に男性は経営者を目指して懸命に働いており、無意識のうちにより多くの女性と情事を重ねることをその目的としている。経営者になることは手段にすぎず、女性との情事こそが本来の無意識的な目的

・経営者になれば、女性を引きつける上で有利となる富と権力が手に入る。女性スキャンダルを起こす男性経営者は、本来の目的を達成しているだけ

・なぜ男性は富と権力で女性を引きつけられるのか。教育の機会や食料を提供するなど、子どもの養育に必要な投資の能力が高いことを女性に示せるから

・ヒト以外のほとんどの種は母親だけで子どもを育てるので、母親は父親の持つ富や権力には関心がない一方ヒトの場合、父親も子どもの養育に加わるので、母親は富と権力を持つ男性との繁殖を好む

・男性経営者がセクハラ行為に走るのは、女性を魅了できるほどの富と権力を得たと思い込むから。男性は繁殖相手である女性に様々な方法でアプローチするが、その一つがセクハラ

・セクハラは人類の歴史を通じてずっと行われてきた。ただ四半世紀前から社会規範が変わり、セクハラの加害者が制裁を受けるようになった

・より多くの女性との情事を重ねることが経営者になった本来の目的なので、男性経営者が妻以外の女性にアプローチするのを防ぐのは非常に難しい

・一生懸命働いて経営者になった男性に対して「不倫するな」と説くことは、一生懸命働いてお金を稼いだ人に「お金を使うな」と言っているようなもの

・ビジネスで大きなリスクを取って成功した彼らは、経済学や人格心理学の言葉を借りれば「リスク愛好型」の人間。不倫するリスクも取りがち

・さらに、愛人問題で経営者が失脚する確率は小さいのが現実。「女性スキャンダルに発展する恐れがあるから不倫するな」と主張することは、「墜落事故のリスクがあるから飛行機に乗るな」と言っているのと同じ

・愛人がいる経営者のほとんどが、無事に過ごせている。リスクを取ってでも愛人をつくることは合理的な判断といえる

 

たとえ「進化心理学」的にはそうであっても、自分は違う!と言いたい。

富と権力なんか握ったことないから、断言はできないけど…

Musee d'Art Moderne de la ville de Paris, 2024


2024年5月10日

お金と人生と幸せについて

 

「経済評論家の父から息子への手紙~お金と人生と幸せについて」山崎元著 Gakken

今年の元日に65歳で亡くなった著者が、がんと診断されてから書いた本。

著者は転職を12回繰り返して、国内外の金融機関を渡り歩いた。その間、手数料の高い(金融機関が儲かる)アクティブ投信より、実は手数料0.1%のインデックス投信の方が儲かることを、明快な根拠とともに主張し続けた。

一貫して消費者サイドに立つその姿勢ゆえ、勤務先ではさぞ逆風が強かっただろう。

今回はこの本の、投資以外の部分を紹介します。著者の息子は、大学1年生。

・興味を持って面白いと思える仕事でないと、ライバルに勝つための努力が続かない。これは競争上、決定的に不利

・しかし、好きなことで稼いで豊かさを得るのは簡単ではない。むしろ、好きでないことを我慢して稼ぐことが豊かさへの近道になる場合が多い

・自分を変える方法は、付き合う人間を変えるか、時間の使い方を変えるかの2通り

・自己投資の中身は「知識」「スキル」「経験」「人間関係」「時間」

・人間関係の基本は「時間厳守」と「さわやかなあいさつ」

・デートの時にクレジットカードをリボルビング払いで決済する相手とは結婚しない方がいい。経済観念の乏しい相手と結婚すると苦労する

・各種の経験や、豪邸の所有のような自由はお金で買える。名声も買えないことはない。ある種の人間関係も、お金で買えないことはない。しかし、ナチュラルにモテるという状況をお金で買うことは難しい

・モテない男は幸せそうに見えない

・モテる男になるためのコツは、心からの興味を示しながら、相手の話を熱心に聞くこと。ひたすら聞く。これが肝心だし、これだけでいい。自分から行う自分語りは一切いらない

・いわゆるスペックの高い男でも、自分語りが多い男は驚くほどモテない

・人間の幸福度は、ほとんど100%自己承認感(自分が承認されているという感覚)でできている

・自己承認感によって人をコントロールすることを最も大規模に成功させているのが宗教

・幸福は、人生全体を評価して通算成績で感じるようなものではなく、日常の折々に感じるもの。幸福感とは「その時に感じるもの」。

日常の一日一日、一時一時を大切にしよう

・自分にとって、どのようなことが嬉しくて幸福に感じるのかに気づくといい。できたら、それを言語化しておこう

Varanasi India, March 2024


2024年5月3日

幼稚園の先生も国際分散投資

 

半年に1回ぐらい顔を出す小さなカフェで、ランチに南インド定食を食べた。

食後まったりしていたら、20代後半ぐらいの女性が入ってきた。客は我々2人だけ、なんとなく会話が始まる。これって地方都市あるあるの展開かも。

その人は幼稚園の先生で、去年からNISAを始めた。周りに相談できる人がいなかったからYouTubeで勉強して、アメリカ株・先進国株・新興国株のインデックス投信を3分の1ずつ、毎月積み立てで買っているという。

なんて洗練された投資家だ。「それでいいんです!」と力強く言っておいた。

幼稚園教諭も株式投資。若い世代は特に、日本の将来への危機感が強いのだ。

 

「経済評論家の父から息子への手紙~お金と人生と幸せについて」

元旦に65歳で亡くなった山崎元氏の最後の著書。この人の本を愛読してきたが、一貫して国際分散投資を強く勧めている。ちょっと内容を紹介します。

・就活シーズンになると、リクルートスーツに身を包んで会社訪問に赴く学生の映像が報道される。翌春には、首尾よく就職に成功した学生たちが大企業の入社式に臨む映像が流れるのだが、彼らを見ていつも「悲惨だな」と思う

・区別がつきにくい同じスーツと表情に象徴されるように、彼らの大半は使う側から見て「取り換え可能な存在」。弱い立場で会社人生を送る

・正社員の立場を得たことに本人たちも安心し、親にも褒められる。しかし、親世代と今とでは有利な働き方、稼ぎ方のあり方がすっかり変わっていることに親子ともども気づいていない

・ひとつの組織に居続けるとなると、重要性を増すのが人事。人事は基本的に好き嫌いで決まる。これは現代でもそうだし、世界的にそう。嫌われた者が脱落するシステムだから、評定者の言いなりになることが求められる

・正社員としてそこそこの会社に入社できると、非正規労働者より給料が少しいいかも知れないし、クビにはなりにくいが、その立場に安住すると一生を通じて会社の奴隷のような存在になる可能性が大きい。いわゆる「社畜」だ

・リスクを取りたくない労働者が、安定と引き換えにそこそこの賃金で満足する。その彼らこそが世界の養分であり経済の利益の源

・資本主義経済は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から利益を吸い上げるようにできている

・その利益を吸い上げる側に介在するのが資本。そして現代で資本に参加する手段が株式投資だ。若い人は生活費3~6か月分を銀行の普通預金にして、残りを全額「全世界株式インデックスファンド」に投資するといい

・資産運用の三原則は「長期」「分散」「低コスト」。大事なのは売り買いしないこと。大きな利益を得るためには、長い期間資本を提供し続けることが必要。持ちっ放しがいい

・そして、新しい働き方に必要なマインドセットは

   常に適度なリスクを取ること

   他人と異なることを恐れず、むしろそのために工夫をすること

Matsumoto Japan, spring 2024


2024年4月26日

自由な空気

 

セブ島英語留学中は毎日、授業前に近所のフィットネスクラブで汗を流した。

その朝は、留学仲間の女性と一緒にトレッドミルで走る。高校時代は中長距離走の選手だった彼女は今、ジャカルタ在住。日本人学校に併設された幼稚園の先生をしているという。その前はホーチミンの幼稚園で働いていたそうだ。

世界を渡り歩く幼稚園教諭! 世の中、いろんな生き方があるものだ。

 

私が2年前にフィリピンを訪れた時は、ワクチン接種証明、PCR陰性証明、フィリピン保健省の登録証明、コロナ陽性時に入院費用3万5千ドルをカバーする海外旅行保険の証書、がないと入国できなかった。

いまはパスポートだけでOK。やっと自由に世界を歩けるようになった。

 

そのコロナ禍の最中に、マスク着用自由を貫いた公立中学校が栃木県にある。

日本にもこんな学校があったのか…

以下は日経ビジネス電子版に掲載された原口真一校長の記事の要約です。

・校長には学校の方針を決める大きな権限がある。校長が「空気」に流されず、自分の頭で考えて判断し理想とする教育を実践することが重要

・私は学校長として、パニック的に感染対策に走る社会全体の「空気感」だけで状況を判断しないようにした

・「1人の感染者が次に何人に感染させるかの指標」や「陽性者数」などのデータとともに重視したのが科学的根拠。空気感染しないというエビデンスがあるのに、マスクを着用し続けることに当初から疑問を抱いた

・人は吸った酸素のうち3050%が脳に運ばれる。成長期の子どもがマスク着用で生じる酸欠リスクは大きく、免疫力の低下も招く。「話すな、集まるな、触れ合うな」の同調圧力にさらされ続ける子どもがふびんだ

10代という感受性豊かな時間は二度と戻ってこない。その時期に感染対策だけに固執するのは失うものが大きすぎ、学びの質も大きく低下する

・運動会もマスク着用自由。保護者も生徒もほとんどが素顔で競技したり、踊ったり、応援したりした。文化祭での合唱もやった。213月の卒業式もノーマスク。何人もの親御さんから「先生が校長で本当によかった」と言われた

・保護者には丁寧に説明した。私の考えに賛同してくれた保護者が別の保護者に伝えてくれたおかげで、理解がどんどん広まった

・その分、責任も負わなければならない。生徒や教職員に陽性者などが出れば全責任を負うつもりだった

・学びとは「たった一つの答え」を求めるのではなく、一人ひとりが自分の「最適解」を求めること。コロナ禍では一つの答えしか求めず、それを子どもや教育にも強いてきた

・学びとは何なのか、物事を問い直すことがいかに大切か――。大人が、特に「思考のプロであるべき教育者」が、もう一度考えなければいけない

Matsumoto Japan, April 2024


2024年4月19日

褒めて伸ばす 褒めれば伸びる

 

セブ島の英会話学校で接するフィリピン人の先生は、本当に熱心で優しい。

「あなたの th の発音はすばらしい!聞いてて気持ちいい」とか、ちょっとしたことでもベタ褒め。ほとんど褒め殺しに近いが、悪い気はしない。

同じアジア人同士、言葉以外でも通じ合えてしまう部分がある。「まず言葉ありき」の欧米人や、同じアジアでもインド人相手だと、こうはいかない。

まぁ「以心伝心」が通じてしまうのは、必ずしも英語学習に適した環境でない気がするが…

 

名古屋で塾を経営する『ビリギャル』の著者・坪田信貴氏は、1000人以上の子どもを指導した経験から「厳しく接しても人間は育たない」と断言している。

(以下、日経ビジネス電子版の要約です)

・部下を厳しく叱りつける上司が一時的に成績を上げることはあるが、ほめて伸ばす上司とどちらが正しいかというと、答えはほめて伸ばすタイプの上司。暖かく見守らないと、子どもも部下も育たない

・叱りつけてばかりいると、部下は苦手意識を持つ。それでも部下は上司の言うことを聞こうとするが、苦手な人の言うことは無意識に拒絶してしまうので、その結果ポカしてしまう

・私も叱ることはあるが、それは信頼関係を築いてから。いきなり叱りつけたり、説教をしたりすれば苦手意識を持たれて、それで終わり

・子どもは、本気でその子の能力を信じてあげれば全力で返すもの。これは子どもだけでなく、部下もそうだし、人はみんなそう

・一方で、疑うと能力は下がる。悪意を持った人に出会うと、人は自分を隠そうとする。リラックスした状態でなければ、本当の力は発揮できない

・人間は達成したいという欲求よりも、失敗を回避したいという欲求の方が2倍強い。「おまえダメじゃないか」と言われると、それを回避しようとするから、余計うまくいかなくなる

・上司が「お前またミスして。何度言ったら分かるんだ」と言ったとして、では何度言ったら分かるのか。答えは500回。ちゃんとデータを取って調べた。3回か4回言ったぐらいで分かるはずがない

・上司が偉そうにしたりなじったりするのは自分の権威効果を高めようとしているのだろうが、逆効果だし悪循環。『釣りバカ日誌』のように、釣りについては部下を師匠として接すれば、部下も信頼してくれる

以前は辛いことがあっても将来は金持ちになれる、幸せになれるという希望を持てた。でも今はそういう希望が持ちにくい時代。努力しろ、きついことをやれと言われても先が見えないから、厳しく接する方法ではうまくいかない

・ダメな子どもや部下はいない。いるのはダメな指導者だけ

Chino Japan, April 2024


 

2024年4月12日

niche を探す

 

「あなたは sapiosexual でしょ」

セブ島英語留学中、出し抜けに先生に言われた。

初めて聞くその単語の、意味を調べてみる。

…なるほど、確かにその傾向はあるかも!

人は、自分にはない特質を異性に求めるのかも知れない。

 

発音練習や文法の時間になると、途端に精彩がなくなる生徒(←私のことだ)に、先生方は工夫を凝らした授業をしてくれた。

ボホール島出身の先生とは、「ボホール島の観光公害」に関する記事を題材にディスカッション。別の日は、島の名物カカニン(米菓子)がテーマ(先生は大の甘党だ)。レッスン最終日には、自慢のカカニンを頂いた。

その先生は毎週末、NPOに参加して、学校に行けないスラムの子どもたちを教えている。授業ではその時の様子も、熱心に話してくれた。

この学校で働くフィリピン人教師は、全員が大卒。もし彼ら彼女らが日本に来れば、英語話者としては確実に上位5%に入る実力の持ち主だ。

でもここフィリピンでの収入は十分とはいえず、夜間は米系企業のコールセンターで働く先生もいた。

クレーム対応をしていて、電話の向こうのアメリカ人から罵声を浴びることもあるという。

「英語力だけでは十分でない。なにか niche を探さなければ…」

と、先生は言う。

 

「1週間の短期留学も可能」「寮は個室完備」をうたうこの英語学校には、20代~50代の社会人が多く集まった。

10年に1度の慰労休暇を使って毎日9時間、1週間みっちり個人レッスンを受け、最終日の夜行便で帰国していく人もいた。

「海外子会社とのズーム会議でもっと発言したい」

「来月海外で行われる学会で、英語で発表する」

皆それぞれ、目標も明確だ。

 

毎週金曜日に、帰国する生徒のプレゼンテーションと卒業式が行われる。

ある30代男性が、卒業スピーチの途中で絶句した。

頬を涙が伝っている。

彼は勤めていた会社を辞めて、「これからは英語で身を立てる」不退転の決意でセブ島に来ていた。

 

この島では会う人ごとに、彼我の覚悟の違いを思い知らされる。

Cebu ocean park, 2024


2024年4月5日

努力の塊

 

セブ島英語留学では、マンツーマン授業の合間にグループレッスンが混じる。

「初心者クラスに入れられたら、かったるいなぁ」

自分の英語力を棚に上げて、そう思った。

ところがフタを開けてみると、

「あなたのキャリアの、Turning point はいつでしたか?」

「あなたの人生で、Milestone と呼べる出来事はありましたか?」

ノーリー先生(28歳美人・夫と子どもあり)から、笑顔でそんな質問が飛んでくる。日本語でさえ答えに窮するのに。難しすぎる。

ところが。

「グループレッスンの時間って、唯一の息抜きだよね~」

「そうそう、ホッとする~。半分寝てるかも」

ある晩、クラスメートと行ったハンバーガー店で、女子の会話が聞こえた。

ワ、ワタシが毎回、七転八倒してるっていうのに?!

一見控えめなこの日本女性たちは、いったい何者だ。なかなか教えてくれなかったが、しつこく聞いてわかったその正体は、

「職場のサバティカル制度を使ってオーストラリアに留学。ホームステイしながら猛勉強して、1年で英語教授法の博士号を取った」

「キャリアカウンセラーとして働きながら、心理学の最新の知見を知りたくてアメリカの大学院に入学。現地には行かず、オンラインで全ての単位を取得して卒業した。宿題が多すぎて過呼吸になった」

まさか、こんな方々と机を並べていたとは。

世の中には人知れず、大変な努力をしている人がいる。

 

「努力の塊」を目の当たりにして思い出したのが、アフガニスタン出張の折、通訳兼助手としてお世話になったジャワット&ファルハド兄弟だ。

自爆テロが頻発する上に、一歩ホテルを出れば全く言葉が通じないかの土地で、彼らは文字通り命綱となって働いてくれた。

2人はきれいなイギリス英語を話した。ラジオにかじりついて、雑音だらけのBBC海外放送を聞きながら、独学で英語を学んだという。

 

日本に帰れば各種教材が書店の棚を埋め、ラジオ英会話、YouTube、ポッドキャスト、字幕付き映画や海外ドラマにも簡単にアクセスできる。

オンライン英会話だってある。

時間とお金を投資すれば、こうして現地で英語に触れることもできる。

極端な貧困やタリバンの圧政とも無縁の、恵まれた環境にいる私に言い訳はできない。

やるかやらないかは、ひとえに自分次第なのである。

(ある意味、これも過酷な状況だったりして…)



2024年3月27日

セブ島に暮らすということ

 

セブ島英語留学は、朝の9時から夕方6時まで英語漬け。

毎日7時間の授業のうち、5時間がマンツーマンレッスンだ。

入れ替わり立ち替わり、6人の先生に英会話を習う。そのうち5人が20代。

最近、少し個人的なことも話せるようになった。

いつも陽気なフィリピ―ノの笑顔の裏には、厳しい暮らしぶりが隠れていた。

 

「私が小学生の時に、母親が家のお金を全部持って蒸発した。それからは、父がひとりで私たちきょうだい4人を育ててくれた。私も、学校の先生の服を洗濯して小銭を稼いだ」

この先生には、どことなく暗い影がある。幼くして母に捨てられた心の傷は深そう。

 「私は9人きょうだいの長女だから、家計を支えなきゃいけない。コックになるのが夢だったけど、調理師学校は授業料が高いからウェイトレスに。その後勉強してこの仕事(英語教師)に就いたけど、正直あまり情熱が持てない」


フィリピンでは、大卒者の初任給が1500020000ペソ(約4万~5万5千円)だという。
他にも一家の稼ぎ頭として、決して多くない給料で年下のきょうだいを養っている先生がいた。夜はコールセンターで働いている先生も。

 

ある先生は毎朝、洗い髪を濡らして登校してくる。学校から徒歩5分のアパートを教師仲間8人で借り、2部屋に分かれて共同生活しているという。

別の先生は「親せきが市内にアパートを借りて暮らしていたら、盗賊に室内を滅茶苦茶にされた。だから市内には住みたくない」

と言って、酷暑の中を片道2時間、エアコンなしのジープニー(小型バス)を乗り継いで通ってくる。

 

ある日のマンツーマン授業で、非常用持ち出し袋(防災カバン)をトピックにディスカッションした。

私が「Alien attack にでも備えるの? そんなもん必要ないでしょ」

と軽口を叩いても、先生は笑ってくれない。目が怒っている。

「地震や洪水はいつ起きるかわからないんだから、懐中電灯やラジオ、非常食や水をひとまとめにして、ちゃんと準備しなきゃダメ!」

セブ島の山間部にあるその先生の自宅は、2年前にフィリピン中部を襲った台風の直撃で、全壊していた。島の停電は2か月続いたという。

他にも「台風で屋根に大穴が!寝ていたら星が見えた」という先生がいた。

全壊した先生宅への政府の補償金は5000ペソ(1万4千円)だったという。

※ここは英語学校ではありません!


2024年3月23日

カンヅメ生活

 

地下鉄の初乗り800円の街から、タクシー初乗り100円の街に来て、心の底からホッとしている。

でも実際のところ、お金を使っている時間がない。

ここセブ島の英会話学校は、その多くが韓国資本。主なターゲットは学生だ。寮を併設した学校の敷地内に生徒を閉じ込めて、「スパルタ式」「セミ・スパルタ式」と呼ばれる厳しい指導方法で、短期間で英語を叩きこむ。

放課後、自習室に監視付で学生を閉じ込めたりする学校もあるようだ。

私は主に社会人を対象にした日本資本の学校を選んだので、そこまで厳しくない。でも1日7時間(うち5時間がマンツーマン形式)の授業をこなし、予習復習の時間も含めれば、起きている時間の大半は英語漬けになる。

朝7時。朝食は学校が和風弁当を配ってくれる。

その後、6階にある寮の自室から同じ建物の8階にある校舎に「通学」。

ランチタイムは、学校から徒歩5分圏内にある安食堂や屋台から、フィリピンのおかず2~3品とご飯をテイクアウトする。

グループレッスンの先生に教わったローカル食堂の「ゴーヤと卵の炒め物」や「カボチャのココナツミルク煮」は、かなりいける。おかず3品とご飯を頼んで、たいてい100ペソ(250円)以内で済む。

 

同じ週に入学した同期生は、大学教授、内科医、日本語教師、航空機エンジニア、理学療法士兼プロボクサー、会社員、高3女子、そして個人投資家兼看護助手、という面々だ。

年齢もバックグラウンドもさまざま。国籍は日本と韓国。

留学期間は1週間の人が多い。やっとひねり出した貴重な休暇を、この英語留学に充てている。

私「その7日間の休暇は、年に何回取れるんですか?」

マサさん「いや10年に一度の慰労休暇です」

私「えっ…」

マ「ここに来るの、ニョーボにはすごく反対されました」

そのマサさん、朝と夜に個人レッスンを1時間ずつ追加して1日9時間レッスンを受けた上に、最終日には英語プレゼンテーションまでこなし、その日の深夜便で帰国していった。

 

高校生は2人来ている。

高3女子「私は来たくなかったんだけど、親に言われて仕方なく…」

高2女子「学校の英語だけでは将来使いものにならないから、親に頼み込んで来させてもらいました。だから両親には感謝です」

対照的なふたりだが、共にキャビンアテンダントになるのが夢だという。



2024年3月15日

クイーンズ・イングリッシュからの逃亡

 

ホームステイ先のハリス夫妻の会話はてんで聞き取れないし、ロンドンの物価は高すぎる。このままでは、早晩干上がってしまう。

そこで、あっさり方向転換。セブ島の英会話学校に通うことにした。

オンライン英会話の先生はみなフィリピン人だったが、とても優しかった。向こうの物価も財布に優しそうだ。そして何より、寒くない。

トロピカル・ビーチが私を待っている!

英語学習を「旅先で会うインド人と口喧嘩して勝つ」という壮大かつ無意味な動機でやっている限り、どんな場に身を置いてもムダな気がするが…

悪あがきは続く。

 

プロ家庭教師として2500人以上の子どもを難関中学に合格させた西村則康氏が、「大人にも役立つ能力開発の大前提」を説明している。

以下に日経ビジネス電子版の記事を要約します。自戒を込めて…

・タワーマンションに住む家庭は収入が高く、教育にも費用がかけられるから、子どもの学力の平均値は高い。ただ「こいつはすごいな」と思うほど優秀な子がタワマンにはいない

・すぐ外に出て何かに触るということができないし、風のそよぎも感じられない、音も聞こえない。五感への刺激が圧倒的に少ないために、身体感覚が自然に鍛えられるべき時期に十分鍛えられないのが大きい

・この小さい頃の身体感覚が、物事をはっきり理解する感覚や、学習へのモチベーション、行動力にも深く結びついてくる

・言葉にしろ数字にしろ、何らかの過去の自分の経験とつながっている。そういう経験を身体感覚として蓄えている子といない子では、理解の度合いが違う

・入ってきた知識が過去の記憶とつながるか、全くつながらないで離れ小島状態で置き去りにされてしまうかの差

・「断捨離」も子供の発達にはよくない。捨ててさっぱりする大人にとってはいいが、子供には刺激がなさすぎる。本棚からあふれた本や道具箱からあふれたものなど、子供は過剰なものに反応する

・今は努力するのはダサいという風潮になっていて、努力できない子が多い。でも人間の本来の性質としては新しいことが分かると楽しいし、できることが1つ増えるのは快感。これはずっと変わらない

・会議の席で、ものすごく論理的で筋道だった話をする大人がいるが、得てして「それはうまくいかない」など否定的な意見を説得力満点で述べる。だがそれでは社会生活が止まってしまう。目標に向けた話ができなくてはならない

・「こうありたい」というゴールのところから、ではそのために何ができればいいか、というふうに戻ってこられる思考が必要

・目標を設定し、意欲を持って行動し、到達するというプロセスの連続が、社会を生き抜く力そのものにつながる

Cebu Philippines, 2024


2024年3月7日

イギリスのカツカレー

 

某新聞ロンドン特派員のKさんに、ある有名なパブに連れて行ってもらった。

歴史の古いパブの中は薄暗く、入り口ドアもどっしりと重厚で、ちょっと一人では入りにくい。でも最初にカウンターで注文する前払い方式で、一度経験すれば気軽に利用できそうだ。

ランチタイムはジュースやコーヒーのドリンクバーまであり、ファミレスのような使い方ができる。

平日の昼からビールのジョッキを傾ける若い男女グループもいれば、ベビーカーごと入店するママもいる。店内はいたってカジュアルだった。

 

このパブでKさんが注文したのが、カツカレー。

「日本のカツカレーは、今やイギリス人の国民食です!」という。

確かに、パブのメニューの目立つところに「Katsu Curry」が載っている。

パリの街角には、中国系や東南アジア系のオーナーが経営する寿司屋や日本食レストランが至る所にあった。

ここロンドンでも「WASABI」「WAGAMAMA」「ITSU」といった不思議な名前の日本料理レストランがチェーン展開していて、そこらじゅうにある。

イギリス人にとって、日本食は「ヘルシーだから」人気があるのだという。カツカレーやラーメンのどこがヘルシーなの?という気もするが、フィッシュ&チップスに比べれば「相対的にヘルシー」なのだろう。

Kさんによると、イギリス北部に行くと、出てくる食べものがほぼ全て揚げ物。スコットランド人はスニッカーズまで揚げて食べるそうだ。

…本当か???

そのKさん、「ITSUのギョーザ乗せうどんは意外にいけます」という。

よくそんなもん注文するよなぁ。

 

ちなみに、イギリスのカツカレーは99%チキンカツだ。

ロンドン市民の4割が外国生まれで、今やイギリス首相もロンドン市長もインド系。イスラム教徒も多いから、鶏肉がいちばん好まれるのだろう。

そういうイギリス人が日本に来て「本場のカツカレー」を食べようとすると、その99%が豚肉と知って仰天することになる。

 

ある「日本料理レストラン」で、衝撃的なカツカレーを見てしまった。

お皿に草履みたいに大きなカツを敷き、ちょこんと白いご飯を乗せて、その上からカレーがかかっている。

詳細は添付写真をご覧ください。

私は食べてません。



2024年3月1日

イギリス人の腸は特別

 

日本の家庭には必ずあるのに、イギリスの家庭にはないもの。

   ゴミ箱

ホームステイ先で家じゅうの床という床を探しても、ゴミ箱が見当たらない。ハリス夫人に聞くと、「キッチンの流しに捨ててね」。

目線を上げると、シンクの中にビニール袋が広げてあった。

   ティッシュペーパー

日本人家庭なら各部屋にありそうなものが、ここにはない。

鼻をかむ時や食べ物をこぼした時はどうするんだろう。

仮説その1:イギリス人は鼻水が出ない

   スリッパ

ハリス家では日本式に玄関で靴を脱ぐ。夫人はとてもきれい好きなので、床はいつもピカピカだ。でもこの家の男衆、夫マイケルや次男メイソンは土足で歩き回るし、愛犬ステラ嬢の食べかすも散らばっている。

スリッパ持参でよかった!

   食卓

がらんとしたダイニングルームには、テーブルもイスもない。みんな食事はどうしているかというと、適当にキッチンで丸椅子に座って食べたり、ソファでビスケットをかじったり。

夫マイケルがデリバリーしたカレーを寝室に持ち込んで、ベッドで食べているところは見かけたが、家族で集まって食べる習慣はない。小腹が空いたとき、各自そこらにあるものをかじっている。

 

ホームステイ初日、ハリス夫人に「朝ごはんはセルフサービスで。戸棚や冷蔵庫を開けて好きなもの食べてね」と言われた。

牛乳、シリアル、クリームチーズ、ヨーグルト、食パン、バナナ、リンゴ。毎朝そんなものを食べていた。

不思議なことに、冷蔵庫の中身が、毎日私が食べた分しか減っていかない。

これらの食品は、ホームステイに来た日本人用に特別に用意されたものなのか? ハリス家の人たちは、大量にストックしてあるビスケット、ポテトチップス、チョコレート、ビールで生きているのだろうか。

イギリスに住んでいた友だちによると、彼らは自らの気質をstiff upper lipと表現するそうだ。「忍耐力がある」「やせ我慢をする」という意味で、「快楽を追求する他文化と我々は違う」というプライドも含まれているという。

「食事に手間や時間をかけるなんてシャラクセェ」というわけか。

それにしても聞きしに勝る、この食事へのこだわりのなさはどうだ。

仮説その2:イギリス人の腸内酵素は特別だから、ビールとポテトチップスで80歳までOK

Borough Market, London


2024年2月23日

ハリス家の人々

 

ハリス家の夫マイケルは、言っちゃ悪いが「ダメ夫」の典型みたいな人だ。

ホームステイ初日の夜、夫マイケルがお洒落してどこかに出かけて行く。アイロンがかかった純白のシャツに、肩まで垂らしたドレッドヘア。なかなか男前だ。年齢もハリス夫人より10歳は若そう。父親がジャマイカ出身だという。

そのまま、一向に帰って来ない。午前3時、ブチ切れたハリス夫人が夫マイケルに電話。ドスの効いた夫人の低い声は、迫力十分だ。

夫マイケルは、10数分で飛んで帰ってきた。かなり近くで飲んでたみたい。地元が大好きな、マイルドヤンキーか。

彼は翌日の午後まで、半裸でリビングのソファに転がっていた。その体は指先や手の甲から、腹や背中に至るまでタトゥーだらけ。

そしてまったく同じことが、翌週末も展開された。懲りない人である。

ろれつが回らない上に早口なので、彼の英語は解読不能。家じゅうの壁に張られた、エルビス・プレスリー、モハメド・アリ、ジェームス・ディーン、マリリン・モンローのポスター。トイレのドアは開け放ったまま放尿する。

そんな彼だが、ある朝私がトーストを焦がして火災報知機が鳴った時は、別人のような機敏さを見せた。脱兎のごとく2階から駆け下りて玄関ドアを開け、煙を外に逃がしてくれた。彼がいなかったら、大騒ぎになっていた。

ハリス夫妻の次男メイソンは、コンビニ店員。私の隣の部屋にいるのだが、夜中に盛んに咳をする。ハリス夫人によると、「あれは電子タバコの吸い過ぎ。イギリスでは紙のタバコより安いから、1213歳から吸い始めるのよ」

週の半分は、どこかに外泊して帰ってこない。

 

誰もいないキッチンで朝ごはんを食べていたら、カゴの中にリウマチの薬を発見した。きっと「ビール命」の夫マイケルが患っているのだろう。

でも一緒に置いてある妊婦用の葉酸タブレットは、いったい誰が…?

その謎は、まもなく解けた。ガチャガチャッと外から玄関のカギを開ける音がして、赤ちゃん連れの若い夫婦が入って来た。

Hi!」「Hi!」と、お互い自己紹介する。ケイシーと名乗った女性が、

「私はハリス夫人の孫です」と言う。

えっ孫? 思わず聞き返した。確かに、Grand-daughter だと。

…とすると、生後2週間のこの赤ちゃんは、ハリス夫人のひ孫?

孫娘ケイシーによれば「おばあちゃんは61歳」。計算上、不可能ではない。

平均的な日本人が2世代回る間に、ハリス家では3世代回っちゃうのね。

 

他人の家庭をのぞき見するのが大好きな悪趣味人間(←私)に、ホームステイは堪えられない面白さがある。

でもかわいいウチの大学生の娘は、この家には預けられねーな。

いないけど。

London Underground


2024年2月16日

イギリスはおいしいか

 

イギリス家庭にホームステイすれば、フレアスカートの奥様が紅茶と手作りスコーンでもてなしてくれる…

なぁんて期待はしていないが…現実はキビシかった。

外出から戻った私が2階にいると、5時55分ごろ階下のキッチンで物音がし始め、そして6時きっかりにAC(←私の名前)! ディナー!!」

ハリス夫人が大きな声で呼んでくれる。

調理時間、およそ5分。

夕食はいつもキッチンカウンターで、丸椅子に尻を乗せてひとりで食べる。ガラ~ンとしたこの家には食卓もイスもないから、誰かと一緒に食べるのは物理的に不可能なのだ。夫人曰く、「ウチはモダンな家庭だからね」。

メニューはたいてい一皿で、「麺と同じ量のソーセージが乗っかったミートソースパスタ」だったり、その翌日が「肉あんかけ乗せ中華麺、でもなぜか前日のミートソースと味が同じ」だったりする。

また別の日は、茶色い焼きめしの上にカレーをかけたワンプレート。キッチンに残されたパッケージには「Curry rice Chinese style」とあった。

毎日、茶色っぽい。

日本の友人に写メしたら、「ほとんどジョークみたいな食べものだね」

キッチンはいつもピカピカだ。滞在中、一度も鍋やフライパンを見かけなかったから、電子レンジしか使わないみたい。ハリス家は共働きだから、スーパーの総菜や冷凍食品でもぜいたくは言えない。

私の食事中、ハリス夫人は居間のテレビでクイズ番組を見ている。「ご飯はこれから?」と聞くと、「私?適当にクッキーやチョコをつまむだけよ」

夫人より10歳は若そうなドレッドヘアの夫マイケルは、大量にストックしてある缶ビールとポテトチップスでカロリー補給している様子。

イギリス人家庭、恐るべし。

私に用意してくれる食事は、肉の量がすごい。とても食べきれないので、夫妻の愛犬ステラ嬢(3歳)に手伝ってもらう。「太るからあげちゃダメ!」と釘を刺されたので、夫人の視界の影でこっそりと…

でも興奮したステラ嬢の咀嚼音がすごくて、毎度ハラハラした。

完食(?)して「おいしかった、ご馳走さま!」と言い続けたら、夫人も満足顔。そのうち、別皿でサラダが付くようになった。

滞在終盤、珍しくハリス夫人が朝から圧力鍋を持ち出して、何か煮込んでいる。そして午後6時、サイコロ状に切った肉と野菜が山盛りの「英国風シチュー」が満を持して登場。いつものように茶色一色だが、今度こそ手作りだ。

期待に胸を膨らませて、最初のひと口。

ん…? 

やっぱり冷凍食品の方がいいかも。

ふと足元を見ると、お嬢が万全の態勢で待機している。

今夜もステラ嬢の全面協力を得て、「ぜんぶ食べました、ご馳走さま!」

St Pancras International, London


2024年2月10日

真っ赤な聞き間違い

 

ロンドンでのホームステイ生活、2日目の朝。
2階の寝室からリビングに下りると、半裸の男がソファに転がっている。

ハリス夫人の夫、マイケルだ。昨夜どこかに出かけたと思ったら、朝帰りしたらしい。水のボトル片手に「飲み過ぎた、頭いてぇ」と唸っている。

お腹も背中もタトゥーだらけ!

 

2週間のパリ滞在を終え、ユーロスターでドーバー海峡を潜ってロンドンへ。ロンドン滞在では、留学エージェントにホームステイの手配をお願いした。

受け入れてくれたのは、ハリス夫人一家。夫のマイケル、愛犬ステラ嬢(3歳)と共に暮らしている。去年、還暦の記念にハワイへ行ったという。

ロンドン中心部から地下鉄で30分ほど走った郊外に、ハリス家はある。日本式に玄関で靴を脱ぐ決まりで、1階がダイニングキッチン、2階にトイレとシャワールームに寝室が3つという間取りだ。

金髪を頭の上でダンゴにしたハリス夫人は、地域のケアホームで司祭をしているという。「司祭」という言葉が聞き取れず、メモ帳に書いてもらった。

PRIETS

ん? もしかして「PRIEST」では? ハリス夫人、スペル間違えてますよ。

滞在中は朝夕二食付なので食事時間を聞くと、

「特に決まった時間はないのよ。あなたが食べたい時にチンして食べてね」

言われてみれば、リビングルームには食卓がない。あるのはL字型のソファと壁の液晶テレビだけ。食事は各自、キッチンカウンターで済ませるらしい。

みんなで夕食を囲む時間が英会話のチャンスだっただけに、ちょっと期待外れ。残念だが、正直ホッとした面もあり…

恐れていたイギリス英語だが、ハリス夫人は今まで何人もの日本人学生を受け入れて来ただけあり、わかりやすく話してくれる。でも夫婦の会話を横で聞いていると、ほとんど理解できない。

酒飲み夫マイケルは特に、ろれつが回らないくせに早口なので、

「…ファッキン…ファッキン…ファッキン…」

5秒間に3回ぐらい挟まる「ファッキン」以外、まったく聞き取り不能。彼とのコミュニケーションは困難を極めた。

ちなみにドレッドヘアの彼は、ハリス夫人より10歳は若そう。

さらに滞在3日目、ハリス夫人が実は司祭ではなく「引退した司祭11人が共同生活を送るケアホームのヘルパー兼清掃係」だったことが判明した。

司祭のダンナが朝帰りの酔っ払いだなんて、おかしいとは思ってたんですが…

真っ赤な聞き間違い。

英語習得への道のりは、果てしなく遠い…



2024年2月2日

パリの混沌

 

「クルマも来ないのに赤信号で立ち止まってるバカな奴」

パリの交差点で歩行者用信号が青になるのを待っていると、そういう視線を浴びる…気がする。

まずたいていの人が、信号を無視する。近づいてくる車のスピードを目で測りながら、その鼻先をすり抜けて道を渡っていく。

フランスの小学校は必ず親が付き添って登下校するのだが、ママやパパたちも、わが子の手をしっかり握って、果敢に信号無視だ。

実は自分も密かに「クルマも来ないのに赤信号で待つのは人生の浪費」と思うクチだ。パリでは道の向こうに無垢な子どもがいても、率先して信号無視して大人の矜持、大人の流儀、大人の規範を見せる。とても居心地がいい。

ただ、くせ者は自転車だ。いつの間にかパリ中の大通りに自転車専用レーンが整備され、電動アシスト付自転車も普及した。クルマだけ見て道を渡ろうとすると、反対方向から電動自転車が、時速40キロで音もなく近づいてくる。

あんなのに轢かれたら、死なないまでも、大けが必至だ。

 

10代から50代のパリジャン&パリジェンヌは、たいてい耳にワイヤレスイヤホンをつけている。日本みたいに大人しく音楽を聴いている人は少なく、ポケットのスマホ経由で、どこかの誰かと賑やかに通話しながら道を歩く。

傍から見ていると、歩行者がみんな大声でひとり言を言っているよう。さらに身振り手振りが加わるから、まるでそこら中で一人芝居をやっているみたい。

やがてそういう風景に慣れても、時々、意味不明の言葉を大声で繰り返しながら行ったり来たりする男性や、あり得ないほどのテンションで笑い続ける女性を見かけたりする。

薬物中毒かも… 精神障害かも…

できるだけ目を合わせない方がいいだろうなと、つい伏し目がちになる。

 

そしてパリは、ホームレスの人が多い。

セーヌ川にかかる橋の下にはテント村ができているし、道を歩いていても普通に見かける。

そして彼らも、一般パリ市民に負けず劣らず自己主張が強い。

冷たい雨の中、近くの軒先に入ろうともせず、全身ずぶ濡れになりながら人通りの多いカフェの入り口に陣取るのは…なぜ?

片側2車線の大通りのど真ん中で、騒音と排ガスにまみれながら中央分離帯に寝袋を敷いて寝るのは…なぜ?

どんな境遇でも、人とは違う自分でありたいのだろうか。

東京が予定調和の街だとしたら、パリは不協和音に満ちている。



自然学校で

  このところ、勤務先の自然学校に連日、首都圏の小中学校がやってくる。 先日、ある北関東の私立中の先生から「ウチの生徒、新 NISA の話になると目の色が変わります。実際に株式投資を始めた子もいますよ」という話を聞いた。 中学生から株式投資! 未成年でも証券口座を開けるん...