2024年9月20日

フラストレーション攻撃仮説

子どもの心の中って、いったいどうなってるんだろう?

8月のある日、サマーキャンプに来た東京の小学生と森遊びをしていた。

ここ自然学校の森には、木と木の間に張り巡らした長さ20mほどのロープブリッジがある。ゆらゆら揺れる、スリル満点の綱渡りだ。

子ども10数人が2チームに分かれて、両端からよーいドンでスタート。行き会った所でジャンケンして、負けた方はロープを降り、自陣に戻る。勝った方はそのままロープ上を進んで、2番目の相手とジャンケンする。

そうやってジャンケンを繰り返して、先に相手の陣地に到達した方が勝ちだ。

揺れるロープ上でバランスを崩し、戦う前に落ちてしまう子もいたりして、毎回かなり盛り上がる。

 森に歓声が響く中、女の子がひとり、ゲームに加わろうとしない。こちらに背を向け、しゃがんで泣いている。名前も知らない他の班の子だ。

何度か、「一緒に遊ぼうよ!楽しいよ~」と声を掛けた。

しばらくゲームの審判をしていると、その子が近づいてきた。

いきなり、殴られた。蹴られた。

頭突きまで食らった。

まぁそこは小学生、痛くも痒くもないゾと言いたいところだが…力いっぱい繰り出してくるパンチやキックは、かなり痛い。

…彼女の小さな体の中には、家庭や学校でのストレスがマグマのように溜まっていて…それをうまく言葉にできなくて、体で表現してるのかな。

そんなことを考えながら、人間サンドバッグになっていた。

 帰宅して心理学の概論書を読むと、このような子どもの攻撃行動には、次のような可能性が考えられるという。

   攻撃することが報酬獲得のオペラント行動として強化される(学習理論)

   他者が攻撃によって報酬を獲得する様子を観察した結果、代理強化による観察学習が成立している(これも学習理論)

   欲求不満が怒りを喚起し、攻撃行動を起こすフラストレーション攻撃仮説(家庭で親に構ってもらえない、学校で友だちからいじめられるなどの欲求不満を経験する一方、フラストレーション耐性を十分に獲得していないから、私に八つ当たりした)

   報復・制裁・挑発・防衛など、他者との関係において攻撃を利用(私の気を引くために、わざと怒らせようとした)

   死の本能(タナトス)の投影による外的対象への攻撃(親との対象関係が未熟で、死の本能による自己破壊の衝動があり、それを私に投影した)

いま考えても、やっぱりあれは③だったんだろう、と思う。

それにしても臨床心理士って、ずいぶん理屈っぽいこと考えてるんだなぁ。 



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  ほんの出来心で、いま心理系大学院を目指している。でも受験勉強にも飽きて、町に出て本を 10 冊、衝動買いした。 「流出する日本人」「世界は経営でできている」「日ソ戦争」「愛着障害と複雑系 PTSD 」…ノンフィクション系が多いが、ジャンルはバラバラだ。 こんな乱読じゃイカ...