2021年5月22日

新聞社は、発達障害の集まり

 

「大人の発達障害」に関する記事を読んでいて、思わず笑ってしまった。 

その記事によると、発達障害の人は不得意なことがある一方で、「人より得意なこと」「優れた能力」が突出するのだそうだ。そしてその一例として、

「Aさんは会社のデスク周りの片づけはまったくできず荒れ放題だが、文章の構成力、執筆の表現力においては大変優れている」と。

そのまんま、新聞社文化部の奥のほうや、編集委員室の風景じゃないか!

 あの人たち発達障害だったのか。

 特派員電を書きまくる敏腕記者が、実は経費精算が苦手で、海外出張の旅費を1年もため込んでブラックリストに載っていた。

 もしかして、あの人も発達障害…?

 記事(日経ビジネス電子版)に登場する精神科医・五十嵐良雄氏によると、

・発達障害は病気ではなく、生まれながらの脳機能の障害。遺伝や体質など、いろいろな要因が重なりあって起きる。人口の1割が発達障害

・その人の人格的な問題としてとらえられがちだが、全くそうではない。発達障害的な要素は程度の差があるだけで、誰もが多かれ少なかれ持っている

・うつ症状で休職を繰り返す会社員の、本当の原因は発達障害だったケースも

・自分の得意な分野で、ひとりコツコツ仕事をして成果を上げてきた発達障害の社員が、歳を重ねてチームのリーダーなどになった場合、苦手な「周囲とのコミュニケーション」の場面に直面し、ストレスでうつになる

 

 ずっと新聞社の報道カメラマンをやってきて、40代でデスクになったとたんに抗不安剤が手放せなくなった私も、もしかしたら発達障害…

 新聞社は、「大人の発達障害」の巣窟かもしれない。

 

 記事によれば、

・発達障害やその傾向を持つ人は、医師や弁護士に多い。著名人では、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどグローバル企業の創業者。歴史上の人物では、アインシュタインやモーツァルトなど

 

 発達障害にはネガティブなイメージもあるが、こうした人たちと並び称されるのは、ちょっとうれしいかも。



2021年5月15日

恋愛小説、イッキ読み

 

 冬から春にかけて、わりと最近の、女性作家の本ばかり読んでいた。

 好みで大ざっぱに分けると、

 山本文緒、唯川恵、吉本ばなな、島本理生…好き

 小川糸、町田そのこ…大好き!

 林真理子、村山由佳…個人的にいまいち

 恋愛をテーマにした作品が多かったが、ある作家の本には、幼少時に受けた性暴力のために、大人になってから異性関係に苦しむ主人公がよく出てきた。

 小説を書く人の創造力、想像力は本当にすごいものがあるが、ここまでリアルな心理描写は…きっと作家本人にそういう辛い体験があるのだろう。

 また複数の作家の作品で、やたら深夜のバーが出てきて、会って間もない男女が酒を飲み、すぐ一線を越えてしまう。

 下戸としてはうらやましい展開だが、いくら何でも安直すぎる。作家たちの怠慢では?と思って、酒が飲める知り合いに聞いてみた。

そうしたら、彼(彼女)にも、実際にそういう経験があったとのこと。

そして、酔った勢いで…の後は、とても後悔したそうだ。

 

経済メディアが「恋愛停止国家」という特集を組んだ。人と人との接触が制限されるコロナ禍の中、社会全体で恋愛活動が停滞しつつある、という(以下、日経ビジネス電子版より)。

・男女の「2大出会いの場」である職場と学校が、コロナ禍でオンライン化され、恋愛が生まれるチャンスが一気に減った。リモートワーク、飲み会の自粛、教室でのソーシャル・ディスタンスの徹底、部活のZoom化

・感染のリスクを恐れて、マッチングアプリでも実際に会うところまで発展しない

・出会いの場がないだけでなく、コロナ禍の非接触で、それまでカップルだった人たちも続々と別れている

・恋愛すると消費マインドが高まる、おしゃれ着中心のアパレルなどは不振。理美容業の倒産件数は過去最多を記録

・「恋愛ソング市場」にも影響

1991年邦楽ヒット曲ランキングTOP10のほとんどは甘いラブソングだった…「ラブ・ストーリーは突然に」「はじまりはいつも雨」「SAY YES」など

2020年のTOP10のうち3曲は失恋の歌…「香水」「猫」「ドライフラワー」

 

 そして、もし「恋愛を始める人」が本当に減っているとしたら、関連産業の不振だけでは済まない「巨大な災い」が、日本経済に降りかかるという。

 それは、少子化の急加速。

 恋愛はとても私的な行為なのに、なんか話が大ごとになってきたなぁ。



2021年5月7日

5月の雪

 

 蓼科は、朝の気温0度。

連休の森には、「親子キャンプ」というプログラムに参加する家族連れが来ている。冷たい雨のぱらつく中でテント張りを手伝い、夜はタープの下でバーベキューの準備をした。

 雷鳴がとどろく。

「テントに泊まるの、初めてなんです」と、不安そうなお母さん。子どもたちは、雨と冷たい風、雷という悪条件にテンション上がりまくり。

歓声を上げて駆け回っている。

 一緒に働く上司のまりさんは、「火起こしに着火剤は使わない主義」。新聞紙や小枝を巧みに使って、湿った薪に火をつけていく。

コロナ前のサマーキャンプでは、私の火おこしが未熟なばかりに、子どもたちにひもじい思いをさせた。他の班から肉の焼ける香ばしい匂いが漂って来るなか、皿を抱えてじっと私の手元を見つめる目、目、目…

まりさんの魔法を見ていたら、あの時の悪夢がよみがえった。

コロナ明けの夏こそ、子どもたちから尊敬のまなざしを浴びるぞ!

ポケットに着火剤を忍ばせて…

 

夜は氷点下。寝袋に加えて、ひとり2枚ずつ毛布を配る。

 

翌日。さらに寒い。

タープが風に飛ばされて、めちゃくちゃに壊れているのを発見する。

そして夕方、まさかの吹雪。

この日も親子キャンプの参加者がいたが、子どもはテントに入ったきり、バーベキューになっても出て来ない。

暗くなり、懐中電灯で野生動物を探す「ナイトウォーク」に出た。森の中は、一面の銀世界。遠くでシカの目が光る。

8時まで残業してから、凍った山道を恐る恐る運転して帰る。よりにもよって、夏タイヤに交換したばかり…

まりさんいわく、「この森はゴールデンウィークが明けるまでは冬」。


 早く言って欲しかった…

 

週明け、冬季通行止めが解除されたビーナスラインで松本に下りた。道中、北アルプスの連山が、新雪で真っ白になっている。

松本市内は夏日。サクラ並木の若葉がまぶしい。

駅前のスタバで外を眺めていたら、女の子が半袖、へそ出しで歩いていた。

 

クルマで1時間半、標高差1200メートル走ったら、まるで別世界。

ニッポンは、ヨコには狭いが、タテに広かった。



2021年4月30日

自動車社会は、酔っぱらえない

 森の中にある自宅から、さらに森の奥にある職場へ。

 山道をクルマで4キロ、所要時間は8分ほどだ。

とても恵まれた通勤環境だが、森の管理という仕事なので、さすがに在宅ワークはできない。

スーパーへ食料を買いに行くときは、同じ道を反対方向に13キロほど下っていく。

 東京を離れてから、クルマが必需品、というより生命線になった。


 国全体を見渡しても、日本人は車離れしていないという。

 日経ビジネス電子版で読んだ、柳瀬博一・東京工業大学教授と、ファンドマネージャー・藤野英人氏の対談が面白かったので、一部を紹介します。

 

・メディアは「若者の自動車離れ」を伝えるが、実際の日本の自動車保有台数は、これまでずっと右肩上がり

・1世帯当たり自家用車保有台数がもっとも少ないのは東京。自動車離れは、東京の人が抱くイメージ。都心で働く政治家、官僚、企業トップ、マスメディアの人たちは、かなり偏った世界で暮らしている

・鉄道が充実した大都市圏に住む人は4000万人。残り8000万人の日本人は、自動車があったほうが便利、あるいは、ないと不便な世界で暮らしている

・新型コロナウイルスの感染拡大で、インターネットで大半の仕事ができる人が都心部から郊外に移住し、「新モータリゼーション」が起きている

・Facebookのグループ「ゲコノミスト(お酒を飲まない生き方を楽しむ会)」では、最近になって飲まなくなった人、つまり「飲めるけど飲まない人」が増えている

・「飲まない」という選択肢を取るのは、若者とリタイア世代、高齢者。若者が酒を飲まない理由は、タテ社会が嫌いだから。そして郊外に引っ越して車に乗る機会が増え、飲む機会が減った人たち

・鉄道を使う従来の通勤の仕組みと飲酒カルチャー、そして上下関係は相性がいい。飲むという行為は、電車文化だから成立する。自動車社会は、酔っぱらえない

・藤野が経営する会社で社員の在宅ワークを強化したら、有給休暇の消化率が下がってしまった。通勤でムダな体力を消耗しなくなり、病気になる人が減ったのも一因 


Seikoji, Tateshina Japan, April 2021


2021年4月23日

裏ノ森ニ居リマス


 この春、本州中部・某市の臨時職員になった。

ずっと民間で働いてきて、初めての公僕。

 いまや日本の公務員の4割が、私のような非正規職員らしい。

 

 覚悟はしていたが、本当に驚くことばかり。

 いちばん驚いたのは、直属の上司(女性)のランチだ。

毎回判で押したように、持参のレトルトカレー。

 ただ一度の例外もない。

 

 次に驚いたのが、働き方にマニュアルがないこと。

 「あなたの好きなようにやればいいんですよ」

先輩がいう。

そして初出勤から3日目には、週末のひとり勤務を任された。

 

週休4日。

上司もおおらかだ。

ある日の午後、在宅勤務中の上司から電話がかかってきた。

 「今日は雨で人が来ないから、〇〇めに△△っていいですよ~」

 壁の時計を見上げると、まだ2時すぎ…

 

勤務時間中の外出も、ほぼ自由。

 といっても、職場の半径10キロ内にコンビニはおろか、信号さえない。

 見渡す限り、カラマツやシラカバ、トウヒの森が続いている。

 だからここでの「外出」は、自動的に遊歩道の整備を意味する。

 

 よく晴れた日、登山靴を履き、地図を片手に歩きだす。

 道標を点検しながら、くまなく森を巡回すると、丸1日かかる。

 小屋を留守にする前に、ホワイトボードを玄関にぶら下げる。

 「裏ノ森ニ居リマス」

 

 まるで、宮沢賢治の世界。

世の中、いろんな仕事があるもんだ。


Matsumoto Japan, Spring 2021


2021年4月16日

コロナ禍は、キャリアの踊り場

 

   ほぼ毎朝、オンラインで受けている英会話の授業。

 最近は、講師リストに新任の先生がたくさん入ってくる。

 コロナ禍の中で自らを見つめ直し、英語講師をキャリアの踊り場にして、次のステージに飛び立とうとしている人たちだ。

 

 以下、初対面の先生たちとの会話から。

「子どもの頃から生きものが大好きで、傷ついた動物たちを治してあげたくて獣医学部に進んだんだ。でも、最初の就職先が養鶏場。いずれ食肉になるニワトリ相手に10年働いたけど、違う世界が見たくなって去年辞めたよ。きょうだいが教師をしているので、自分も英語講師になってみた。この仕事も好きだけど、これから必要な研修を受けて、今度こそ身近な動物たちの病気やケガを治したい」(ベン先生・34歳男性)

「農学者として、農家を回って土壌改善の指導をしていましたが、うつ病で退職しました。今年結婚して、コロナが怖いのでステイホームで家事ばかりしていたら、病気が悪化。主治医を変えても改善しませんでした。でも英会話講師を始めたら、とたんに夜眠れるようになった。医者も驚いていましたよ。人との会話が、私の心にいい影響を与えてくれています」(メイアン先生・29歳女性)

「ずっとミニコミ誌のライターをしてたんだけど、本当はForensic Chemist (法化学者・犯罪化学者)になりたかったんだ。すでに必要な学位を取って、今は英語講師をしながら職の空きを待っているところ。遺体に接するのは大丈夫かって? まだ経験がないから何とも言えないけど…。私がこの仕事を志したのは、正義のため。この国は、真犯人を特定するための科学的な捜査法がとても遅れているよ」(ダル先生・33歳女性)

「ホテルで13年働き、最近までエグゼクティブフロアのマネージャーでした。4年前、すぐ近くの別のホテルで乱射事件があり、30人以上が殺されました。そこはカジノホテルで、犯人は賭けに負けた客。カジノホテルはアブナイ人が多い。本当に怖かったです。このコロナ禍では、私のホテルが無症状患者の収容先に。自分が感染して3歳の我が子に移すのが怖くて、仕事を辞めました。でもコロナが収まったら、やっぱり今までの経験を生かせるホテル業界に戻りたい」(レヴィ先生・30代女性)

※先生は全員、フィリピンに暮らすフィリピン人です

Matsumoto, Japan






2021年4月9日

大なべ vs レトルト、カレー対決

 

 数年前、レトルトカレーの市場規模が、初めてカレールーを上回った。

 家庭の食卓を20年にわたって調査している岩村暢子・大正大学客員教授によると、最近は家族全員が揃った食卓でも、それぞれが好きなレトルトカレーを食べるらしい。

 食卓の風景から、家族や家庭が持つ重要性がどんどん小さくなっているのがわかるという(岩村教授のインタビュー記事・3月28日付読売新聞より)。

・子どもが中学生になると、もう家族一緒に食事できなくなる。朝・放課後・土日に部活の練習があるから。高校生は塾、大学生はバイトがある

・サービス業などで交代制勤務に就く人が増え、親も食卓を囲めない

・個を尊重する教育を受けて育った人が増えた結果、食べ物の好き嫌いも個性として、無理強いしなくなった。そして食べるものだけでなく、食べる時間も自由でいいと考える

・栄養学や医学の知見も、同じものを同じ時間に食べることを否定する方向にある。健康や運動能力向上のためには、個人に合わせた食が必要

・コロナ禍の外出自粛生活では、家族が長く一緒にいる窮屈さ、不自由さを感じた人が多い。自分の時間が浸食されているという感覚がある

・大事なことは家の中で直接話さず、メールやLINEを使う。波風を立てず、仲良く暮らす

 そして食はこれから、個々の特性に合わせた「最適食」の方向へ、科学的にますます進化していくという。

 

 ひとり暮らしを始めた私を気遣ってくれる友だちが、毎日の食事を写真に撮ってLINEで送れ、という。

 インスタントやレトルトの写真を送るのは恥ずかしいので、たとえ簡単な料理でも自分で作ろう、というモチベーションになっている。

 その友だちは4人家族。先日は、大きな鍋においしそうなカレーが煮えている写真が送られて来た。

 

 最近のレトルトカレーは、タイのマッサマンカレーやプーパッポンカレー、ネパールのダルバート、南インド風などバラエティ豊かで、味も本格的だ。

 それでも、所詮はレトルト。家族の誰かが大なべで作って、みんなで食べるカレーの味には、はるかに及ばないと思うのだが…



受話器の向こう側2

  いよいよ、恐怖の「電話相談実習」が始まった。 「実習」とは名ばかりで、「日常の悩み、心の健康に関する相談を受け付けます」とインターネットに公開されている電話番号の、受け手になるのだ。 いきなりの、ガチ本番。 クラスメート3人でひとつの固定電話を囲み、順に応対した。受話...