この春、本州中部・某市の臨時職員になった。
ずっと民間で働いてきて、初めての公僕。
いまや日本の公務員の4割が、私のような非正規職員らしい。
覚悟はしていたが、本当に驚くことばかり。
いちばん驚いたのは、直属の上司(女性)のランチだ。
毎回判で押したように、持参のレトルトカレー。
ただ一度の例外もない。
次に驚いたのが、働き方にマニュアルがないこと。
「あなたの好きなようにやればいいんですよ」
先輩がいう。
そして初出勤から3日目には、週末のひとり勤務を任された。
週休4日。
上司もおおらかだ。
ある日の午後、在宅勤務中の上司から電話がかかってきた。
「今日は雨で人が来ないから、〇〇めに△△っていいですよ~」
壁の時計を見上げると、まだ2時すぎ…
勤務時間中の外出も、ほぼ自由。
といっても、職場の半径10キロ内にコンビニはおろか、信号さえない。
見渡す限り、カラマツやシラカバ、トウヒの森が続いている。
だからここでの「外出」は、自動的に遊歩道の整備を意味する。
よく晴れた日、登山靴を履き、地図を片手に歩きだす。
道標を点検しながら、くまなく森を巡回すると、丸1日かかる。
小屋を留守にする前に、ホワイトボードを玄関にぶら下げる。
「裏ノ森ニ居リマス」
まるで、宮沢賢治の世界。
世の中、いろんな仕事があるもんだ。
Matsumoto Japan, Spring 2021 |
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