2026年10月16日

「子どもの頃、私は~」

 

「臨床心理査定特論」で、SCT(文章完成法)という心理検査を受けた。

検査用紙に「子どもの頃、私は~」「私はよく人から~」「家の暮らし~」といった冒頭の文章だけが書かれていて、続きを自分で埋めていく。

全部で60問あり、30問に答えただけで四苦八苦、疲労困憊してしまった。

他のクラスメートは、苦もなくスラスラ書いている。私は「回答するのにひどく時間がかかる男」として、ひとつの査定材料にされてしまうのだろう。

終了後、クラスメートの回答を回し読み。毎日顔を合わせている彼女らの、いかにもその人らしい答えもあれば、意外な一面も垣間見られて、面白かった。

長年SCTの検査者をしてきた先生によると、「NTTや電通、博報堂の社員は上から目線」「メガバンクの行員はタテマエしか書かない」「わが校の学生は素直で感情的」「某国立大生は真面目で小難しく答える」そうだ。

 

神奈川県鎌倉市に本社を置き、ゲームアプリや広告などのコンテンツを発信する「カヤック」のCEO、柳澤大輔氏。彼の考え方には、自分が目指すところと重なるところが多かった。日経ビジネス電子版から一部を紹介します。

・経営者として、まず聞くようにすることを心がけてきた。自分が目指している世界の、少し先を行っている人に話を聞く

・「学生時代にどんなことをやったらいいですか」と、学生からよく質問される一方で、30代、40代から聞かれることは、まずない。そもそもその世代は「何をやったらいいですか」という問いを持っている人のほうが少ない

・でもよくよく考えたら、40代は50代の先輩に「40代で何をやったらいいですか」と聞いたほうがいいし、50代は60代に聞いたほうがいい。みんな自分だけ違う人生を生きたいと思っていても、だいたい先人と似たような課題に直面するから

・先人の知恵に学ぶ姿勢は、年を取るとともになくなっていくが、自分はなくならないよう意識している。本をたくさん読むようになったのも30代から

・自分が20代、30代で何をやってきたか。「人生を面白く味わい尽くすためにあらゆるチャレンジをして、半年に1回ぐらいは、何か新しいネタを話せる人でいよう」と思ってきた。それは今も一緒

・一方で、しつこく継続してやり続けることも増やしていく。創業以来20年以上、社長日記を書き続けている。結局は、地道な積み重ねがものを言う

・人生ですごく大きな変化というのは、5年、10年に1回ぐらい。でも、ちょっとした変化は毎年ある。過去とは全く違う見方で世界が見えたときに、面白い体験が起きる

・20代、30代でビジネスの最先端にいると、資本主義の競争原理の中で、人と比べられながら仕事をする。でも自己肯定感は、人より優れているという理由で生み出されるものではない。普通に生きているだけで幸せだという、単純なところから生まれる

Fort Kochi, South India 2026


2026年10月9日

受話器の向こう側~2

 

いよいよ、恐怖の「電話相談実習」が始まった。

「実習」とは名ばかりで、「日常の悩み、心の健康に関する相談を受け付けます」とインターネットに公開されている電話番号の、受け手になるのだ。

いきなりの、ガチ本番。

クラスメート3人でひとつの固定電話を囲み、順に応対した。受話器を置いてもすぐ次のコールが鳴り、休む暇もない。

私を含めて、「そもそも電話で話すこと自体が苦手」という3人。中には深刻な内容の電話もあって、早くもこちら側のメンタルが危機的状況に。

「あなたも電話相談に掛けてみればいいのよ~ プロから応対の基本を学べるわよ~」と、指導教員は言う。

いや冗談抜きで、こっちが心の悩みを相談したい気分。

電話相談を利用する全国の皆さん。

もし心細げな初心者相談員に当たってしまったら、本当にゴメンナサイ!

 

言葉を武器に仕事をする、コピーライターの梅田悟司さんと経営コンサルタントの安達裕哉さん。2人の対談に心理職の仕事にも通じるものがあったので、一部を紹介します(日経ビジネス電子版より)。

・結局、何が相手に刺さるのか。それは相手のことを思い、相手のために使った時間。人は「努力の跡」や「かけたコスト」を見ている

・生成AI(人工知能)の出力をそのまま出した企画書への不信感は、裏を返せば「こちらのために考えた跡が見えないよね」に帰着する

・コピーをつくるときは、まず相手に話してもらう。途中で間が空いても、すぐには埋めない。すると、相手がまた話し始める。同じ話が繰り返されるところまで聞いて、何を大事にしているのかを探っていく

・本音をちゃんと伝えようとすると、付き合える相手が限られてくる。「この人に時間をかけよう」、逆に「この人にはかけない」。これを決めざるを得ない

・平等に接するのは正しいけれど、現実には、誰にどこまで時間をかけるかを平等にはできない。本音を伝えるのは、それくらい時間がかかる

・「本音」とは、「やさしさを配る」こと。やさしさを配るとは、相手のために時間を使うこと。でも配りすぎると、自分のやさしさが枯渇してしまう。10人は無理で、結果的に5、6人にしか配れていない

・最近使うようにしている言葉は「最近、仕事どう?」ではなく、「最近、人生どう?」。その質問自体が、「あなたに興味があります」と伝えている

・別に壮大な物語を語るわけではない。「最近、面白いことある?」からでいい。「旅行に行った」でもいい。そこから時間をかけると、「本当はこういうことがやりたいんですよね」という話が出てくる。それは仕事の話というより、「生きざま」であり「人生」の話

Alleppey, South India 2026


2026年10月2日

共感するAI

 

大学院の同級生M子さんが、AIカウンセリングを研究している。

先行研究では、人間のカウンセラーに比べてAIカウンセラーの方がより「共感」してくれるという、驚くべき結果が出ているらしい。

心理職を目指す、ぼくらの立場ないじゃん!

そういう自分も、ふと気がつけば、AIに相談していたりする。

誰にも知られずに恥ずかしい相談ができるし、何しろタダだし!

 

AIが得意とする分野がある一方で、人間にしか担えない役割とは何か。経営学者の楠木建氏と独立研究者の山口周氏が語り合っている。

どうやらAIは、結婚相手選びはあまり得意じゃなさそう。

日経ビジネス電子版から、一部を紹介します。

・スピーチの内容やブログのドラフトなどを生成AIに作らせると、構成の提案、文章の草稿、表現の改善、図表の生成などは得意

・ただ、「分析」はある程度できるが「統合」は苦手。「分析」と「統合」は、英語では「分析=アナリシス」と「統合=シンセシス」で「対の関係」

・つまり、頭の使い方としては真逆。「新聞で読んだこと」「会食で聞いた話」「街を歩いて気づいたこと」という3つの異なる情報を統合して、そこから言えそうなことを考える、というのはまだまだ苦手……というより、そもそもできない。本質的な問題の創出には、人間の価値観や直観が不可欠

・『婚活したらすごかった』(石神賢介著/新潮新書)という本を読むと、マッチングや婚活パーティーといった人工的に設計されたシステムには、極端なメリットとデメリットが併存していることがよく分かる

・偶然の出会いと比べて知り合う相手が飛躍的に増える一方で、「相性」という全人格的にして極端に総合的な問題を、年齢や趣味や容姿や収入や住所などの要素に分解してしまう

・そうすると、相手が不動産のような「物件」にしか見えなくなってくる。ここにマッチングシステムに不可避の問題がある

・婚活サイトにプロフィールを提出する→各人のプロフィールに異性からの申し込み状況が示される→自分の価値が定量化された気になる

・相手によって好みがまちまちだというのが、そもそも「マッチング」の本質。1次元上で測定できる「優劣」などないのだが、年収や容姿ばかりが前面に出て、他が捨象されてしまう

・情報量が多いほど、実は情報が伝わらないというパラドックス

・結婚は、現実生活の現実的意思決定。現実的であることは悪くないし、むしろ現実的であるべきだが、問題は現実的になりすぎるところ

・この辺りは、民主主義が機能しすぎるとポピュリズムになるという成り行きと近似している

Fort Kochi, South India 2026



「子どもの頃、私は~」

  「臨床心理査定特論」で、 SCT (文章完成法)という心理検査を受けた。 検査用紙に「子どもの頃、私は~」「私はよく人から~」「家の暮らし~」といった冒頭の文章だけが書かれていて、続きを自分で埋めていく。 全部で60 問あり、 30 問に答えただけで四苦八苦、疲労困憊...