また飛行機事故だ。
副操縦士がコクピットから機長を締め出し、150人が乗った旅客機をアルプス山中に激突させたという。
昨年のマレーシア航空機事故では、北京行きの便が突然、夜中に進路を南に変え、オーストラリア沖で消息を絶った。
操縦室の中で、いったい何があったのだろう。
airlineratings.com というオーストラリアのサイトが、世界の航空会社449社の安全性をランキングしている。上位にはキャセイ航空やエミレーツ、カンタスといった、ちまたでも評価の高いエアラインが並ぶ。
「世界でもっとも危険なエアライン」も公表されている。ワースト5はアフガニスタンのカムエア、インドネシアのライオンエア、ネパール航空・・・なんと3社まで、前に乗ったことがあった。ほかにもインドネシアのシュリーヴィジャヤ航空やブータンのドゥルックエアなど、私が乗った航空会社が「ワースト」ランキングに名を連ねている。
ことさらスリルを楽しんでいる訳ではない。仕事の時は、ほかに選択肢がなかった。
バンコク駐在時代、何度もアフガニスタンに出張した。当時はUAEのドバイから国連機、アフガニスタン国営アリアナ航空、同民営カムエアが飛んでいた。
国連機は、国連職員御用達だからと安心して乗ると、実際はトルコやヨルダンの民間機を乗員ごとリースしていることが多かった。週2便しかない上に、切符はアリアナ航空やカムエアの2倍以上した。
日程の都合で、毎日飛んでいる他の2社も使わざるを得ない。アリアナ航空はドイツの空港でオーバーラン事故を起こし、以後EU上空出入り禁止の問題児。カムエアも少し前、カブール近郊に墜落していたが、気にしてはいられなかった。
何度も通っているネパールも、ほんとうに事故が多い。
3年前、秘境ムスタンに行く途中にポカラ~ジョムソン間を飛んだ。ヒマラヤの高峰に囲まれた狭い谷を、山肌すれすれに飛ぶ路線だ。怖いなと思っていたら案の定、数週間後に同じ便が谷に墜落した。
この地域の交通手段は飛行機しかない。何日も歩くのは大変なので、選択の余地なく、帰りも同じ便で帰った。
国内でも異質な事故は起きている。82年の日航機羽田沖墜落事故の際、「逆噴射」「心身症」「機長、何するんですか!」という言葉が流行ったのを思い出す。
それでも飛行機に乗って、どこか自分が知らない街に行くのは、面白くてやめられない。「危険な航空会社ランキング」上位に名を連ねるカンボジア・アンコールエアやラオス航空など、今年もすでに10回飛行機に乗った。
もし変なパイロットに当たってしまったら? その時が私の寿命だ。
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