大相撲春場所も千秋楽。横綱白鵬が独走で優勝を決めるかと思ったら、新星・照ノ富士が立ちはだかり、意外に面白い場所になった。
相撲ファンでもないのに結果が気になる。2年間、専属カメラマン同然だったからか。昨年まで、両国国技館で開かれる3場所のほか、名古屋・大阪・九州場所にも出張していた。
業務として関わってはいたが、最後まで相撲を好きになれなかった。それでも毎場所通ううちに、不本意ながら、後ろ姿で力士が誰だかわかるようになった。
取材ではカメラマン2~3人でチームを組み、土俵直下の砂かぶりと2階席に分かれて撮影する。砂かぶりは、至近距離で取り組みを見ることができ、迫力満点。その代わり、たまに体重200キロが転がり落ちてくるので、危険と背中合わせだ。けがをしたカメラマンもいる。
大関琴奨菊のお尻を間近に見てしまうのも、あまりうれしいものではない。痰ツボの近くに座っていたときには、的を外れた勢関の痰をかぶった。
一方の2階席は、はるか眼下の土俵を望遠レンズで狙う。場内は冬でも暖かく、つい緊張感が緩んで居眠りが出る。特に平日の九州場所は要注意。両国は時間いっぱいになると、観客の盛り上がりでふと我に返る。福岡は観客が少なく、気がつくと取り組みが始まっていることがあった。出合い頭の突き落としで、一瞬のうちに勝負がついてしまい、1枚も撮れなかったことがある。
大相撲取材で名古屋、大阪、福岡に行くときは、職場で「おいしい出張だな」と言われた。毎日、中入り後の取り組みが始まる午後までは自由時間だ。私は朝、もっぱら熱田神宮(名古屋)、中之島(大阪)、大濠公園(福岡)あたりをジョギングしていた。つい気分よく走りすぎて、仕事が始まるころには早くも睡魔との闘い。まったく本末転倒だ。
中入り後、番付が上の方になると、登場するのは外国人だらけになる。彼らは国籍を問わず、日本語が達者だ。プロ野球の外国人選手は、何年たってもヒーローインタビューを通訳付でやっている。もし、白鵬が優勝インタビューを通訳付でやったら、横綱審議委員会とやらがかみつくのだろう。
下っ端のうちは、大部屋生活で口に合わないちゃんこを食べ、先輩力士のお尻まで拭かされるという。日本人でも逃げ出す閉鎖的な環境で、彼らは大変な努力をしてきたと思う。
稀勢の里や遠藤が登場すると、日本人だからというだけで、場内に大きな声援が飛ぶ。外国人力士たちの「精進」ぶりを思えば、もっと公平に応援したほうがいい。朝青龍や白鵬に「横綱の品格」を問うなら、観客の品格も問われるべきだ。
私が好きな力士は北太樹。時間いっぱいなのに大きく伸びをし、眠そうなそぶり。闘争心をむき出しにする力士が多い中で、気合、やる気をまったく見せない。そこがいい。
ラオス北部で |
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