2015年3月26日

意外な展開


 週明けの市立病院は、とても混んでいた。

 正面入り口の車寄せに、送迎の車が二重三重に行列を作っている。警備員が必死に交通整理をしているが、高齢者や車いす利用者の乗り降りは時間がかかる。玄関までたどり着けず、90歳のおばあちゃんを車いすのまま福祉車両から路上に降ろし、今度は駐車場に入る行列に並ぶ。

 やっと病院に入ると、待合室もほぼ満員。たとえ診察が終わっても、会計でまた待たされ、3時間かかることもあるらしい。長丁場になるようだ。

 今週から、グループホームで入所者の通院付き添いなどをしている。あまり好きな言葉ではないが、いわゆるボランティア。報酬にこだわらずに、今までのキャリアとまったく違うことをしてみたかった。

最初、受け入れ先をネットで探したが、あまり出てこない。市の社会福祉協議会に電話すると、一度おいで下さいという。

協議会では、ボランティアコーディネーターが応対してくれた。聞くと、おもに60代以上の女性がボランティア登録しているが、パートや孫の世話で忙しく、なかなか時間が取れないという。私のような中年男がのこのこやって来るのは珍しいらしい。

ていねいに希望を聞いてくれるが、私もどんな職種?があるのかわかっていない。とにかく必要とされるところ、私でもお役に立てることがあれば、と伝える。

すると、認知症の高齢者を預かるグループホームを紹介された。「グループホームは面白いですよ~。もしお時間があったら、見に行きませんか~」。あれよあれよという間に見学に行くことになり、そのまま就職?が決まってしまった。

正直に言って、グループホームのどこが面白いのか、想像もつかない。以前は自分も介護関係で働いていた、というコーディネーターの口車に乗せられた。人と人をつなぐのが天職のような女性だった。

グループホームは、自宅から自転車で10分ほどのところにある。ホーム長は布袋寅泰そっくり。介護職に携わる前はバーで働いていた。茅ケ崎に住むサーファーだ。

面談で志望動機を聞かれ、私が「ヒマなので・・・」というと、「正直に言っていただくとこちらも助かります」。ちょっと正直すぎたか。

認知症の人とうまく会話できるか不安。通院などの外出に、スタッフと同行しながら、少しずつ見習っていくことになる。


 病院の待合室で1時間が過ぎた頃。突然スタッフが「あれ?このカード出さなくちゃいけないのかな?」と言い出す。何のことはない、まだ受付が済んでいなかった。いくら待っても順番が来ないはずだ。

つい先ほど「介護業界10数年のベテラン」と聞いた気がする。

 グループホームは面白いって、こういうこと?
ラオス・ナムオー川の夕暮れ

0 件のコメント:

コメントを投稿

肉食女子

わが母校は、伝統的に女子がキラキラ輝いて、男子が冴えない大学。 現在の山岳部も、 12 人の部員を束ねる主将は ナナコさんだ。 でも山岳部の場合、キャンパスを風を切って歩く「民放局アナ志望女子」たちとは、輝きっぷりが異なる。 今年大学を卒業して八ヶ岳の麓に就職したマソ...