2025年8月8日

100日間世界一周の真実

 

セブ島英語留学で知り合ったドクター・ミワコのダンナ(Eさん)が、勤めていた大企業を辞めて、船で世界を一周してきた。

これはぜひ話を聞かなくては! 

夫妻が暮らす和歌山まで行ってきた。

予備校の講義を終え、気温38度の名古屋から西へ。城下町・和歌山は海風が吹き抜けて、意外にも涼しい。ま、名古屋と比べての話ですが。

地元っぽい小料理屋の個室で3人、おいしい魚を頂きながら話を伺った。

Eさんが乗った客船は、定員1800人。3分の2が日本人客で、平均年齢76歳。日本を出港してから最初の寄港地までの間に、3人が亡くなったという。

「そういう死に方、本望かも知れませんねー」と、Eさん。

全財産を船室に持ち込んで、船を住処にして地球をグルグル回っている乗客もいるらしい。

命が尽きるまで海の上…?

寄港地は全部で17か所。今回の航海では南半球をぐるりと回って、南極の氷も見ることができた。

「ペンギンって、群れで水面を滑空するんです。水族館のペンギンとはぜんぜん違った!」

Eさんがピンチに見舞われたのは、マダガスカルで。日帰りのつもりで内陸のバオバブ林を見に行った帰り、港に戻る飛行機がまさかの欠航。予定外の1泊を強いられた。その間に、無情にも船は出港してしまった。

着の身着のまま、飛行機を乗り継いで船を追いかけ、なんとか1週間後に合流できたという。

南米の寄港地では他の日本人客が強盗に襲われ、金目の物をすべて奪われた。

貧しい国の強盗たちからすれば、お金持ちが豪華客船に乗ってやってくるのは、まるで鴨が葱を背負って来るようなものだろう。

世界一周100日間の船旅は、一見優雅なようで、実はいろいろあったみたい。

Eさんはいったん帰国した後、今度はモロッコに3週間滞在。魔窟のようなスーク(旧市街)でホームステイしながら、フランス語学校に通った。

そして先月は、娘さんと2人でスイス・アルプスへ。

まさに、糸の切れた凧だ。

その間、ドクター・ミワコは「私が稼ぐからいいわよー」とばかり、連続36時間勤務の夜勤を挟みながら、病院で働いたという。

Eさん、よっぽど今まで奥さんに徳を積んできんだなぁ。

「さすがに金がなくなった。いま妻に離縁されたらとっても困ります」

最近、Eさんは料理の腕を磨いて、夕食作りを買って出ている。

「妻には、ご飯がおいしいから家に帰るのが楽しみ、と言ってもらってます」

がっちり、奥さんの胃袋を掴んでいる様子。

実は、策略家なのである。

Wakayama Japan, 2025


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