セブ島英語留学で知り合ったドクター・ミワコのダンナ(Eさん)が、勤めていた大企業を辞めて、船で世界を一周してきた。
これはぜひ話を聞かなくては!
夫妻が暮らす和歌山まで行ってきた。
予備校の講義を終え、気温38度の名古屋から西へ。城下町・和歌山は海風が吹き抜けて、意外にも涼しい。ま、名古屋と比べての話ですが。
地元っぽい小料理屋の個室で3人、おいしい魚を頂きながら話を伺った。
Eさんが乗った客船は、定員1800人。3分の2が日本人客で、平均年齢76歳。日本を出港してから最初の寄港地までの間に、3人が亡くなったという。
「そういう死に方、本望かも知れませんねー」と、Eさん。
全財産を船室に持ち込んで、船を住処にして地球をグルグル回っている乗客もいるらしい。
命が尽きるまで海の上…?
寄港地は全部で17か所。今回の航海では南半球をぐるりと回って、南極の氷も見ることができた。
「ペンギンって、群れで水面を滑空するんです。水族館のペンギンとはぜんぜん違った!」
Eさんがピンチに見舞われたのは、マダガスカルで。日帰りのつもりで内陸のバオバブ林を見に行った帰り、港に戻る飛行機がまさかの欠航。予定外の1泊を強いられた。その間に、無情にも船は出港してしまった。
着の身着のまま、飛行機を乗り継いで船を追いかけ、なんとか1週間後に合流できたという。
南米の寄港地では他の日本人客が強盗に襲われ、金目の物をすべて奪われた。
貧しい国の強盗たちからすれば、お金持ちが豪華客船に乗ってやってくるのは、まるで鴨が葱を背負って来るようなものだろう。
世界一周100日間の船旅は、一見優雅なようで、実はいろいろあったみたい。
Eさんはいったん帰国した後、今度はモロッコに3週間滞在。魔窟のようなスーク(旧市街)でホームステイしながら、フランス語学校に通った。
そして先月は、娘さんと2人でスイス・アルプスへ。
まさに、糸の切れた凧だ。
その間、ドクター・ミワコは「私が稼ぐからいいわよー」とばかり、連続36時間勤務の夜勤を挟みながら、病院で働いたという。
Eさん、よっぽど今まで奥さんに徳を積んできんだなぁ。
「さすがに金がなくなった。いま妻に離縁されたらとっても困ります」
最近、Eさんは料理の腕を磨いて、夕食作りを買って出ている。
「妻には、ご飯がおいしいから家に帰るのが楽しみ、と言ってもらってます」
がっちり、奥さんの胃袋を掴んでいる様子。
実は、策略家なのである。
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Wakayama Japan, 2025 |
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