2015年2月1日

ミニスカートの美容室


 日本を出てひと月半が過ぎた。

 日に焼け、服もこちらで買ったりしているので、先日はタイ人にタイ語で道を聞かれた。ちょっと嬉しい。

 この際、髪もタイスタイルにしてみようか。

 以前、1000円カットの「QBハウス」がバンコクのBTS駅に進出しているのを見た。こちらでは100バーツ(約370円)という価格設定で、いつか試してみようと思っていたら、今回は見かけない。日本ではインパクトがあったが、こちらでは街角の床屋さんも100バーツ以下なので、競争に負けてしまったのだろうか。

 地元の床屋で万が一、変な頭にされても、もう同僚から笑いものにされたり、業務に支障を来たしたりすることはない。これからは、どんなヘアスタイルにしようが自由の身だ。

 でも結局、日本人の扱いに慣れている理容室をネットで探してしまった。

 店に入ると、スタッフのお化粧が濃いのにたじろぐ。おまけに、理容室にありえないスカートの短さだ。駐在時代に行きつけだった店は、スタッフがそこらの屋台のおばちゃん風だったのに・・・。今回、歓楽街タニヤのど真ん中にある店を選んでしまったのを後悔した。

 この上なく丁寧なシャンプーとヘアカットののち、軽く肩と背中を揉まれて・・・無事解放された。心配は杞憂に終わった。客に無用な緊張を強いるファッションはやめて頂きたい。

私は人に体を触られるのが大の苦手だ。30年来、タイマッサージの誘惑からも逃げ回っている。理容業の方々も、できれば私の首から下は触らないでほしい。

でも日本で受ける歯石除去だけは快楽だ。歯科衛生士は女性が多い。間近に迫る息遣いを通して、彼女たちの並々ならない集中力が、目を閉じていても伝わってくる。しばしば痛みを伴い、口中が血だらけになったりもするが、歯周病が防げて長生きもできる。健保も効く。

タイの理容室では、シャンプー担当の人にチップを忘れずに、とネットにある。全く気付かず、屋台のおばちゃん風スタッフには3年間あげなかった。帰りがけ、真っ赤な口紅のシャンプー担当に40バーツ渡すと、びっくりした顔をされた。ここは日本人が多いので、チップの習慣がないのだろうか。店を出てから悩む。

アパートに戻ってプールで泳ぐ。働きに出ている住人も多いので、平日は閑散としている。今日も貸し切り状態だ。

結局、肩が凝ったわりには、変わり映えのしない頭になって帰ってきた。一度はドレッドヘアにしてみたかったが、もう髪の毛が足りない。

プールに浮かんで空を見ながら考えた。自由ってなんだろう。


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