バンコク東部の新興住宅街オンヌットに引っ越してきた。専有面積200~300㎡もある豪華マンションが目立つトンロー以西のスクムビットと違って、この辺はワンルームや1LDKといった間取りの、主にタイの若夫婦向けコンドミニアムが次々に建てられている。BTS駅直結の巨大スーパーはリラックスした服装のタイ人でにぎわい、これまでより一段とローカル色が強い。
私たちが借りた7階の部屋からは、正面に高速道路が見える。夜、流れる車の赤いテールランプが美しい都会的な眺めだが、明け方、周辺で飼っているニワトリのけたたましい鳴き声で起こされた。ここは建物が何棟もある大きなコンドミニアムで、一部が日割り家賃で貸し出されている。トイレのドアが閉まらなくて修理を頼んだり、シャワーの温水が出にくかったりと、やや安普請のよう。こういった点は、実際に泊まってみないと外からではわからない。
日本を発ってからこの部屋で11か所め。バンコク市内だけでも6か所を転々としている。将来、住まいを一か所に定めて数か月単位で暮らすことを考えて、今回は候補地の住み心地を確認しながら回っている。今までのところ、バンコク中心部から少し離れた、静かな環境にあるタウンハウスが好みだが、自然豊かなチェンマイもいい。一方でこの辺も比較的家賃が安く、予算的に好ましい。どこも一長一短あり、結論が出るまでもう少しかかりそうだ。
先日、同時期に早期退職した会社の同僚が、バンコクに遊びに来てくれた。ゴーゴーバーが軒を連ねるナナに泊まっていると聞いた妻がひと言「・・・目的が明白」。でも手ごろな宿がナナにあっただけで、私と同様、彼も夜遊びには全く興味がないという。
昨年夏、私は退職願の書き方がわからず、安直にもグーグル検索でトップに出た書式をコピペして上司に手渡した(一応、敬意を表して肉筆で)。彼もまったく同じことをしたらしく、一字一句違わない2つの退職願を見比べた上司が
「お前ら、グルだろう!」「いえ、ググっただけです」
それはともかく、彼は会社員時代も何回かバンコクを訪れているが、その頃は数日で飽きたという。ところが今回バンコクを訪れてみて、早くも次回、次々回のタイ訪問を、それももっと長期でと考え始めている。会社を辞めて環境を変えた彼にとって、タイの空気がこれまでと違って感じられたとしたら面白い。
それどころか、彼はこの滞在中、毎日タイ料理のガパオ(豚ひき肉バジル炒めごはん)を食べ続け、まったく飽きることがなかったらしい。まあそのうち飽きる日がくるのは私が保証する。
これからも、自由な生き方を好む友人たちと、タイでの時間を共有することができたらいいなと思う。
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