2025年6月27日

真夜中の避難と正常性バイアス

 

名古屋のビジネスホテルの、午前4時。

突然鳴り響いた、けたたましいサイレン音に飛び起きた。

12階で火災発生! すぐに避難して下さい!!」

人工音声のアナウンスが流れる。

げ…

たしかこの部屋は、最上階の14階だ。

これは…マズいかも…

と焦りつつ、その一方では「正常性バイアス」が働いて、

「どうせ大したことないでしょ…」などと考えてしまう。

パンツ一丁で逃げて何事もなかったら、赤っ恥だ。しっかり着替えて、財布とケータイを持って廊下に出た。

屋外に設置された非常階段は、避難者たちで大渋滞。ちょうど火元とされる12階あたりでつっかえて、それより下に降りられなくなってしまった。

もし、ここで火や煙が見えたりしたらパニックだ。

幸い、その気配はない。

見渡すと、他の人も漏れなく「正常性バイアス」が働いたとみえ、皆さんしっかり着替えてきた。両手に大荷物を抱えた人や、妙にヘアスタイルが決まった女の人もいる。

ある高齢の避難男性は、背広上下にオシャレな帽子をかぶり、手にはステッキといういで立ち。まるで、「東京物語」の笠智衆さんみたい。

午前4時の、笠智衆。

その頃になって、ようやく制服姿の従業員が階段を上がってきた。12階の非常扉から、館内に入っていく。

「ただいまの火災警報は誤報でした」

というアナウンスが流れ、みんな「やっぱりね~」という顔をして、三々五々、部屋に戻っていった。

服を脱いでベッドに入り、さぁもうひと眠り…と思ったあたりで、サイレンとともに、階下に消防車が到着した気配。

遅いよ。

さらにひと騒ぎあって、やれやれ今度こそ眠れる…と思ったあたりで、

「ただいまの火災警報は誤報でした」の館内放送が、今度は中国語と英語の大音量で繰り返された。

 早く眠らせてくれ~


県外への予備校通いでこの半年、週末ホテル泊を繰り返すことになった。

なんだかんだで、今年は(今年も⁈)外泊が100泊を超えそう。

毎年こんなことをしていると、いずれ旅先で客死することになるのかも!

文豪みたいでカッコいいじゃん。

でも「東〇イン」で焼け死ぬのは…なんかカッコ悪い。

どうせ焼き鳥になるなら、リッツカールトンかペニンシュラ、マンダリン・オリエンタルあたりがいいよね。

Midnight evacuation, Nagoya 2025


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