東北タイ(イサーン)車の旅も8日目、2000キロを走破して、無事にバンコクに戻ってきた。
サービスアパートにチェックインした後、AVISの営業所まで車を戻しに行く。つながらないカーナビのせいで曲がるところを間違え、バイクタクシーのおじさんに道を聞く。
まずい、日が暮れてきた。日差しが強いタイでは市販車でも、日本の暴走族並みに強いスモークガラスが使われている。フロントガラスさえ色つき。昼間はいいが、夜道は実際以上に視界が暗い。車の周囲をバイクの大群に囲まれ、その何台かは無灯火だったりするので、急ブレーキや急な車線変更は危ない。
バンコク名物の大渋滞にはまり、3キロの道のりに1時間半かかった。
会社勤めの身だったら、「お金を払って車を取りに来てもらうんだった・・・」と後悔していたはずだ。いまは時間だけは豊富にあるので、これもひとつの経験、と余裕をかます。
タイの道路は、全般に舗装が荒れているから、路面からの振動や騒音が大きい。郊外の空いた道を時速100キロで走る時は、まるで車の耐久テストをしているよう。それさえ目をつぶれば、道は広くまっすぐで、道路標識も過不足ない。助手席はともかく運転者にとっては、日本で2000キロ、青森から鹿児島まで走るより疲れなかった。
ナコンラチャシマ、ウボンラチャタニー、ノンカイ、ウドンタニー、コラート・・・イサーンを1周した達成感に浸る。ただバンコクからイサーンの入り口までは景色が単調で、交通量が多い。次回はどこか地方都市まで飛行機を使い、田舎道だけを走ろう。
車の旅では、行きたい時に行きたい場所に行ける半面、人との交流は減ってしまう。運転中に言葉を交わしたタイ人は、警察官とガソリンスタンドのお兄さんたちぐらいだ。
警官と言っても、反対車線を逆走してお世話になったのではない。
タイ・ラオス国境に沿って走った数日間、頻繁に検問があった。3回に1回の割合で、停止して運転免許証の提示を求められた。「韓国人?中国人?ああ日本人か。日本語でサワディーは何て言うの?カニチハ?コニチハ?コニチハ!」何のことはない、我々は単なる暇つぶしの相手だ。しかも日本はやっと3番手らしい。
ガソリンスタンドでは毎回、手のひらを下から首まで持ってきて「すりきり満タン」と理解してもらった。でもいつまでも、タイ人のカンの良さに甘えてはいられない。最後に給油した時、その数十秒さえ惜しんでベンチで居眠りするお兄さんを起こして、タイ語を教わった。
「レギュラー、満タン!」は、「カウヌン、テムタン!」と言うそうだ。
カウヌンはタイ語の91。オクタン価91のガソリンを満タン、という意味だ。
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