2016年1月11日

暴走する若者 逆走する私


車やバス、バイク、トゥクトゥク、リヤカーなどが入り乱れるバンコクの路上に、レンタカーで繰り出した。

いったん渦中に飛び込んでしまえば、見た目ほど怖くない。

マイカー急増中とはいえ、タクシーや配送などのプロドライバーが多い。運転がうまいので、こちらがミスしても、向こうがよけてくれる。

また、タイ人得意の「あうんの呼吸」で、無秩序の中にも秩序が保たれている。ニューデリーやマニラ、ジャカルタなど、アジアの大都会お決まりのクラクションの洪水が、ここバンコクはないのだ。

赤信号であっても、交差点を忍び足で入って左折できる。最初は面食らうこのようなローカルルールを、見よう見まねで覚える。

これまでアメリカ、カナダ、ベルギー、オランダ、ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、ニュージーランドで運転した。ベルギーとニュージーランドでは、つい右側通行を忘れて反対車線を激走した。日本でもヨーロッパから帰国直後に逆走したが、今日まで生き永らえてきた。

ここは日本と同じ左側通行なので、「逆走する老人」にはならないで済む。

タイでレンタカーを借りるのは簡単だ。営業所に電話し、クレジットカード番号を口頭で伝えればいい。300バーツ(1000円強)の追加料金で、車をホテルまで届けてもらえる。

約束から30分遅れて、赤いベストを着たAVISのお兄さんが到着。書類にサインすると、彼は私のパスポートと国際運転免許証をスマホで撮影して帰って行った。ピザの宅配と変わらない手軽さだ。

車は、トヨタの現地生産車VIOS。走行13万キロで、車体が派手に凹んでいる。トランクも、思い切り叩き付けてやっと閉まる。オプションで付けた英語音声のカーナビは、すぐ電源が切れる。

それでも、まっすぐ走れなかった某国のレンタカーに比べれば、じゅうぶん許容範囲である。

バンコクを抜けて郊外に出てしまうと、片側3車線のまっすぐな道が延々と続く。鉄道網が貧弱なので交通量は多いが、ほとんどの交差点が立体交差化され、1時間走っても信号がない。制限速度は時速110キロで、一般道なのに東名より流れが速い。

ベトナム戦争中、タイに基地を作ったアメリカが道路を整備した。走ってみれば、気分はフリーウェイ。道路も路肩も広々としている。

ただし左車線を走っていると、その路肩を親子3人乗りのバイクが逆走してくる。時々、ピックアップトラックまで逆走してくる。一方で追い越し車線を走れば、Uターンする対向車が急に鼻先を突き出してくる。真ん中の車線を、なるべく露払いの車を前に立てながら慎重に走る。

昨日は270キロ、今日は380キロを走破して、タイ東部ウボンラチャタニーにやってきた。明日はラオス国境を目指す。

ハンドルを握って手にする自由は、想像以上だ。

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