予備校の心理学の授業で、面白い研究論文が紹介された。
題して、「同性愛開示と異性愛友人の行動と態度」。
タイトルは論文調だが、ぶっちゃけて言うと「もし同性の友だちから愛を告白されたら、あなたならどうする??」という実験だ。
この研究者によると、
・日本性教育協会の調査では、同性同士が性的行為をすることを「構わない」と答えた大学生は、男子25.8%、女子26.7%
・このような状況下では、同性愛者が自分の性指向をカミングアウトすることは社会的不利益になる。多くの同性愛者は異性愛者を演じなければならず、そのストレスにより抑うつ、不安、孤独感が高い
・同性愛者の個人特性に関する先行研究は多いが、同性愛を告白された側の研究はいまだ少ない
そして研究者が実験前に立てた仮説は、
・もし同性の親友から愛を告白されたら、その親友との関係は疎遠になる
・同性の親友から同性愛者であることを告白され、でも自分は恋愛対象ではないとわかった場合は、同性愛者一般に対する見方はより受容的になる
というものだった。
さて、実験の結果はいかに…?
・男子大学生90人、女子大学生154人に質問紙を配布
・まず最も親しい同性の友人を思い浮かべてもらい、その親友Aさんとの親密度を調査
・次に、同性愛に対する態度を「同性愛は自由な恋愛の対象だ」という寛容な態度から「同性愛と聞くとつい特別視してしまう」という態度まで調査・分類
そして次の質問紙で、
・ひとつのグループには「Aさんはあなたに同性愛者であること、そしてあなたが恋愛対象であることを打ち明けました」
・別のグループには「Aさんはあなたに同性愛者であることを打ち明けましたが、あなたは恋愛対象ではありません」と記し、態度の変化を男女別に調べた
実験の結果、男子は研究者の予想に反して?告白前と告白後での親友に対する態度の変化は明白には見られず。
女子は仮説通り、告白後に親友との行動を減らしたい傾向が見られたが、自分が恋愛対象でない場合は、その差は少なかった。
同性愛やその他LGBTQを知識として理解し、当然の権利だと考えていても、いざ自分事として親友から愛の告白をされると別の要素が絡んでくる、という実験結果なのだと思う。
ちなみに、予備校のミヤガワ先生によると「一部尺度のα係数が0.7に満たない」「条件操作後の男子の主効果が有意水準に満たない」「男女のサンプル数に偏りがある」等々、かなりツッコミどころの多い研究だということだ。
![]() |
Vientiane Laos, 2025 |
0 件のコメント:
コメントを投稿