2020年9月5日

「アフターコロナ」は元通り


 家族の病気治療に専念するため、首都圏を離れて5か月余。

 ここ八ヶ岳山麓には、コロナの気配がほとんどない。個人的にも、コロナどころじゃなかったりする。

唯一の影響といえば、家族の入院先が、日に日に面会制限を厳しくしていくこと。「県外在住者は面会禁止」から、「市外から来た人は禁止」へ。そして一時、家族さえ面会禁止になった。主治医に泣きついて「裏口面会」する。

メディアは「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」を特集しているが、面会以外にはコロナ禍の影響がないので、どうもピンとこない。

ただ、デジタルアートの旗手・猪子寿之氏の見方が、かなり的を射ている気がした。猪子氏は40代前半、起業家でもあるようだ。

(以下、例によって日経ビジネス電子版より要約です)

・過去にも疫病は多くあったが、都市化が止まったことはない。人は長い年月をかけ密へと向かっている。大きな流れは変わらず、「アフターコロナ」のようなものはない。収束後の世界は元に戻る

・みんなが「変わる」と言っているのは、そう言えば人々の関心が湧き、もうかるから。ビジネス的に、変わることにしている

・オフィスを持たずに仕事するといったことは、高付加価値の領域では起こり得ない。これまでに起こっていないことは、いずれ元に戻る

・以前の世界は、固定的で受動的だった。映画も遊園地も受動的で、行動原理は時間を消費し、楽しませてもらうこと。今後は、すべてが変化し続けるようになる。ゴールはあらかじめ設定されておらず、自分で表現し、アップロードする

・重要なのは、自らの意思で歩くこと。単なる時間の消費ではなく、意味を求めていく。働くことにも、お金でなく意味を強く求めるようになる。このシフトは、生存への心配が少ない地域で一気に進む

・歴史を見れば、人口爆発以外で栄えてきたのはグローバル化した場所。情報が重要となる中、様々な考え方を受け入れる素養が問われる。だから分断されているより、連動できる地域が発展しやすい

・世界では超大国のナショナリズム化が進んでいる。ナショナリズムも分断をあおるから、仮に日本がナショナリズムの低い大国として存在すれば、競争優位性が極めて高くなる

・前の産業の時にできた受け身の教育には何の意思もない。自らの意思のある身体で社会が変わるという体験を重ねていくべき

・ウィキペディアは世界中の言語に訳されて、どれだけの人が見たかを示す指標がある。日本人でその数値が最も高いのが、松尾芭蕉。現存する人物では映画監督の宮崎駿。日本が世界に最も影響を与えているのは、科学でも産業でもなく、文化かもしれない



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