猛暑の東京から、今年もXさんがやってきた。
お盆の帰省客に混じって、赤いTシャツに薄いサングラスの怪しい男が、ホームに降り立つ。
こう見えてもXさん、大手新聞の海外支局を渡り歩き、現在も社の中枢を担う敏腕記者である。遠い目をしながら知的な語り口で、理路整然と話し出す。
「赤坂の△△ホテルにナース兼デリヘル嬢のサトウさん呼んで〇〇〇プレイしてたら…」
実は彼の話の8割が、エッチ系下ネタ。カードキーなしでエレベーターに乗れる(=部屋にデリヘル嬢を呼べる)都内の高級ホテルを、完璧に把握しているからすごい。
「そうしたらナースのサトウさんが『Xさん、前立腺が腫れてるよ』って。検査してみたら、放っておけば命に関わる病気が見つかったんです」
〇〇〇プレイ転じて、福となす。
触診で病変を見つけた看護師兼デリヘル嬢サトウさんは、Xさんの命の恩人だ。
(その後も下ネタが続いたが、当ブログの貴重な女性読者を失うので控えさせて頂きます)
「治療のためのホルモン注射で男性ホルモン値がゼロになったから、最近は煩悩も全くありません」と、Xさん。
その割に、先日も真夜中の銀座・ポンパドゥールで、疲れた顔をした水商売の女性にパンを大量におごって、連絡先を聞き出したという。
どこが煩悩ゼロなんだか。
ま、お元気そうで何よりだ。
コロナ禍以降、銀座の夜の店も12時には閉まるようになった。東京メトロ銀座線の終電は、ドレスの上にコートを羽織った物憂げな女性で満員だそう。
八ヶ岳の森から、大都会の夜を垣間見た。
Xさんは世界を取材して歩き、南米もほぼすべての国を制覇している。
「観光旅行で南米に行くとしたら、どの国に行けばいいですか?」
「なんといっても、コロンビアです」
「コロンビア? へぇー、そんなにいい国なんだ」
「ベネズエラもきれいだけど、あそこは整形が多い」
あ、そっち方面の評価ね。
「私は夜型人間だから、朝はいつもコーヒーだけ」
と言った翌朝、Xさんはゆで卵4個にバターを山盛りにして食した。
彼が去った後の食卓には、大量の卵の殻が散乱していた。
私生活での言行不一致が、記事の信憑性を損なう事態に発展しないか心配だ。
帰りの車内で社説を書くそうですが、くれぐれも、あらぬ方向に筆を滑らせないように…
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Bangkok Thailand, 2025 |
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