2024年5月3日

幼稚園の先生も国際分散投資

 

半年に1回ぐらい顔を出す小さなカフェで、ランチに南インド定食を食べた。

食後まったりしていたら、20代後半ぐらいの女性が入ってきた。客は我々2人だけ、なんとなく会話が始まる。これって地方都市あるあるの展開かも。

その人は幼稚園の先生で、去年からNISAを始めた。周りに相談できる人がいなかったからYouTubeで勉強して、アメリカ株・先進国株・新興国株のインデックス投信を3分の1ずつ、毎月積み立てで買っているという。

なんて洗練された投資家だ。「それでいいんです!」と力強く言っておいた。

幼稚園教諭も株式投資。若い世代は特に、日本の将来への危機感が強いのだ。

 

「経済評論家の父から息子への手紙~お金と人生と幸せについて」

元旦に65歳で亡くなった山崎元氏の最後の著書。この人の本を愛読してきたが、一貫して国際分散投資を強く勧めている。ちょっと内容を紹介します。

・就活シーズンになると、リクルートスーツに身を包んで会社訪問に赴く学生の映像が報道される。翌春には、首尾よく就職に成功した学生たちが大企業の入社式に臨む映像が流れるのだが、彼らを見ていつも「悲惨だな」と思う

・区別がつきにくい同じスーツと表情に象徴されるように、彼らの大半は使う側から見て「取り換え可能な存在」。弱い立場で会社人生を送る

・正社員の立場を得たことに本人たちも安心し、親にも褒められる。しかし、親世代と今とでは有利な働き方、稼ぎ方のあり方がすっかり変わっていることに親子ともども気づいていない

・ひとつの組織に居続けるとなると、重要性を増すのが人事。人事は基本的に好き嫌いで決まる。これは現代でもそうだし、世界的にそう。嫌われた者が脱落するシステムだから、評定者の言いなりになることが求められる

・正社員としてそこそこの会社に入社できると、非正規労働者より給料が少しいいかも知れないし、クビにはなりにくいが、その立場に安住すると一生を通じて会社の奴隷のような存在になる可能性が大きい。いわゆる「社畜」だ

・リスクを取りたくない労働者が、安定と引き換えにそこそこの賃金で満足する。その彼らこそが世界の養分であり経済の利益の源

・資本主義経済は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から利益を吸い上げるようにできている

・その利益を吸い上げる側に介在するのが資本。そして現代で資本に参加する手段が株式投資だ。若い人は生活費3~6か月分を銀行の普通預金にして、残りを全額「全世界株式インデックスファンド」に投資するといい

・資産運用の三原則は「長期」「分散」「低コスト」。大事なのは売り買いしないこと。大きな利益を得るためには、長い期間資本を提供し続けることが必要。持ちっ放しがいい

・そして、新しい働き方に必要なマインドセットは

   常に適度なリスクを取ること

   他人と異なることを恐れず、むしろそのために工夫をすること

Matsumoto Japan, spring 2024


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