2024年4月5日

努力の塊

 

セブ島英語留学では、マンツーマン授業の合間にグループレッスンが混じる。

「初心者クラスに入れられたら、かったるいなぁ」

自分の英語力を棚に上げて、そう思った。

ところがフタを開けてみると、

「あなたのキャリアの、Turning point はいつでしたか?」

「あなたの人生で、Milestone と呼べる出来事はありましたか?」

ノーリー先生(28歳美人・夫と子どもあり)から、笑顔でそんな質問が飛んでくる。日本語でさえ答えに窮するのに。難しすぎる。

ところが。

「グループレッスンの時間って、唯一の息抜きだよね~」

「そうそう、ホッとする~。半分寝てるかも」

ある晩、クラスメートと行ったハンバーガー店で、女子の会話が聞こえた。

ワ、ワタシが毎回、七転八倒してるっていうのに?!

一見控えめなこの日本女性たちは、いったい何者だ。なかなか教えてくれなかったが、しつこく聞いてわかったその正体は、

「職場のサバティカル制度を使ってオーストラリアに留学。ホームステイしながら猛勉強して、1年で英語教授法の博士号を取った」

「キャリアカウンセラーとして働きながら、心理学の最新の知見を知りたくてアメリカの大学院に入学。現地には行かず、オンラインで全ての単位を取得して卒業した。宿題が多すぎて過呼吸になった」

まさか、こんな方々と机を並べていたとは。

世の中には人知れず、大変な努力をしている人がいる。

 

「努力の塊」を目の当たりにして思い出したのが、アフガニスタン出張の折、通訳兼助手としてお世話になったジャワット&ファルハド兄弟だ。

自爆テロが頻発する上に、一歩ホテルを出れば全く言葉が通じないかの土地で、彼らは文字通り命綱となって働いてくれた。

2人はきれいなイギリス英語を話した。ラジオにかじりついて、雑音だらけのBBC海外放送を聞きながら、独学で英語を学んだという。

 

日本に帰れば各種教材が書店の棚を埋め、ラジオ英会話、YouTube、ポッドキャスト、字幕付き映画や海外ドラマにも簡単にアクセスできる。

オンライン英会話だってある。

時間とお金を投資すれば、こうして現地で英語に触れることもできる。

極端な貧困やタリバンの圧政とも無縁の、恵まれた環境にいる私に言い訳はできない。

やるかやらないかは、ひとえに自分次第なのである。

(ある意味、これも過酷な状況だったりして…)



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