2023年8月25日

格差は心を壊す(続)

 

八ヶ岳中腹の森に中古別荘を買って8年、定住を始めてから3年。

ふだん静かな森は、都会の猛暑を逃れてきた人々で賑わっている。

この時期の別荘地は、首都圏や名古屋、関西ナンバーのベンツ、BMW、アウディ、レンジローバー、ボルボ…大きな外国車が幅を利かせる。

森から15分ほど下った農協スーパー駐車場では、一転して地元ナンバーの軽自動車が多い。

そしてわが愛車は、中古のホンダ・フィット。湘南ナンバー。

見よ!この絶妙のバランス感覚。

 

「格差は心を壊す~比較という呪縛」 R・ウィルキンソン&K・ピケット著 東洋経済新報社 今回は、この本の後半部分を紹介します。

25万年前、人類が大型動物の狩猟方法を発見した時から平等社会が普及した←1家族が食べきれないほどの肉を分配する必要が生じたから

・3~4歳の子どもは自己本位で行動するが、その後、不平等を避けようとする感情が発達する。7~8歳になると自分にとって不利になることでも、平等なやり方で物が分配されるのを好むようになる(受け継がれた遺伝子)

・不平等な社会ほど、子どものいじめが激しい←いじめは権力を巡る争い。動物の支配社会と人間のいじめ社会は構造的に似ている

・不平等な社会の女性は、平等な社会の女性に比べて男っぽい顔の男性を好む。格差社会では、男っぽさが序列社会での出世に有利に働くと考えるから

・平等な社会では、共同体から受ける社会的プレッシャーによって、人は利他的で思いやり深く、親切になりがち

・しかし身分格差の大きな社会では、他人から認められたいという同じ欲求は、自己の出世、優越感、低い身分による不名誉は避けたいという、全く正反対の願望によって相殺されてしまう

・所得格差が小さい国では、人々が博物館、美術館、劇場を訪れる回数が、不平等な国より2~3倍も多い。不平等な社会では、芸術は富裕層の独占領域とみなされてしまう

・所得格差と、刑務所に収監される人の割合は相関する。平等な国は1万人当たり約4人。不平等な国は1万人当たり約40人。不平等な社会ほど、犯罪に対する世論が不寛容になり、軽い犯罪でも収監され、長い刑期が言い渡される

・厳しい処罰は、犯罪への不安の高まりや犯罪者への思いやりの低下を反映している。不平等社会ほど、お互いを信頼しなくなる

・所得格差が広がるほど、警備サービス部門(警備員、警察官、看守など)で働く労働者の割合が増加する

・不平等な社会では、人々がコンプレックスを紛らわすために、地位を誇示するためのブランド商品をたくさん購入する。自分は成功者だと見栄を張るために多くのお金が必要になり、長時間の労働や借金を積み重ねていく

Summer camp in Yatsugatake, 2023


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