「格差は心を壊す~比較という呪縛」 リチャード・ウィルキンソン&ケイト・ピケット 東洋経済新報社 2020年
まだ読みかけだが、前半の要点をメモしておきます。
・先進国の中で、富裕層と貧困層の格差が最も大きい米国では、殺人率、刑務所の収監率、精神疾患の割合、未成年出産率が最も高く、平均寿命、算数や読み書きの能力は最低か最悪の部類に入る
・逆に格差が小さい北欧諸国や日本は、これらの数字は上々
・経済成長は物質的な豊かさをもたらしてくれたが、逆に精神的な不安は高まる傾向にある。WHOの調査では、先進国は途上国より心の病の発症率が大幅に高い(精神障害の生涯有病率は米国55%、ニュージーランド49%、ドイツ33%、オランダ43%に対して、ナイジェリア20%、中国18%)
・給料に対する私たちの幸福感や満足度は、その給料で欲しいものが十分購入できるかどうかではなく、他人と比べて高いか低いかで左右される
・社会階層の底辺に位置する人ほど心の病に冒されやすい。つまり、心の病は社会階層の問題
・最貧困層の男性は、最富裕層の男性に比べてうつ病にかかる確率が35倍
・うつ病や統合失調症、自己愛癖は、社会の不平等化が進むほど共通に見られる現象。国全体の不平等化の拡大によって多くの人々が苦しむという極めて重大なコストが発生している
・不平等な国ほど統合失調症の発病率が高いのは、不平等な社会ほど社会的な絆が失われ、社会階層間の区別が厳しくなることが理由
・アンケート調査で、日本は米国に比べて「人生に満足している」「幸せだ」と答える人ははるかに少ない。米国では幸せかと聞かれれば、ともかくそうだと答えることが期待される→平等な社会で育てば外部に対してアピールする必要がないから
・自己誇示バイアスと所得格差の間には強い相関関係がある→不平等な社会ほど自己誇示が強まるという事実は、不平等が社会的評価への不安を高める結果、私たちは自分自身を実態より大きく見せようとしてしまう
・不平等の拡大によって社会的評価の脅威に直面した私たちは、不安症やうつ病に陥るか、それとも自己誇示や自己愛を支えにして必死に出世の階段をよじ登るかの板挟みに追い込まれる。こうした二者択一を巡る葛藤がいかに激しいかは、統合失調症や躁うつ病に苦しむ人々がしばしば誇大妄想に捉われることからも明らか
・ドナルド・トランプの頻繁なツイッターへの投稿は、自己誇示、冷淡、自制心の弱さ、自己愛、精神病質の特性を示している
↑笑える!
Taipei, summer 2023 |
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