マニラ市内を走る電車には、2両ごとに警備員が乗務している。
彼らは熱心に車内を巡回して、犯罪ならぬ「鼻マスク」摘発に精を出す。マスクがずれている人を見つけると、身振り手振りで改善を促している。
たまに鼻が出ている人はいても、乗客は全員がマスクを着用。顔全体を透明なアクリル板で覆っている人までいる。そして、根はおしゃべりな彼らが、黙食ならぬ「黙乗り」を励行するから、車内はとても静かだ。
ここ数日のコロナ感染者数、イギリス1日6万人、ベトナム5万4千人、日本4万8千人などに対して、フィリピンは200人台。とっくにコロナ前の生活様式に戻っているのかと思ったら、いまだ厳戒態勢だった。
ちょっとお茶しようと名門ペニンシュラ・ホテルに行くと、「ワクチン接種証明のない人は入れません」。ショッピングモール内のCoCo壱番屋でさえ、同じ理由で止められた。日本政府発行のワクチン接種証明が手放せない。
そして…
実はフィリピン滞在の隠れた目的が、対面で英会話を習うことなのだが、なんと! ほぼ全ての英語学校がコロナ休校したままだった。
感染状況も落ち着いたし、もう来ちゃいましたから!と明るく頼めば入れてくれると甘く考えていた。ところがどの学校も、つれない返事。いま生徒を受け入れたら、教育省、保健省あたりから処分されるのか??
対面授業の再開は「早くて夏ごろ」という。
そもそも、フィリピン全土の小中高校そして大学も、もう2年も休校したままという。どうりで朝夕の通学時間帯に、子どもの姿を見かけないと思った。
そんなこんなで毎日ホテルに籠って、オンライン授業に勤しむことになった。画面の向こうの先生たちは、とっくに田舎に帰っている。マニラの蒸し暑さや通勤地獄から解放されて、みな晴れ晴れした表情だ。
オーマイ…
ミートソース。
来るのが早すぎた。
オンライン授業しか受けられないのなら、どこにいたって同じこと。ちょうど、フィリピン人が一番大切にするイースターの連休が近い。
「ビーチに行くならどこがお勧めですか?」と先生に尋ねると、
「んー、セブ島かボラカイかエルニドか。でも私の島は、今年もイースターのミサがオンライン。まだ教会に集まれないんだよ。コロナ感染のアラートレベルが地域ごとに違うから、あなたの行き先によっては入域許可が必要かもね」
えーっと。
つまりこのまま、暑いマニラにいろってか?
そして悪いことに、オンライン授業の生命線Wi-Fiが、どの宿も不安定。
マニラの新宿副都心からマニラ銀座、そしてマニラの葛飾柴又へ、まともなネット環境を求めて、今日もさ迷ってます。
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