成田空港のチェックインカウンターでは、フィリピン入国条件の審査に1時間かかった。そして次の関門は、出国審査だ。
審査はいつの間にか、機械による顔認証になっていた。パスポートをスキャンすると、数秒でゲートが開き、スポン!と日本国外に出た。あまりにあっけないので、わざわざ係官の所に寄って、パスポートにスタンプをもらった。
この先、マニラで書類の不備が発覚して、入国拒否に遭うかも知れない。最後まで気が抜けないが、とりあえずは今宵の宿を探そう。
治安がいい地区のキッチン付サービスアパートをネット予約すると、すぐに返事が来た。
「フロントは午後10時で閉まります。ご注意ください」
そんなぁ。これから乗る飛行機は、午後9時マニラ着。しかも到着後に、ワクチン接種証明、PCR陰性証明、フィリピン保健省の登録証明、海外旅行保険のチェック等々、たくさんの関門が待ち受けている。
まぁ、まず間に合わない。今夜は空港のベンチで寝るのかぁ。
乗り込んだマニラ行きANA便は、コロナ禍でガラガラかと思ったら、なんと満席。乗客はフィリピン人や欧米人が多く、体が大きい上に、「機内持ち込みサイズ」を平気で無視した大荷物を持ち込んでくる。
荷物スペースの奪い合いで、たちまち機内はカオス。出発が50分遅れた。
離陸後に出た機内食は、なぜか「うな玉丼」「オムハヤシ丼」の2択。どちらも見かけ上は、黄色いドロドロ。乗客の白人男性が、「両方いらない!」と怒っていた。
定刻よりだいぶ遅れて、夜のマニラ空港に着陸。入国審査場に入ると、迷彩服姿の兵士たちが乗客を並ばせて、大声で必要書類を連呼している。
ものものしい雰囲気にビビっていたら、書類をチェックするブースにいたのは、キビキビ働く女性たち。ほどなく順番が来て、書類やらQRコードやら全てを差し出し、固唾を飲んで結果を待つ。
バーン! 心地よい音とともに、パスポートにスタンプが押された。
このご時世、わが日本国の入国審査には8時間かかることもあるらしいが、フィリピン入国は1時間もかからず、スマートだった。時は午後10時30分。
まず携帯電話会社のカウンターに行って、現地SIMを買う。Tシャツ姿のお兄ちゃんが器用な手つきで、私のスマホのセッティングをしてくれる。
急いで宿に電話したが、つながらない。お兄ちゃんに文句を言うと、「このSIMはケータイ同士しかつながらないよ」。そんなの、あり?
別のSIMと交換して、やっと電話が通じた。明るい声の女性が、「チェックインはいつでもOKよ」と言ってくれた。
そしてケータイ会社のお兄ちゃんが、「タクシーより安いから」と、私のスマホにライドシェアのアプリを入れ、ドライバーも呼んでくれた。
物事の進み方が、いかにも東南アジア。この気安さが心地よい。
空港ビルを出ると、外は熱帯夜。
Manila Philippines, April 2022 |
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