なんにも用事がないけれど、飛行機に乗って外国に行ってこようと思う。
コロナ禍3年めの、海の向こう側を見ておきたい。
同じ島国でもイギリスは、水際対策をすべて撤廃し、パスポートだけで入国できる。1日数10万人の国内感染者を出した末の、破れかぶれ…?
アジアでは、フィリピンが入国時の隔離措置をなくした。
フィリピンといえば、ステイホーム中にずっと受けたオンライン英会話の講師が、全員フィリピン人だった。毎日初対面の先生を予約して300人と話し、彼らのホスピタリティに感激した。
そうだフィリピンに行って、今度は対面で英会話を習ってこよう。
隔離こそなくなったフィリピンだが、厳しい入国条件がある。ワクチン接種証明、PCR検査の陰性証明、ひと月以内に出国する帰路航空券、そして3万5千ドル以上の入院治療費用をカバーする海外旅行保険も必要だ。
PCR検査は、航空会社が推奨するクリニックで受けると3万円も取られる。経費節減のため、新橋駅前の「無料PCR検査センター」に向かった。無料なのは東京都民だけで、ナガノ県民だと言ったら1900円取られた。
入口で検査キットを渡され、選挙の投票所みたいなブースで、「鼻腔拭い式抗原検査」を自分でやらされる。綿棒を鼻の穴に突っ込んで、グルグル回す。
誰も見ちゃいないから、絶対に陰性証明を取りたい人は、耳の穴、その他の穴で代用しても、たぶんバレないと思う。
30分後、検査結果がスマホに届き、晴れて陰性証明をゲット。検査方法と結果、名前はローマ字表記されているから、海外渡航にも使える、はず。
そして向かった、運命の成田空港。陰性証明の費用をケチったばっかりに、搭乗拒否、入国拒否に遭ったら恥ずかしいが、後に続く人のために、ここは体を張ろう。
カウンターの地上職員は、乗客ひとりひとり、行き先によって大きく異なる入国条件を、端末で確認している。とても大変そうだ。
いよいよ私の番がきた。他の書類の下に隠しておいた「格安コロナ陰性証明」は、チラッと目を通しただけ。あっさりクリア!
飛行機に乗れるということは、入国できるということでしょう。
ところが、世の中甘くない。第5の条件として、フィリピン保健省サイトに個人データを送り、発行されるQRコードが必要だという。
その場でスマホ入力を試みるも、なぜか1字ごとにフリーズする。保健省のサイトに問題ありか? カウンターの20代女性が親切な人で、途中で入力を代わってくれるが、状況は変わらない。振り向けば、背後には長い行列が。
先ほどから、預け荷物の重さを示す電光表示が「47.5キロ」と出ている。これじゃ重量超過、追加料金だ。
でも私は、背中のデイパックひとつ。預け荷物はない。
いつの間にか、私のスマホと格闘する彼女が、計量台に仁王立ちしていた。
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