2026年3月13日

美人の特権~セブ島留学日記⑥

 

「どうして日本女性はゴキブリを見つけると、まるでヘビに出くわしたみたいに騒ぐの?」

個人レッスンで英語を教わる jay 先生(20代・男性)が言う。

よくよく聞くと、それは彼の個人案件だった。

jay 先生のガールフレンドは、去年の生徒だった日本女性だ。ワーホリでオーストラリアに住む彼女が今、セブ島に来ているという。

人生で、初めてできた彼女らしい。

「どうして日本女性は、怒ると1時間ぐらい口をきいてくれないの? そんな時はどうすればいい?」

知るかそんなの! 自分で考えろ。

ぼくの元カノ(妻)が怒った時は、1時間なんてもんじゃなかったぞ。

 

「結婚生活は、いつも難しいよ…」

Sao 先生(色黒&小太りの中年男性)が、口癖のように言う。

彼によれば、カトリック教国のフィリピンでは離婚が認められない。

Love doesn’t last forever だというのに…

でもその代わりに、 Annulment というフィリピン独自の制度がある。

過去にさかのぼって、結婚という事実そのものを「最初からなかったこと」にできる制度なのだそうだ。

なんじゃそれ! それって離婚より便利な制度じゃない? 

バツイチにならなくて済むし。

でも Annulment を成立させるためには、長い年月と多額の費用が要る。

だからフィリピンのセレブたちは海外でササっと離婚を成立させ、そんなお金もない市民の間では不倫が大量発生している、と聞いた。

ある日、sao 先生のレッスンで cosmetic surgery(美容整形手術)をテーマに話し合った。

先生曰く、彼が属する業界では beauty privilege(美人の特権) が蔓延しているという。

「男の生徒はもちろん、女の生徒までぼくを敬遠して、担当替えを要求するんだよ。美人は美人に英語を教わりたいものなの? なんでやねん!」

フィリピン英会話学校の先生は、圧倒的に20代女性が多い。若くてきれいな女性が並ぶ中、わざわざ sao 先生を選んで予約する人は…

いないかもなぁ。

ホスピタリティにあふれ、とても勘のいい教え方をするsao先生。顔写真で選ばれがちなオンラインでなく、対面レッスンで地道に固定客をつかんでいくのが、彼がこの業界で生き残る唯一の道かも知れない。

 sao 先生が韓国人の生徒から聞いた話では、韓国で女の子が生まれると、親がその子の整形手術代を貯め始めるそうだ。

「この子が将来、いい会社に就職して、いい人と結婚できますように」

かつてないほどの規模のルッキズムが、世界に広がっている。

Tattoo painting, Cebu 2026


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