アマゾン物流倉庫でのバイトを辞めた途端に、同じ倉庫から新型コロナ陽性患者が出た。
虫が知らせてくれたのかな。
アマゾンで思い出すのは、廊下から見える喫煙所だ。短い休憩タイム、壁を黒く塗られた小部屋には、いつも数十人がひしめいていた。充満する紫煙が、ナチスのガス室を連想させた。これぞ「ザ・3密」という光景だった。
「潜入ルポ amazon帝国」 横田増生著 小学館
アマゾンに対して余計な先入観を持たないよう、バイトを辞めるまで取っておいた本。著者の横田氏はユニクロの潜入ルポを書く際、身分を隠すために、戸籍上の名前を改名したという、筋金入りの「潜入ルポライター」だ。
でも彼のアマゾン潜入は、2週間だったらしい。私は5か月。勝ったぞ。
小田原のアマゾンに潜入した後、著者は海外に飛んだ。イギリスは「潜入取材の先進国」で、BBCやフィナンシャル・タイムズといった大手メディアの記者が、アマゾンに潜入し、ニュースや記事にしている。
英国アマゾンではロボットが導入され、小田原のように、重さ40キロのカートを引いて20キロも歩く必要はない。その代わりに、労働者は2メートル四方のスペースに押し込められ、屈伸運動を続ける羽目になった。
倉庫に潜入したセルビー記者(28)は、60キロ台だった体重が、5週間で6キロ減ったという。
著者が取材したもう一人、ブラッドワース氏(35)は、アマゾンに潜入した後、訪問介護、コールセンター、ウーバー運転手として働き、ルポを書いた。
この4つの仕事の中では「アマゾンが飛びぬけてひどかった。私にとっては物流センターというより監獄を思い起こされる場所だったね」
「アマゾンのひどさの一番の理由は、賃金が低いことじゃない。アルバイトの扱いがひどいことが問題なんだ。アルバイトを尊重する雰囲気が職場に全くと言っていいほどない。いつも貶められ、子どものように時間を管理される」
「アマゾンは、人を人として扱っていないところに最大の問題があるんだ」
私や横田氏が日本のアマゾンで働いて得た感想は、万国共通のようだった。
世界の人々が在宅を強いられ、ろくに買い物にも行けない中で、アマゾンだけが儲かっている。送料無料で、何でも翌日には自宅に届けてくれるから、確かに便利だ。
でも、この会社は危険だ。企業文化が、極端な利益至上主義。これ以上アマゾンの一人勝ちを許していると、そのうち価格決定権を握られて、私たちの生活を支配されてしまう。
楽天、Yahoo! ショッピング、ZOZO、メルカリ・・・手間がかかっても割高でも、これからは本気で、ネット通販の注文を分散させようと思った。
#stayhome @Tateshina Japan, April 2020 |
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