モータージャーナリストのF氏は、“子どもの教育に失敗した”という。
「バカ息子に『いまの時代、クルマを持つ意味がわからない』と言われた」。
私も、バカ息子の意見に100%賛同する。
でも今度の家は、信州の山間部にある。最寄りのコンビニまで徒歩2時間、スーパーまで徒歩3時間(往復すると6時間)かかる。背に腹は代えられない。
「いまの時代」に逆行して、20年数ぶりにクルマを買った。
町に下り、食料や日用雑貨を買って帰るだけで、いつの間にか40キロ走っている。化石燃料の消費に、後ろめたさを感じる。でもマイカー移動は、「コロナさん」との遭遇だけは最小限に抑えられる。
病院に行くと、いつも満杯の駐車場が、なぜかガラガラ。混み合うはずの会計窓口も、人影まばらだ。医師や看護師たちも、ヒマそうにしている。
聞けば、院内で「コロナさん」と遭遇することを恐れる患者たちが、不要不急の通院を控えているせいだ、という。
ということは、多くの病院経営は、今まで「不要不急の通院者たち」に支えられていた???
わが家への帰り道。夜の森を走っていると、シカの目がヘッドライトに反射して光る。万が一、シカと衝突すれば、クルマは派手に壊れる一方、シカは平気で逃げていくそうだ。
しかも、自損事故扱いになる。保険が効かない。だから、最徐行する。
家に着いてライトを消すと、あたりは真っ暗闇。やがて目が慣れると、森の輪郭が、月明かりに浮かび上がる。数日前に降った雪が、まだ道端に残っている。車載の温度計によると、外は-1℃。見上げれば、満天の星空。
「クルマは購入後に愛着が増すのに、なぜ夫婦関係は年々悪くなるのか」
行動経済学者のダン・アリエリーが、この難題に挑んだ。
中古で買った愛車は、最初その色が気に入らなくても、そのうち慣れる。でももしパートナーが、絶えず下手な冗談を言う人だったとしたら、無視し続けるのは、とても難しい。
クルマは動かないから、そのうち背景に溶け込んでいく。でもパートナーは、向こうから働きかけてくるために、注目しないわけにはいかないのだ。
毎朝ジョークを繰り返されると、時間がたてばたつほど、どんどん鬱陶しくなっていく・・・
(この問題の対処法は、アリエリーの新刊「幸せをつかむ戦略」を読め、と書いてあった)
20数年ぶりの愛車は、ありふれた車種で、色も愚直なシルバー。
毎朝ジョークを言いそうにないタイプだ。
もう4月半ばだというのに。 |
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