2020年4月11日

4月でも雪国


 ウチの玄関、まだ日陰に雪が残っている。

朝の気温は氷点下。ひと月前は、マイナス10度まで冷えた。東京では、とっくにサクラが散ったのに。

ダウンジャケットを着て、自宅からつづら折れの山道を、クルマで30分。町に下りると、小中高生が半袖で歩いている。

何だかんだ言って、日本は広いと思う。水平方向にも、垂直方向にも。



ひときわ冷え込んだ、ある夜。部屋の石油ヒーターが、ひと晩中唸りを上げていた。朝になって、突然、静かになった。

屋外の200リットル入り灯油タンクを見に行くと、カラに近い。室温が、どんどん下がっていく。

8キロ先のガソリンスタンドまで、灯油を買いに走る。新鮮な油をたっぷりヒーターに食べさせて、スイッチON

・・・つかない。

 中古の家を「居抜き」で買ったので、ヒーターも20数年前の年代もの。いつ壊れても、おかしくなさそう。

 急きょ、電器店やホームセンターを回った。店の人はみな「暖房器具? さあ・・・あるとしたら“季節もの処分コーナー”かな」と、つれない。案の定、軒並み売り切れている。

ネット通販は、届くまで数日かかる。しかも、わが家は標高1600メートル。高地仕様の特別なヒーターしか使えない。

 今夜をどうやって過ごそう。家族はとっても寒がりだ。困った。

ふと思いつき、湖畔の宿のオーナー、タマさんに電話した。清掃係やフロント係のバイトで、毎夏お世話になっている。

「ストーブですか? 何台でも貸しますよ! いま新型コロナのせいで、空室だらけなんで」

 まさに、捨てる神あれば拾う神あり。すぐ町を出て、山上の湖を目指す。タマさんが、大小の暖房器具を並べて待っていてくれた。

 大きな達磨ストーブを借りて自宅に運び入れ、点火。頼もしい炎が上がり、部屋がガンガン暖まっていく。

 翌日、ゆとりを取り戻して、業者にヒーターの修理を依頼した。最初の人は、しばらくいじって「私の手に負えません」。メーカーにも、部品の在庫がないという。ヒーターを新品に交換すれば、工事費込みで20万円。イタイ。

 2人目の業者さんは、「ちょっと待って」。ヒーターの裏に、おもむろに手を入れた。外部タンクにつながるパイプの、捻じれを直している。

そしてスイッチON

あっけなく再始動した。

思うに、このワイルドな地で暮らすには、自分にはDIYの知識がなさすぎる。

家の近くで

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