2016年8月2日

ニュース断食と停電


 バルコニーに面したカーテンを、そっと開ける。

 時々、早朝の庭に来客がある。シカの母子だったり、かわいいオコジョだったり。カメラを出そうとすると、気配を察して行ってしまう。

今日も、森は霧に包まれている。梅雨明け後も、天気はぱっとしない。気温も上がらない。

数日前まで、暖房を使っていた。夜は鍋料理で温まり、妻は湯たんぽを愛用している。

今夏は猛暑、という長期予報はいずこへ? 山荘に来たのが、少し早すぎたのか。

でも超長期的に、信州に拠点を持つ選択は正しいと信じている。

気候変動、地球温暖化で、いずれ民族大移動が始まる。暑さに耐えかねた都市住民が、雪崩を打って、より標高の高い土地を目指す。

従来の避暑地・箱根は、いずれ亜熱帯気候になる。近い将来、軽井沢でさえ熱帯夜が連続。キツツキの穴だらけの、この中古山荘が、じわりじわりと価値を上げていくに違いない。

先見の明を持つ人は他にもいて、この辺り、山荘が点在している。葉月を前に、住人が増えてきた。夜バルコニーに出ると、暗い森に、ひとつ、ふたつと明かりが灯る。どの家も、窓の中でテレビが点いているのが、樹林越しに見える。

 森の我が家に、テレビはない。今の生活には、いらないみたい。新聞社で働いていた頃は、職場ではもちろん、家でもテレビつけっ放しだったのに。

「アメリカで銃乱射」「バングラデシュでテロ」「相模原の障がい者施設で19人刺殺」「東京都知事に小池氏」

 このような出来事をテレビで知っても、どうなるものでもない。そもそも、国内外で起きるニュースはほぼ100%、自分でコントロールできない事柄だ。もはや東京都民でもないし。

限られた人生の時間は、自分でコントロールできることだけに集中したい。

それにしても世の中、ネガティブなニュースばかり。公金着服や株の暴落、大量殺人、ひいきチームの大敗。下手に耳に入れると、無用に気分が損なわれる。

職業上必要な場合を除けば、人が無自覚にニュースにさらされるのは、有害とさえ言えそうだ。

 この環境で唯一、あってもいい情報が天気予報。でも、これが当たらない。山の天気は、毎日が「曇り時々雨一時晴れ」。たった今も、予報にない大雨が降っている。

あまりの土砂降りで、なんと我が家は停電してしまった。

いよいよ世の中と隔絶される。もう少し標高を下げれば、町の防災放送が聞こえてくるのだが・・・

ここは運を天に任せよう。


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