イギリスが国民投票でEUからの離脱を決めた日、そのイギリス出身の友人デービッドに会った。
昨年まで英会話学校教師、いまプータロー。独学でひらがな、カタカナを覚えたのに、日本語会話は相変わらずひどく、カタコト以前。
先週、彼は自転車で隣町を走っていて、警官に止められた。自転車が友人からもらったものと証明できずに、3時間も警察署に留め置かれた挙句、没収されてしまったという。
「日本の警察もヒマだよね」と慰めると、「彼らの英語とぼくの日本語に問題があった。時間がかかったけど、ぼくもヒマなので。それに彼らは礼儀正しかった」と、私に配慮した発言。
以前、自分の部屋でインターネットができない、とこぼしていたので、代理店巡りにつき合った。クレジットカードがないと契約できないと断られ、むくれていた。
改めてその件を聞くと、「彼女のカードで契約したからダイジョーブ」。どうやら日本人の彼女ができた様子。昨夜は彼女とその母親、妹の4人でしゃぶしゃぶパーティーだったという。
恋愛は、異国の言葉を覚える必勝法だが、それにしては成果が感じられない。相当、英語が達者な女性と思われる。
言葉を覚えなくても英会話教師の仕事はあるし、彼女もすぐできる。英語圏出身の白人はトクだ。
ちなみに、彼はスコットランドの大学都市ダンディー出身で、決して自分のことをイギリス人とは言わない。2年前の住民投票では、スコットランド独立に一票を投じた。
今回、スコットランド市民の6割以上がEU残留を支持した。実家の両親、兄妹も残留に投票したそうだ。彼自身、「離脱派は人種差別主義者」と決めつける。
その離脱派が勝っちゃった、大丈夫?と聞くと、「スコットランドは再び住民投票をやる。さっさとイギリスから独立し、EUに戻るから問題ない」さらりと言う。
彼の言う通りになれば、イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドに分かれるのだろうか。ラグビーW杯みたいだ。
もしイギリス縦断ドライブをしたら、入国スタンプをたくさんもらえそう。
メディアは「離脱派勝利は由々しき事態」と言うが、移民や難民をほとんど受け入れない排他的な国の市民として、私にとやかく言う資格はない。
いつの間にか、ヨーロッパは28か国もが統合され、どこまで行っても国境がなくなった。知らないうちに隣国に入ってしまうのでは、旅をしていてもドラマがない。
この際EUはやめて、徹底的に細かく分かれたらどうだろう。フラマン国とワロン国、バスク国、カタルーニャ国、コルシカ国、バイエルン国、ザクセン国・・・それぞれ、経済的に緩くつながりながら、独自の文化を洗練させる。
一個人旅行者としては、想像しただけでも楽しいのだが・・・
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