退職して1年半が経ちました。東京は生活費が高いので、地方都市に引っ越して慎ましく暮らしています。
毎日、4つのボランティアを掛け持ちしています。障がい者や高齢者を福祉車両で病院に送るNPO。生活保護の子どもたちの塾講師。在住外国人の日本語教師。そして認知症専門グループホームの手伝いです。
ボランティアは取材と違って、高齢化や格差社会を内側から見ることができます。自分が興味を持つ分野でボランティアをすれば、インターン同様、職業訓練になるとも感じています。
ただ、体が動くうちは、海外で国際協力の仕事をしたいという気持ちがあります。今年は、1月から3月までタイやネパールに行き、自分に何が出来るかを探ってきました。この職探しの旅は不発に終わり、結果的に遊んできただけで終わってしまいました。
さて、ぼくの退職理由です。
20年余の報道カメラマン稼業は、海外特派員も経験し、恵まれていました。それだけに、社内に閉じ込められて現場と上司との板挟みになるだけのデスク業務は、大変な苦痛でした。
幸い、本社にはバブル期入社のデスク候補がたくさん余っています。3年後、再び現場に近い立場に配置換えしてもらえました。
念願かなったはずなのに、再びカメラを持ってみると、どうも仕事に身が入らない。もはや自分には、写真に対する情熱が残っていなかったようです。
定年延長でつまらなそうに働く先輩の姿に、明日の我が身が重なります。この会社のどこにも居場所がなくなりました。
絶好のタイミングで早期退職優遇制度が始まり、さっそく飛びついた次第です。
もう、カメラはすべて処分してしまいました。
昨年の収入は、失業給付100万円と、有償ボランティアの20万円だけ。でもぜいたくしなければ、退職金と株式投資で暮らせます。その間に、人生後半のライフワークを見つけたいと思っています。
君の場合、写真への情熱を失っていないのは大きな財産です。この会社の給料はいまだ一般企業より恵まれており、報道写真だけで食えるのも新聞社や通信社の正社員だけです。退職をちらつかせて脅しながら、現場への配置転換を画策するのもいいと思います。
一方、夜眠れないというのは、軽く見ない方がいい。辞めるなら病む前に、です。ぼくが君の子供だったら、たとえ今より質素な暮らしになっても、明るいお父さんでいて欲しいです。
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