夏休みの一日、心理学関連の集まりに参加し、自衛隊で性被害を受けたAさんの話を聞いた。
一時期、何度もマスコミで取り上げられた事件だ。勇気ある強い人のイメージだったが、実際に会ってみれば、ごく普通の控えめな女性だった。
Aさんの幼少時、母親が大病を患い、「ひとりでも強く生きられるように」と、5歳から柔道を習い始めたこと。
小学生の時、東日本大震災に遭遇。公民館の床に段ボールを敷いて3か月、避難生活をしたこと。
災害派遣の女性自衛官の雄姿に憧れ、将来は自衛官になると決めたこと。
両親が離婚し、中学の3年間は新聞配達をして母を助けたこと。
大学を中退して陸上自衛隊に入隊。柔道が強いことで自ら希望した部隊は、実はパワハラ・セクハラの噂が絶えない、いわくつきの部隊だったこと。
男が大多数を占める環境で、何度も凄惨なセクハラ行為を受けたこと。
先輩の女性隊員に相談すると、「私はもっとひどい目に遭った」と言って、とりあってくれなかったこと。
孤立無援となり、心を病んで休職。自転車で車道に飛び出して死のうと思ったが、できなかったこと。
電源コードを首に巻き付けて首を吊ろうとしたその時、偶然、震度6の地震に遭遇。東日本大震災で「生きたくても生きられなかった人がいた」ことを思い出し、立ち直るきっかけになったこと。
被害の刑事告訴を母親にも反対され、たったひとりで裁判所に出向いたこと。
法廷では、複数の加害者の正面に立って証言を求められ、フラッシュバックを起こして倒れ、救急搬送されたこと。
「あれだけの人数が事件を目撃していたのに、みんなウソをつく」ことに絶望したこと。
外国記者クラブで会見したことがきっかけで、「勇気ある女性」として欧米で表彰され、救われたこと。
判決が出る前は、「もし無罪だったら日本にいられない」と思いつめたこと。
有罪判決を勝ち取り、「私、まだ生きてていいんだ」と思えたこと。
裁判が終わっても、ひんぱんに事件のフラッシュバックに悩まされ、ずっと「いなくなりたい」気持ちだったこと。
最近、洋菓子を焼く店を持つ夢ができて、やっと日常生活を送れるようになったこと。
そんなことを、淡々と話してくれた。
事件をきっかけに、Aさん自身も性被害を受けた女性からの相談を受けるようになった。そのたびに、心が削られる思いがするという。
最後に、
「心理職の方は、クライエントの幸せより自分の幸せを大切に」
という言葉を、我々に贈ってくれた。
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| Pondichery, South India 2026 |

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