心理系大学院受験の予備校では、現役大学院生から直接アドバイスを受けられる。
アポを取って3人めにお会いしたKさんは、東京出身の50代女性。とても柔らかい雰囲気の人だ。
Kさんが大企業で働いていた時、同じ職場の女性が相次いで心を病み、離職していった。なすすべもなく、それを見送るしかなかった。
もし自分に心理学の知識があれば…
と、50歳で退職し、名古屋の大学に入学した。
「ど、どうしてまた名古屋に?」
「日本で最初に心理学部を作ったのが、名古屋のC大学なんですよ」
卒業後は公認心理士の資格を取り、産業カウンセラーとして働く女性を支援したいという。
早稲田大教授で人類学者の長谷川眞理子氏は、「女性活躍を本気で考えている日本企業はごく一部」だという。だが、希望もあるらしい。
以下、日経ビジネス電子版の同氏インタビューから一部を紹介します。
・米国で第2次トランプ政権が立ち上がり、DEI(多様性、公平性、包摂性)の方針を撤回する動きが広がっている。西洋文化は歴史的に女性に対する差別的感情が根深く、トランプ政権を機に逆回転が始まってしまった
・そもそも米国は基本的に西部劇のような文化。白人の男性が荒野を切り開いて国をもり立ててきた。黒人や女性などのマイノリティーを差別してはいけないと頭では理解していても、文化の根本はやはり西部劇。DEIに嫌悪感を持つ白人男性は多い
・1780年代から英国で奴隷貿易を禁止する動きが始まったが、最終的に制度が消滅したのは1888年。約100年もの歳月がかかったのは、奴隷がいなければ成り立たない経済ができてしまっていたから
・男女の溝は根深く100年以上かかると思われるが、ダイバーシティーを進めたほうが経済に良い影響をもたらすと明確になれば風向きが変わるはず
・日本政策投資銀行が特許の経済価値と開発チームの男女比の関係性を調べたところ、同性のみのチームよりも、男女混合のほうが経済価値の高い特許を生み出していた。様々な意見が出されることで、使い勝手の良い特許になる
・日本は男女が共に働く農耕社会だったため、本質的な対立は西洋ほど根深くない。明治時代に西洋文化を取り入れるまで、男女はほぼ平等だった
・男性ばかりの日本企業がうまくいっていたのは、やるべきことが明確な高度経済成長期だったから
・多様な価値観を持つ人が一緒に働くと最初は生産性が落ちて苦労するが、課題に対する新たな解決策が見つかるなどの効果も出てくる
・米国での反DEIの動きも、長い目で見れば一時的な揺り戻し。4年後には以前の状態に戻っていても何ら不思議ではない
・「反DEIの波に翻弄されるな。日本企業はぶれない軸を持て」
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Nongkhai Thailand, 2025 |
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