2024年1月27日

汚いけど、きれい

 

パリに2週間滞在して、一度も犬のウンコを踏まなかった!

これは画期的な出来事だ。

毎朝ジョギングした後、モンパルナスからメトロを使わず歩いて美術館に通ったから、1日平均15キロは路上を移動したはずだ。

パリも少しはきれいになった…?

でもシャンゼリゼやリボリ通りはともかく、16区辺りの歩道は依然として、大型犬のがとぐろを巻いている。要注意である。

住んでいた頃のいい思い出はあまりないが、観光客として訪れるパリは最高だ。まさに花の都。もちろん冬のパリに花は咲かないが、パリ20区内は街全体が美術館のようなもの。華やぎがあって、何時間歩いても飽きない。

そして冬のパリ最大の楽しみは、やっぱり美術館。ルーブルに3回、オルセー美術館には2回通った。

ポンピドーセンターの国立近代美術館、モネの「睡蓮」があるオランジュリー美術館、レオナール藤田が鑑賞できるパリ市立近代美術館、ロダン美術館も…毎日、美術館に入り浸っていた。

ホテルの朝食会場でテレビを見ていたら、「ルーブル美術館、今日から値上げ」がトップニュース。街頭インタビューでフランス人観光客が、「大人22ユーロ(3500円)は高すぎる!」とコメントしている。

確かに高い。ニュースによると、入場者の40%がタダ客だという。EU国籍の25歳以下は無料なのだ。道理で、館内が若いカップルのデートスポットになっている訳だ。

ホテル代も食事も美術館も、何もかも高いので、途中でホテルからキッチン付アパートに引っ越し、バゲットにチーズを挟んで食べながら美術館に通う。それでも日々美しいものに触れることができて、心満たされた。

そしてパリは大都会の割に、妙に人間臭い街だ。

至る所にあるカフェは平日でも人が溢れ、ちょっと日が差せばテラス席まで満員に。気温3度でも、時間を忘れてしゃべりまくっている。

カフェで隣に座ったカップルの男の方が、やおらコートと長袖シャツを脱ぎ捨ててTシャツ姿に。長袖シャツの襟もとに鼻をくっつけてクンクン嗅ぎ、「うん、まだ臭くない!」だって。不潔だなあ。

また、パリっ子は喫煙率が高い。ベビーカーを押した女性が、平気で歩きタバコしている。道端でタバコをふかしている人に、見ず知らずの通行人が「ボクにも一本」という場面も目撃。たいてい、もらえていた。

雨の日にメトロを使った時。途中で、ギターを抱えた薄汚い男性が乗り込んできた。その弾き語りは騒音にしか聞こえなかったが、一曲終えた彼が紙コップを手に車内を回ると、何人もの乗客がチップを与えていた。

パリは、飽きない。



2024年1月20日

フランス人が英語を話した!

ウクライナ戦争の影響でロシア上空を飛べず、羽田発パリ行きの飛行機は、アラスカや北極圏の上を大きく迂回していく。

14時間を超えるロングフライトだ。

ちょうど私の座席の前が非常口。その小さな空間に、幼児連れの母親が入れ代わり立ち代わり、赤ちゃんをあやしに来る。ママが膝をクッションにして揺らすと、盛大に泣いていた赤ちゃんも安心して泣き止む。

どの夫婦も、パパはわが子にノータッチ。

でも、ママたちの横顔は幸せそう。

 

ようやく飛行機が降下態勢に入る。ここまで快晴の空を飛んでいたのに、着陸直前、地表を覆う厚い雲に呑み込まれる。

そして降り立った、パリの空は鉛色。

まずはバスに乗ってオペラ座まで。車窓から見えるパリ郊外のアパート群は、壁が落書きだらけ。そして市内に入ると、あちこち工事中だ。夏にオリンピックを控えているせいだろうか。

出発前、心配顔の家族に「道端でスマホを出すと、あっという間にかっさらわれるよ!」と脅された。道行く人を観察すると、けっこう皆さん歩きスマホしている。そこまで治安は悪くなさそう。

帰宅ラッシュの渋滞を抜けてバスを降り、雑踏の街でメトロの入り口を探す。昔懐かしい10枚つづりの紙の回数券(カルネ)は廃止になり、今は「ナビゴ」というIC乗車券を買うらしい。

ところが。

メトロ改札口に降りると、6台あった自動券売機が、全て故障中。

窓口にも人の気配がない。

荷物を背負って階段を登り返し、隣の駅まで歩く羽目になった。

以前は不良たちが跳び越えて無賃乗車していた自動改札は、背丈以上ある扉でがっちりガードされていた。混み合うメトロ車内は、ケータイかけ放題で騒然としている。

フランス語だけでなく、東ヨーロッパ系やアフリカ系など色々な言語が耳に飛び込んでくる。東京メトロも最近は国際色豊かだが、パリはその比ではない。

途中で2回乗り換えて、夜のモンパルナスへ。とりあえずの宿は、パリ市内に何軒もあるCampanile というビジネスホテルチェーン。日本でいえば「東横イン」みたいな狭い部屋が、1泊100ユーロ以上する。

フロントの黒人女性は親切な人。でも私のフランス語に、いちいち英語で返してくる。

そんなに発音悪かったかな… 

いや、フランス人が国際的になった、ということで。



2024年1月11日

気がつけばホテル・ジャンキー

 

ホテルのサブスクを利用して、東京・南青山の長期滞在型ホテルに泊まった時のこと。

近くのカフェで朝ごはんを食べていたら、隣にラグビー日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズさんが座った。

トレードマークのセーター姿。目尻にしわを寄せて笑う柔和な顔。

テレビで見たジョーンズさんそのものだ。

秩父宮ラグビー場が近いから、たぶんこの辺の高級レジデンスにお住まいなのだろう。

たまに田舎から出てくると、すぐ著名人と遭遇してしまうトーキョーが眩しい。

 

「いったい、何にお金使ってるんですか⁈」

クレジットカードで、2年に1度ヨーロッパ往復できるぐらいマイルが貯まると言ったら、友だちが絶句していた。

ひとり暮らしで、ふだんの食事は玄米と納豆、みそ汁。

いったい何にお金を使ってるのかと聞かれても、自分にも思い当たる節が…

あった!

ホテル代だ。

標高1600mにあるわが家は、12月も半ばを過ぎれば、明け方の気温がマイナス10度を下回る。街へとつながる山道は凍結して、朝晩の通勤は命がけ。

そんな寒い時期のために、車で1時間半ほど離れた街中にマンションの一室を借りた。だがそこも、真冬の気温は氷点下だ。

移住して初めて知った、とんでもなく寒い土地柄。東京からほんの2時間ほどの距離なのに。体脂肪率11%の痩身には堪える。

仕事が終わって外に出ると、周囲は真っ暗。凍りついた自宅に帰る気をなくして、つい職場近くのホテルに泊まる。

1日の給料が、その晩に消えていく。

週末も、家にいると寒いので、近場のホテルに避難してしまう。

フロントで「お車でお越しですか」と尋ねられ、「いえ…歩きです」と答える時の恥ずかしさよ。

長い冬の間はずっとそんな調子。この辺はゴールデンウィークも雪が降る。

気づいてみれば、去年はホテルに104泊していた。

 

あー、ホテルの部屋はあったかいなぁ。

入浴剤を溶かした風呂に入り、至福のひと時。

でもこの冬は、もう少し建設的なホテルライフを送りたい。

マイルの有効期限も迫っているので、ちょっとヨーロッパに行ってきます。




2024年1月6日

海外投資は、自由への道

いよいよ今年から「新NISA」が始まった。

1800万円まで無期限・非課税で運用できる、ありがたい資産運用ツールだ。

と同時に、10年前の旧NISA初年度に投資した分が満期を迎えた。

どれどれと自分の口座を調べてみると…10年間で55UPという成績。

年率にすると4%ぐらいか?

株式100%のリスクを負った対価としては、ちょっと物足りないなぁ。

わがミヤサカ・ファンドは、ポートフォリオ全体のバランスを考えて、10年前にNY上場のVB(アメリカ小型株ETF)、VSS(アメリカ以外の海外小型株ETF)、FM(フロンティア株ETF)をNISA枠で買った。

ちなみにフロンティア株というのは、新興国よりさらに魑魅魍魎の…じゃなかった、新興国の次に成長が期待される!小国の企業の集合体だ。

FMの保有銘柄は、カザフスタンのソフトウェア会社やウラン採掘所、エジプトの銀行、ベトナムの製鉄所や不動産、ルーマニアのエネルギー企業や石油会社など。そしてFMのこの10年間の年率リターンは、1%ほどだった。

…まだまだ離陸しないようですね。

次にVSSの保有銘柄を見ると、トップ10はウラン鉱山、コンサル、ソフトウェア、エネルギー、運輸、金銀採掘、保険などなど。すべてカナダの会社だ。

VSS10年間の年率リターンは、3.8%だった。

そしてアメリカの小型株を集めたVB10年間の年率リターンは、8.1%。

もし10年前、奇をてらわず素直にSPYなどのアメリカ大型株ETFにしておけば、年率11.9%のリターンがあった。元手が2倍以上に増えたことになる。

国際分散投資の考え方は正しいにしても、策に溺れて分散しすぎたか…

でもポートフォリオ全体では円安にも助けられて、去年もそこそこリターンがあった。まぁよしとしましょう。

今年からの新NISAではシンプルに、日本を含む世界株インデックスで積み立てようと思う。

ただこのインデックス、新興国株の比率があまりにも低すぎる。いまや世界第2の経済大国になった中国や、将来的にその中国をGDPで抜くと予想されるインドが、過小評価されすぎなのだ。

だから、新興国株インデックスも買おうと思っている。

 

2022年、日本の1人当たりGDPは先進7か国中、ついに最下位に転落した。人口減少と少子高齢化が同時進行するじり貧ニッポン。この国に住み続けるなら、海外投資はギャンブルでも何でもない、立派な生活の技術だ。

私が時給933円の田舎の病院に週3日働くだけで食っていけるのも、株式インデックスを使った国際分散投資のおかげなのです。

海外投資は、職業選択の自由への道! 

Matsumoto Castle project mapping, winter 2023



肉食女子

わが母校は、伝統的に女子がキラキラ輝いて、男子が冴えない大学。 現在の山岳部も、 12 人の部員を束ねる主将は ナナコさんだ。 でも山岳部の場合、キャンパスを風を切って歩く「民放局アナ志望女子」たちとは、輝きっぷりが異なる。 今年大学を卒業して八ヶ岳の麓に就職したマソ...