ホテルのサブスクを利用して、東京・南青山の長期滞在型ホテルに泊まった時のこと。
近くのカフェで朝ごはんを食べていたら、隣にラグビー日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズさんが座った。
トレードマークのセーター姿。目尻にしわを寄せて笑う柔和な顔。
テレビで見たジョーンズさんそのものだ。
秩父宮ラグビー場が近いから、たぶんこの辺の高級レジデンスにお住まいなのだろう。
たまに田舎から出てくると、すぐ著名人と遭遇してしまうトーキョーが眩しい。
「いったい、何にお金使ってるんですか⁈」
クレジットカードで、2年に1度ヨーロッパ往復できるぐらいマイルが貯まると言ったら、友だちが絶句していた。
ひとり暮らしで、ふだんの食事は玄米と納豆、みそ汁。
いったい何にお金を使ってるのかと聞かれても、自分にも思い当たる節が…
あった!
ホテル代だ。
標高1600mにあるわが家は、12月も半ばを過ぎれば、明け方の気温がマイナス10度を下回る。街へとつながる山道は凍結して、朝晩の通勤は命がけ。
そんな寒い時期のために、車で1時間半ほど離れた街中にマンションの一室を借りた。だがそこも、真冬の気温は氷点下だ。
移住して初めて知った、とんでもなく寒い土地柄。東京からほんの2時間ほどの距離なのに。体脂肪率11%の痩身には堪える。
仕事が終わって外に出ると、周囲は真っ暗。凍りついた自宅に帰る気をなくして、つい職場近くのホテルに泊まる。
1日の給料が、その晩に消えていく。
週末も、家にいると寒いので、近場のホテルに避難してしまう。
フロントで「お車でお越しですか」と尋ねられ、「いえ…歩きです」と答える時の恥ずかしさよ。
長い冬の間はずっとそんな調子。この辺はゴールデンウィークも雪が降る。
気づいてみれば、去年はホテルに104泊していた。
あー、ホテルの部屋はあったかいなぁ。
入浴剤を溶かした風呂に入り、至福のひと時。
でもこの冬は、もう少し建設的なホテルライフを送りたい。
マイルの有効期限も迫っているので、ちょっとヨーロッパに行ってきます。
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