2023年6月23日

9万ドル vs 933円

 

病院の看護助手として働く私の給料は、時給933円だ。

この4月に昇給したが、それでも県の最低賃金と同水準。

ランチタイムに院内の売店で牛丼弁当とサラダと豆乳を買い、レジで1000円札を出したら足りなかった。

物価高の折、この労働量でこの給料は…

なんだかなぁ、という気はする。

去年までいた病棟では、1日に患者さん20人の入浴介助をすることもあった。夏場はサウナそのものの機械浴室で、けっこうな地獄を味わった。

現在は念願の緩和ケア病棟に配属され、毎日とても貴重な経験ができている。自分の場合は本業が別にあり、この仕事に生活がかかっている訳でもない。

それでも、この時給は腑に落ちない。

 

廊下で会うたび「給料が安すぎる!」と怒るのは、看護助手仲間のHさん。

倹約家の彼女は、毎朝4時に起きて、家族3人分の弁当を作っている。

先日、スタッフ休憩室で弁当を食べているHさんの背中を見かけた。

おかずがなんと、丸い小さなカップ入りの納豆!

なんとなく声を掛けられず、素通りしてしまった。

 

別の看護助手Yさんは、勤続24年のシングルマザー。

ずっとパート待遇だったので、月給はいまだに手取り15万円だという。

この春、病院から退職金名目の一時金が振り込まれた。その額、140万円。

Yさんはこのお金を、うわさに聞く「NISA」で運用してみようと思っている。

 

夕方5時、田畑に囲まれた病院からクルマを飛ばして、森の家に帰る。周りは別荘地なので、いわゆる「富裕層」が多い。

近所の瀟洒なログハウスに住むMさん夫妻の夫は、アメリカ出身の金融アナリスト。シンガポールの大富豪が運営するファミリーオフィスで、専属の投資顧問をしている。

時々、Mさん夫妻に、留守中のドッグシッターを頼まれる。愛犬ジュニパーちゃんのエサは、北海道から取り寄せた鹿肉だ。

最近、夫妻の一人息子が大学を卒業し、ニューヨークのグリーンコンサルティング・ファームに採用された。

社長はタイ人で、初任給は年俸9万ドルだという。

あちらでは、労働市場の入り口に立ったばかりの22歳がもらえる給料が、現在の円ドルレートで月額100万円超!

ニッポン人の賃金、安すぎませんか?

Rolwaling valley, Nepal 2023



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