ネパール最後の日、日本大使館で働く方々とお会いできることになった。
ちょうど山岳部2年のヨコが、外交官志望だ。ヨコを誘って、待ち合わせ場所の「カトマンズの青山通り」ラジンパトに向かった。
カフェの中庭で我々を待っていたのは、医務官のSさんと領事のTさん。偉そうなおじさんを想像していたら(←我ながらすごい偏見だ)、T領事は物静かな20代女性だった。
最初は地元の市役所に就職するつもりだったTさん。公務員試験のための専門学校に通い、市役所ついでに国家公務員試験を受けたら、そちらも合格。
一足早く内定が出た外務省に、20歳で入省した。
今ごろは、実家から電車で市役所に通っていたはずのTさん。その初任地がタンザニアで、2か所めがネパールである。人生何がどう転ぶか、わからない。
2日間でお会いした3人の大使館スタッフの話で、もうひとつ驚いたのは、「公務で出張すると赤字になる」ということだ。
近年、出張経費が切り詰められて、大使といえども、移動はエコノミークラス。しかもJALやANAに乗ろうとすると、経費の上限を超えてしまうそうだ。
そして、ホテル代も。「広島サミット」にはネパールからも応援出張に駆り出されるが、会期中は周辺ホテルが高騰し、とても規定の宿泊料に収まらない。
泊まれば泊まるほど、自腹を切ることになる、というのだ。
お会いした翌日、私も個人的な経費節減のため、ニューデリー経由のエアインディア深夜便で、成田に向かった。
満席のエコノミークラスで離陸を待っていると、つかつかと中年女性がやってきた。英語で「ユーの隣は私の友だちだから、席を替わってくれ」という。
まるで、譲るのが当然、という口ぶりだ。
彼女の迫力に押されて、すごすごと退散。追加料金20ドルを払って予約した、前方通路側のいい席だったのに。
別の席に落ち着いて、午前0時。さぁ寝ようとしたら、今度は前列の太った女性が、通りがかった乗務員を何度も呼び止める。コールボタンまで押して、大声のヒンディー語(たぶん)で、何かしつこく要求している。
やがて仏頂面の乗務員が持って来たのは、数本のダイエットコーク。女性はそれを、臆面もなく自分のバッグに詰め込んだ。
せこい! 彼女は持ち帰りできるように、「栓を開けずに」持って来い、と乗務員にゴリ押ししていたのだ。
安いチケットで国際線に乗ると、自己チューかつ「生まれてこの方、場の空気を読んだことありません」みたいな乗客に、たびたび遭遇する。
日本の国益を背負って、過酷な生活環境で働く在外公館スタッフが、もしこんな思いをしているとしたら…
出張旅費をもう少しフンパツしても、納税者は誰も文句言わないと思うけど。
Rolwaling valley, Nepal 2023 |
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